2023カレンダー
「えぇっ!?ちびうさちゃん、バレンタインやった事ないの?」
学校の休み時間、桃ちゃんが目をまんまるくして大きな声をあげた。やった事ないっていうか、よく知らないんだよね。ママがパパにチョコレートケーキ作ってあげてるのは見たことあったけど、クリスタルトーキョーでの年中行事は何世紀も前のこの世界とはちょっと違うみたいだし。女の子からあげるとか義理チョコとか、そんな習慣はたぶん初めて聞いた。この時代の2月14日は、好きな人にチョコをプレゼントする日なんだって。
「ちびうさはまだチビだから知らなかったんだよなー」
「ばか九助!あんたみたいなヤツ、義理チョコだって誰からも貰えないわよ!」
「うっせー!そんなモン欲しくねぇよーだ!」
誰にあげるとかそんな話で盛り上がる桃ちゃんと九助を眺めていたら、足元からダイアナがひょっこり顔を出した。
「スモールレディはどなたにプレゼントするのですか?」
「えっ?あたし?」
そうね、あたしだったらもちろん――
*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*
うさぎは今日も夜遅くに帰ってきた。
無限学園の事があって忙しくて忘れてたけど、うさぎたちは受験生。秋ごろからずっとまこちゃんちで勉強してきたけど、「いよいよ大詰め」なんだって。
帰るとすぐお部屋に入って寝ちゃうくらい、最近はホントに疲れてるみたい。そういえば、今週はまもちゃんとも会ってないみたい。
「ねぇ育子ママ、受験生ってそんなに大変なの?」
「そうね。選ばなければどこかしらの高校には入れるでしょうけど、あの子、みんなと同じ学校行けるように頑張るって目標立てたみたいだから。」
「ふーん…ねえ育子ママ!お願いがあるの。あのね――」
*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*
試験まで残り1週間。今日、うさぎは珍しく明るい時間に家に帰ってくる。亜美ちゃんが併願の私立高校の受験に行っているから勉強会がお休みなんだって。
少し前だったら「ちょっとくらい息抜きも必要よね!」なんてクラウンへ遊びに行ったこともあったけど、さすがに試験まで残り2週間と迫ってくると勉強会が無いからと遊ぶ気にはなれないみたい。そんな時に悪いんだけど、ちょっとだけ付き合ってもらうわ。
「うさぎへ。たいへん!だいしきゅうまもちゃんのウチに来て!!」
甘いにおいが残るダイニングテーブルにそんな手紙を書き残して、あたしは急いでまもちゃんの学校へ向かった。
まもちゃんは今日もガッコーが終わったら予備校の自習室で閉館までお勉強するハズ。正門で待ち伏せて、出てきたところを通せんぼしながら"ハクシンの演技"で訴えかけた。
「まもちゃん!たいへんなの!」
「?ちびうさ、どうしたんだこんな所で」
「忙しいところ悪いんだけど、うさぎが大変なの!来て!!」
「うさぎが大変」と聞くと顔色を変えて一緒に走ってくれるまもちゃん。ちょっぴり悔しいけど、そんな所も含めてあたしはまもちゃんのことが大好きなんだ。
まもちゃんは、マンションの玄関が開いている事にちょっとだけ驚いた顔をしていた。
「まもちゃん…!?」
部屋の中では、うさぎが目をまんまるくして立っていた。たった今来たところらしく、まだ肩で息をして。
「うさ!?どうしたんだ?」
「どうしたって…なんで?まもちゃんこそどうしたの?」
「ちびうさが――!ちびうさ?お前、どういう事だ?」
えへへ、ドッキリ大成功!
「じゃーん!ハッピーバレンタイン!」
あたしが育子ママと一緒に作ったガトーショコラを取り出すと、2人とも顔を見合わせてびっくりしてた。
それから3人でお茶して、たくさん笑ったの。まもちゃんちでこうしてテーブルを囲むのも、2人のこんな笑顔を見たのも久しぶり。外は小雪がちらついてきたけど、なんだかとっても暖かかった。
「じゃあうさぎ、あたし先帰るね!謙之パパたちにもチョコ渡さなくっちゃいけないの」
だからあとは2人でごゆっくり。
ちょっぴり惜しいけど、今日だけはうさぎにまもちゃん独り占めさせてあげるわ。
2人とも、試験頑張ってね!
学校の休み時間、桃ちゃんが目をまんまるくして大きな声をあげた。やった事ないっていうか、よく知らないんだよね。ママがパパにチョコレートケーキ作ってあげてるのは見たことあったけど、クリスタルトーキョーでの年中行事は何世紀も前のこの世界とはちょっと違うみたいだし。女の子からあげるとか義理チョコとか、そんな習慣はたぶん初めて聞いた。この時代の2月14日は、好きな人にチョコをプレゼントする日なんだって。
「ちびうさはまだチビだから知らなかったんだよなー」
「ばか九助!あんたみたいなヤツ、義理チョコだって誰からも貰えないわよ!」
「うっせー!そんなモン欲しくねぇよーだ!」
誰にあげるとかそんな話で盛り上がる桃ちゃんと九助を眺めていたら、足元からダイアナがひょっこり顔を出した。
「スモールレディはどなたにプレゼントするのですか?」
「えっ?あたし?」
そうね、あたしだったらもちろん――
*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*
うさぎは今日も夜遅くに帰ってきた。
無限学園の事があって忙しくて忘れてたけど、うさぎたちは受験生。秋ごろからずっとまこちゃんちで勉強してきたけど、「いよいよ大詰め」なんだって。
帰るとすぐお部屋に入って寝ちゃうくらい、最近はホントに疲れてるみたい。そういえば、今週はまもちゃんとも会ってないみたい。
「ねぇ育子ママ、受験生ってそんなに大変なの?」
「そうね。選ばなければどこかしらの高校には入れるでしょうけど、あの子、みんなと同じ学校行けるように頑張るって目標立てたみたいだから。」
「ふーん…ねえ育子ママ!お願いがあるの。あのね――」
*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*
試験まで残り1週間。今日、うさぎは珍しく明るい時間に家に帰ってくる。亜美ちゃんが併願の私立高校の受験に行っているから勉強会がお休みなんだって。
少し前だったら「ちょっとくらい息抜きも必要よね!」なんてクラウンへ遊びに行ったこともあったけど、さすがに試験まで残り2週間と迫ってくると勉強会が無いからと遊ぶ気にはなれないみたい。そんな時に悪いんだけど、ちょっとだけ付き合ってもらうわ。
「うさぎへ。たいへん!だいしきゅうまもちゃんのウチに来て!!」
甘いにおいが残るダイニングテーブルにそんな手紙を書き残して、あたしは急いでまもちゃんの学校へ向かった。
まもちゃんは今日もガッコーが終わったら予備校の自習室で閉館までお勉強するハズ。正門で待ち伏せて、出てきたところを通せんぼしながら"ハクシンの演技"で訴えかけた。
「まもちゃん!たいへんなの!」
「?ちびうさ、どうしたんだこんな所で」
「忙しいところ悪いんだけど、うさぎが大変なの!来て!!」
「うさぎが大変」と聞くと顔色を変えて一緒に走ってくれるまもちゃん。ちょっぴり悔しいけど、そんな所も含めてあたしはまもちゃんのことが大好きなんだ。
まもちゃんは、マンションの玄関が開いている事にちょっとだけ驚いた顔をしていた。
「まもちゃん…!?」
部屋の中では、うさぎが目をまんまるくして立っていた。たった今来たところらしく、まだ肩で息をして。
「うさ!?どうしたんだ?」
「どうしたって…なんで?まもちゃんこそどうしたの?」
「ちびうさが――!ちびうさ?お前、どういう事だ?」
えへへ、ドッキリ大成功!
「じゃーん!ハッピーバレンタイン!」
あたしが育子ママと一緒に作ったガトーショコラを取り出すと、2人とも顔を見合わせてびっくりしてた。
それから3人でお茶して、たくさん笑ったの。まもちゃんちでこうしてテーブルを囲むのも、2人のこんな笑顔を見たのも久しぶり。外は小雪がちらついてきたけど、なんだかとっても暖かかった。
「じゃあうさぎ、あたし先帰るね!謙之パパたちにもチョコ渡さなくっちゃいけないの」
だからあとは2人でごゆっくり。
ちょっぴり惜しいけど、今日だけはうさぎにまもちゃん独り占めさせてあげるわ。
2人とも、試験頑張ってね!