お出かけの夜に
「嘘でしょ!?旅先にそんなの持ち込むなんて!どーゆー神経してんの!?」
ようやく2人きりになれたと思ったのに、部屋に入るなり鞄から現れた参考書一式を見て、つい声を荒らげた。
「ごめんなさい。でも今日一日たくさん遊んだ分、ノルマだけはどうしても終わらせたいの…」
ね?と懇願する彼女に思わず苦笑する。
周りの空気に合わせることの多い彼女が言うのだから聞いてあげたい気持ちもあるけれど。
…まだ?
ねえ、まだ?長くない?
ーーったく!!ほっとかれてる身にもなってよね!
ふてくされてゴロゴロしている間に、寝てしまっていたらしい。
明け方
ふと目を覚まして胸元にホコホコと暖かい熱を感じた。
視線を落とすと、腕の中に潜り込むように寝息をたてている青い髪。
顔が見たくて腕を退けようとしたら、俺の服をそっと掴んでいたことに気づいた。
なにこれ。偶然?
起きている時には決して見せない、こんな甘えのどこまでが無意識なのか。
どちらにしても愛おしさが募る。
そっと抱き寄せて、再び眠りについた。