14.試験勉強前半戦
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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部活早退した次の日から、また私は行かなくなった。(例のごとく監督、コーチ、澤村さん、清水先輩共有済み)
どうもこんにちは、宇内美雪さんです。
最近体調不良の原因ともなっている変人コンビから逃げてます。
え?曲がりなりにも担当業務を途中で放り投げるなんて最悪だって?
ええんや。私は頑張った。
振り返ってみると私はやり過ぎだった。
変人コンビ二人の小テスト正答率分析、教科単元別理解度分析、勉強資料パワポの作成・資料を元に土日に講義、分析結果エクセルに打ち込んでグラフ化、元データから小テスト作成……またそれから正答率分析。
間の時間には、勉強方法別の集中時間の記録、効果的なエサの洗い出しと効果時間なんてのも記録し、最終的には教員課程の資料を請求する羽目になった。
……私はアホだった。友人のテスト勉強お手伝いって、そんなガチらなくても大丈夫だと気付いた。なんなら今までの分授業料貰っても構わないかもしれない。とにかく一旦彼らから離れよう。
翔陽飛雄には『講師体調不良のため3日間休講です』と嘘本当半分の連絡をして久々の自分だけの時間を満喫しているというわけだ。
そして今、他校視察@白鳥沢です。
ココ設備が充実しているし、そもそもどの部活もレベルが高い。イイっすね。
美雪さんは雲雀田監督の足引っ張らないためにも、強豪のトレーニング・練習風景なるものを調査中です。
バイクですでに条善寺と伊達工業と白戸(男子だけではなく、白戸女子の方も見てきた)を回った。
お次は大本命の白鳥沢というわけだ。
……あん?青葉城西?せっかく回避した地雷をナゼわざわざ踏みに行かにゃならんのだ。ナシだ、ナシ。
まあ青葉城西の失敗を生かし、いくら似合わなかろうとポニテ・Tシャツ長ズボンの部活ルック(マスクだしモヤシ体型だしチグハグだけどね)で携帯いじりながら他校観察している。
あと副次効果だが、体調不良なので突発的な能力発動も無い、はず。
……かの有名な牛島様を一目でも見てみたいと思ったが残念ながら本日不在のご様子。
しかし強豪の紅白試合はレギュラーでもミスったら即後ろに下げられペナルティ。大層厳しいんだな。
下げられた人は番号のビブスを上がった人に渡していた。そういうシステムだと1年で若い番号で試合に出ることありそう……。そのせいで学年わかりづらいわ。
——徹底的なスパルタ、選手の機会が平等ではない。
だが飢えた獣のように試合を欲している感じ、バレーを渇望している姿は、ウチにはちょっと無い光景。
土壌が豊かというのはまさにそうかも。常日頃これなら互いが互いに触発・刺激されてぐんぐん伸びていくのだろう。
ところでこの体育館は施設すげーな…ここは市の総合体育館なの?青城すらここまでひどくなかったぞ。
「やっぱり天童さん川西さんのブロック、すごいなあ」
ブロック神だと安心感が違う。
得意不得意はっきりしているから味方側もフォローしやすそう。
あとさ……山形さんが中入ったらさ…こう、攻撃への導入がスムーズよね……。
つーか山形さんと同じリベロ、ウチの西谷さん。他校見て思うけど、だいぶ血気盛んなリベロだよなあ。攻撃するぜ感が全身から出ているのにリベロという不思議。ともかく攻撃より(すぎる)烏野だ。防御を何とかせねばと思う一日だった。
メモとペンを閉じて、エナメルの肩掛けカバンにしまった。帰ったら去年の試合眺めよーっと。
エクセルデータ化が先かなあ。色々学校別に特色があって面白かった。
いや、PCに打ち込む前に学校名・サーバー別の球種でもまとめとくか。この情報はすぐ使えそうだし。
るんるん気分で校門の駐車場に向かうと、これまた飛雄以上の巨木がそびえ立っていた。
……あ、牛島さんこちらにいらっしゃったのね。
「どうもー、お世話になっておりますー」
ペコ〜とお辞儀して横をすれ違った。
「……」
お辞儀返してくれた。ええ人や。
回れ右して歩き出すと
ぺそ、背後で何か落ちる音がした。
「何か落としたぞ」
「あ、こりゃどうも恐れ入りま……」
「………」
落下物はなんと他校情報機密情報メモだった。
落ちた衝撃で開かれたページは伊達工の青根さんのブロックコース選択の分析記事だったような気がする。
そして拾うより先に拾われてしまいました。
図解もされてて非常に読みやすいでしょ、はっはっは。
……牛若さんは、そのまま読み出した。
「………」
ぱら、ぱら……と機密情報(笑)が流出していく様を私はただ眺めるほかなかった。
……ダメ元で能力で引っ張ってみると、落とすのに成功した。が、また拾われた。
あかん反射神経で負ける、しかも重機関車のような巨木に立ち向かうなんてとんでもない。
とうとう後ろの方、白鳥沢ページにたどり着いてしまった。特にじっくりみられてしまう。
「ここ間違ってるぞ、白布は3年ではなくて2年だ」
「え、あれ。めっちゃ瀬見さんに鋭いツッコミ入れていたんで、そこら同級生かと勘違いしました」
ご指摘どうもですとお辞儀すると、うんと頷いた。そうか、エース直々のチェックか。あざまーす。
しばらく謎の時間が流れたが最後まで読むと、返してもらえた。
えっ、いや返して良いのか?見逃してもらえるなら願ったり叶ったりだけども。
「あとはおおむね問題ない」
「そーですか、まあ……よかった?です」
しかしこの人、結構な天然さんではなかろうか。
あかんやろコレは。
「では、ありがとうございまーす」
すちゃと手あげて挨拶すると、手を挙げ返してくれた。
「ところで俺の分は不要なのか」
「今日ご不在でしたので。春高楽しみにしてまーす」
「そうか。良い記事が書けると良いな」
「………あー」
なるほど、バレー関係のコラム記者とでも思われたのか。ではありがたくそう思っていただこう。
「またご縁があれば」
「ああ」
ひとまず問題は解決したので、一息つくと結構周りが見れるようになった。
他の人と違って運動着ではないということは委員会かまたは進路指導か、はたまた取材か。
「……そういえば」
「?」
「制服カッコいいですね、ブレザー。こっちの高校は学ランなので新鮮です」
「そうか、……そういえば」
「はい?」
「こんなに運動着が合わない女子見たのは初めてだな」
「……」
グサァとダメージを負った。(似合わないのは知ってたけど!!)
「肉を食え、日に当たれ、適切な睡眠、そして最後にトレーニングだ」ジリジリジリ
「要求多!!いいです……私は物理で戦わないタイプなんです……頭脳派なんです!」
「いや、それは逃げだと思う。文武両道の言葉にもある通り、真の強者は頭脳も体力も両方必要」
「……うぐう」
白鳥沢エースに論破っぱされた。
「考えておきます……」
「それがいい」
何か心に大きいめのダメージを負って烏野に敗走することとなった。
なぜにあなたはスッキリした顔で見送るのかね。
バイバイとか良いからさっさと体育館へお戻り下さい。