未来予想図

一緒に住んでから初めて見た。

女装をする彼は思わず見惚れてしまうくらい、とても綺麗だった。

今日、彼は密偵としてパレスの外で重大な任務がある。
別に女装じゃなくても変装であれば良いのではと思うけど、クンツァイトに頼まれたら断れないんだって。

慣れた手つきでメイクする様子を見ていると、骨格は男性なのにどうしてこうも綺麗になれるのかと不思議なくらい。

「なに?」
「いや…本格的だなあって。」
「言っとくけど好きでやってるワケじゃないんだからね。やるなら徹底的にやらないと。もしバレたら恥ずかしいじゃ済まされないんだから」

正論。
どうかご無事で、彼の努力が報われますよう。
誰にも悟られませんように。

…!!?!

おもむろに着替え始めた彼に、思考が止まった。


「…ゾイサイト…それ…わた…私…の…」
「?あぁ、ごめん、何だかキツいと思ったら」
「〜〜〜〜////!!!」



涙目で真っ赤になっているマーキュリーと、女性用の下着を身につけたまま「芯から整えないと」などとしれっと謝るゾイサイトの姿は、とても他人には見せられた光景ではなかった。

おわり。

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