手をつなご
まもちゃんと手を繋いで帰ってたら、うさぎがキーキー騒ぎ出した。
「ちびうさばっかり手繋いでずるい!」だって。
いーじゃん。まもちゃんはアンタだけのまもちゃんじゃないんだからね。
「良いじゃないかうさこ、悪かったな。」
「ぷぅ。あたしだってまもちゃんに手ェ繋いでもらって帰りたかったのに」
玄関先でヤキモチやいて発した声が思いの外大きかったから、まもちゃんは少し呆れたような顔して「おとなげないぞ。」とうさぎを嗜めた。
「そーだそーだー!おとなげないぞ、うっさぎ♪」
「なによちびうさ、アンタまで!」
「んべっ」
…でも、ね。ホントはあたし、まもちゃんがうさぎと手を繋いでるところも、パパがママと手を繋いでるところも、あんまり見たことないんだよね…。
だって、
腕組んでるんだもん。それかパパが後ろから腰を抱き寄せてたりしてさ。手を「繋ぐだけ」なんて見たことないのよ。
ちぇ。チビなのが悔しいわ。あたしもいつかうさぎみたいに大きくなったらしてもらえるのかな?
「ホラ2人とも、こんなトコで騒いでないでさっさと中に入れ」
「もう!まもちゃんてばぁ」
「はいはい分かったから」
そう言ってまもちゃんは部屋の戸を開けてあたしを先に、続いてうさぎを中に入れる。
ほらね、こーやって今日もまもちゃんはうさぎの肩を抱いてるじゃない。