☆゚・*:.。.☆Happy Birthday .。.:*・゚☆.。.:・゚

 今日はあたしの誕生日。高校を卒業してからは5人で顔を合わせる機会が少し減ったけど、それでも毎年欠かさず互いに誕生日をお祝いするのはあの頃からずっと変わらない。例外なく今年もみんながお祝いしてくれることになったから、ウチでみんなで食べようって、あたしから提案したんだ。
「主賓にご馳走作らせるなんて」とは言われても、やっぱりみんなの顔を思い浮かべながらお料理を作るのって楽しいじゃない。

 スーパーで食材を買い込んで、みんながウチに来る時間を逆算しながら頭の中でやることリストを書き出した。
 

 今日のメニューは野菜のディップサラダに特製ミートローフ、今朝焼いたバゲットにリボンやバラの形にしたハムや野菜を可愛く飾りつけたピンチョス。それとホットプレートで作ったパエリアをみんなで囲もう。デザートはバイト先のお店で覚えたピスタチオのムース。なんとなくスペインバルみたいだなーなんて思いながら、フルーツも買って帰って自家製サングリアも作ることにした。実はこのサングリアのレシピは彼から教わった秘伝のレシピなんだ。

 そうだ、帰りにお花を買って帰ろう。最近できた駅前のお花屋さんがいいな。あそこ、商店街の花屋さんよりも可愛いお花の種類が多いから――と、思ったら、先約がいた。


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「やっぱまこちゃんはピンクのバラじゃない?」
「でもピンクにも色々あるよ?せっかくならいろんな色のバラいっぱいあげようよー」
「あ、あのね、バラだけで花束にするのは、またネフライトさんがやると思うから…」
「なんで?」
「また?」
「バラの本数には意味があるのよ。その…まこちゃん、そういうの憧れてたから…」
「ちょっと亜美ちゃんその事情もっと詳しく!」
「えっ…それは…///」
「美奈、野暮ったいこと聞くんじゃないわよ。ピンク系でいくつか違うお花選んで可愛くアレンジしてもらったら?」
「うんわかった、で?で?ネフライト氏がどうしたって!?」
「美奈っ!」
「――あ!分かったそーゆーことね!あたしもまもちゃんに貰ったよー」
「うさぎあんたも黙りなさい!」


――ふふ。何を話しているんだろう?どんな花束になるのかな?
知らなかったよ。今まで誰かのために選ぶことの方が多かったのに、お花を選んでもらうのがこんなに嬉しい事だったなんてね。
 幾つになっても変わらない、賑やかな仲間たち。一生懸命選んでくれている4人の昔から変わらぬ様子に思わず頬が緩んで、見つからないようそっと立ち去った。
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