絶対ならなそうな酔い方で相方を困惑させるまもうさ四四

☆躊躇なく脱ぐ亜美

 2組のカップルが退席するのを見送ってから、ゾイサイトはふと自分の彼女が気になった。
 彼女が酔うことは珍しい。正確にはほろ酔い状態になる事はあるけれど、そもそもそれ以上状態になる前に自分でセーブをかけることができるのだ。だから今日だって――。
 
「亜美は、大丈夫?」
「ええ何も。あの2人も大丈夫よ。今夜は新月だから…少し調子が狂っているんだと思う。明日になればみんな、元どおりに。」
「どういう意味?」
「月のエネルギーが…新月の日は陰りやすいから。心配ないわ。今は外敵の気配もないし、ほんの少し歩調が乱れるようなもの…だから。」

 なるほど、流石はブレーンである。例えアルコールに侵されていても冷静に状況を判断したらしい。安心してねと言いながらトロンとした目でボタンに手をかけている。…?ボタンを?

「亜美、どうしたの?」
「おふろ。あたしももう寝るわ。」

 そう言いながらも手を止めることのない彼女の様子に、いっきにゾイサイトの酔いがさめた。

「ま!ちょ!まっっって!」
 さすがは鉄壁の理性を持ち合わせていた(はずの)彼女である。たとえ酩酊状態にあろうとも日常の身に付いた動作が狂う事は無く、たいそう手際が良い。
ハラリとシャツが落ち、ほんのりと色づいた白い肌が露わになった。

「まてまてまtmt!!!」
 コンマ2秒でそれを拾い上げ、再び肩にかけてやる。だが今度は下を脱…

「やめ!まて!おふろはここじゃない!ちょ、ま!!」
「なんで?」
「なんでも!」

 ゆでダコのように耳まで真っ赤になっているのは彼女ではなくゾイサイトのほう。
 側にあったブランケットでぐるんと彼女を丸めこみ、そのまま抱き上げると必死で自室に連れ帰っていった。

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