陽の光が顔を照らした眩しさで私は薄目を開いた。

夢を見ていた.........。
家族が鬼に喰われる恐ろしい夢を.....。


さぁ、早く起きないと母に怒られてしまう。


起きて朝餉を父と母と兄と四人で食べて、それから母の手伝いをしてから兄と遊ぼう。


一日を想像してふふっと楽しげに笑い目を開け布団から起き上がった。



「え？どこなの？父さん、母さん、お兄ちゃんどこにいるの？」


目を開けるとそこは知らない天井、知らない布団、知らない天井。


困惑してきょろきょろと家族の姿を探す。


部屋を見渡しているとｽｯと襖が開き見知らぬ男が入ってきた。


「気がついたのか！君は昨夜の事を覚えているか」


「昨夜.........。」

男に覚えているかと聞かれ何故だか頭が痛くなる。


う''っと痛む頭を抑えながら昨日を思い出そうとしていると
男は布団の横へ移動し高い背丈で私と目線を合わせるようにしゃがみ頭に手を乗せた。

「大丈夫か。頭が痛むのか？よもや昨夜の鬼に怪我を負わされたのか」


「...お......に.....？」


男の口から出た鬼という単語に頭痛が激しくなる。


激しい頭痛の中ザーｯという奇怪な音と共に映像が頭に流れた。


鬼の気持ち悪い笑み。父や母の最後。兄の叫び声。兄の首が喰い折られる音。


そして鬼を殺さなくてはという自分への暗示。


鬼の頚を断ち切った時の刀から伝わる感触。



あぁ。思い出した。


昨夜の惨劇を。家族の最後を。壊れた日常を。



「う''う''ぅ''あ''あ''ぁ''ぁ''ぅ''」


言葉にできない感情を唸り声や涙と共に吐き出す。

男はただ黙って私の頭に乗せた手をそっと上下に動かしていた。