13.戦うカラスたち
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設定主人公: 宇内さん
性別:女
クラス:県立烏野高等学校 1年1組
好物:鶏肉の炭火焼き
最近の悩み事:宮城王国ではカード決済がだいたい使えないこと。さらに登校前と下校後、土日いずれも銀行が空いてないこと。
「小さな巨人」の親戚。運動は苦手。
特技は世話焼き、対年上の振る舞い、念動力の三つ。
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「及川さん、昨日ぶりです。体調はいかがですか?」
「や!この通り万全」
ニコニコ顔でブイサインしてきた。
ちゃんと断りきれなかったのは悪いけど、退散してもらおう。
「私マネージャーの仕事があるので行けません」
「えー??昨日はそんな事言わなかったじゃない!先に約束してたでしょ?」
「言う前に言い逃げされたからです!」
何か言うたびガヤがうるさい。シー!です。
及川さんは最初残念そうな顔をしていたが、突然何か思いついた様子を見せた。嫌な予感。
「いやいやー先行有利でしょー?こう言うの!」
「だからできませんって!」
「せっかく調子整えてきたんだよ!じゃあ、来週ならいい??ね?」
「ドア・イン・ザ・フェイスか!それ妥協じゃないですから!」
ギャーギャー言い合いしていると、疲れてくる。
物理的に飛ばしたろか。25メートルくらいで良いかなあはは。
「一応あのデートも大成功したんです!もう私はアレで行きます!」
「えっそうなの!金にモノを言わせた!?」
「なんて言い草ですかシバきますよ」
「痛い痛い。脛はやめて!明日も練習試合だから」
「大丈夫です私の力じゃそこまで大事に至りません」
げしげしげしと1ダメージを連打する。
……すると何処からか携帯の着信音が。及川さんの胸ポケットだ。光ってる。
「どうぞ?」
「…逃げないでよね」
「わたしにはみんなが憑いている。逃げるわけにはいかないんです」
あちらをご覧下さい。烏野名物、睨み山飛雄です。
「う、ウワァ!ウジャウジャ居る、武装してるし顔こわ飛雄居るし」
「まだまだ増えますよ、ほら電話。出てください」
「マジでカラスじゃん…怖すぎ…はい、徹です」
そういえば向こう静かになったなぁと視線を向ける。
…西谷先輩を筆頭にそれぞれの獲物を携えた彼らは隊列を組んでチューチュートレインしていた。スガさんはカバン振り回すのやめよう。それブラックジャック(武器)。
……あっ旭さんが通りがかって巻き込まれた。怪訝な顔をしていたが手持ちのカーディガンを振り回して参加した。あの人だけ勘違いしている。
そして視界がうるさ過ぎる。
「えっ、あ。教室に居ない?待ち合わせしたっけ??わあわあゴメンゴメン。うー…バレー部じゃ無いけどぉ…待って待って、行くから!!!そこに居て!!何分?……えーとえーと、10で!!先生と進路の話してて!」
よくわからんが良い知らせな予感がするぞ。これは邪魔するべきか?助けるべきか。
……方針は決まったのでポケットから生徒手帳とペンを出す。文字はこうだ。
“職員駐車場に私の原付停めてます。使っても良いし、免許ないなら青城乗せて行きますよ”
見せる、頷いた。
よし。交渉成立。
「ウンウン、あ。電話切るけど安心して。今の先生聞いてもう終わらせてくれるって!5目指すから。名前バレ?無い無い、出してないでしょ……えっと、そうだな…購買で飲み物でも飲んでまってて後でオゴる」
多分そこ窓が校門側じゃない場所だな。抜け目ないな。
原付を取ってくるため及川さんの足元に自分の荷物を置いて職員駐車場に向かった。
「えぇーそれ500円するじゃん!!…いいけどー」
ちなみに塾の時間を理由に申請したら原付通学通りましたヤッタネ。物は試しと言ってみるもんだ。
原付に乗って戻ると、トレインは倍の長さになっていた。いやもう良いよ魔王は何とかなったから。
先頭車両の西谷さんに声をかける。
「応援ありがとうございます。お陰で無力化成功です。後始末に10分離席しますが片付けたら体育館行きます」
「お!!そーか、おーし!!!大成功!!お前ら解散だァ!!!協力感謝するー!」
「なんだ」
「おーい終わりらしいぞー」
「またやろうな」
知らん人を巻き込みながら最終的になんかの催しみたいになったトレインはそれぞれの車庫へ帰っていった。心配そうにこちらを伺う翔陽飛雄とは違い、旭さんも満足そうな顔をしていた。
貴方はもうそれで良いや……。
私は見守るのをやめ、手を振って烏野を後にした。
校門を出ると、ソワソワ及川さんと目があった。もう電話は切ったらしい。あれやっぱ彼女さんじゃないかね、ホントこの人しょーもないな。
彼女居るのに他の女に浮気かよ…。
危うく修羅場に巻き込まれそうになった危機感から半目で見てしまう。こんな尊敬できん歳上中々居ないっすわ。
「及川さん、5ですか?裏ルート行くんでしっかり掴まってください」
「〜〜素直に今はありがとう!ノーヘル?」
「どぞ」
翔陽用に買ったので、男性デザインのオシャレなゴーグル付きヘルメットですよ。
「んんん!!ぃよっしょ!!」
角を曲がった所で方向転換。
ぐぐ、っと力を溜めて普段なら絶対やらない方法で開放する。
「うわああああああああっ!!!」
「口は閉じて!!!」
バビュン!と垂直跳びに推定総重量180キロが宙へ。
Gがめっちゃかかるかと思いきや斥力をかけて中和なんて事もできるんだな私ってなんて器用。
私たちは今、航空法完全アウトの未確認飛行物体だ。
そのまま下へも凄い速さで落下!
「んんんっっっっっっっっ!!」
「大丈夫。早すぎて誰も何もわかんないですよ」
あの落ちる時のフワッと感も消して髪型すら乱れないこの重力操作。芸が細かいでしょう!
しかも誰にも視認できない。凄い!
烏野から”5秒“っすね。今日は調子がいい。
「じゃ、ヘルメットは返してくだいね荷物は足元置きました。では」
今度は通常ルート、10分のほぼ半数ココっすね。
んもーあの人適当言うから〜烏野青城間5分はあり得ないですから〜。
「…………」
「放心。及川さんは正体知っているからできた無茶です。よかったですねハハハ」
「……うん……もういいや…ありがと……」
気持ちくたびれ及川さんは購買部にヨタヨタ消えていった。
「完勝」
私によるブイサインで青城を後にした。
彼女さんと仲直りできるといいっすねー。