日々のこと J&R
神社に帰ると、珍しくその姿が見当たらなかった。
「ただいま帰りました。おじいちゃん、レイは?」
四六時中意識しているつもりはないのに、姿が見えないとつい聞いてしまう自分に気づく。
「風邪をひいたらしいな。『大丈夫』とは言ってたが、ずいぶん具合が悪そうだったから今日はもう下がってもらったよ。」
こんな時、家族でもない身分でレイのいる母家に足を向けるのは躊躇われる。様子は気になるけれど、今できるのは彼女に代わってできる仕事をしてあげることだけだろうと、いつも以上に神社の仕事に精を出した。レイの祖父に「悪いけどレイの様子を見てやってくれんかね」と言われるまでは。
襖越しに声をかけたが、返事がない。もう一度声をかけると、細い声で「どうぞ」と返事が返ってきた。弱っている姿を見せたくはないはずなのに、部屋に入れてしまうあたり、相当弱っているのだろう。襖越しに声を上げるのも億劫だったのかもしれない。
いつもとは全く違う弱り様で調子狂うのに、意地っ張りなところだけは弱っていないんだから。
額に手を当てて、じっと心を集中させる。マスターのような力は無くても、俺にでも出来る事はあるかもしれないと。
暫くそうしているうちに、「もう帰ってよ」と弱々しく怒られた。マスターほどヒーリングの力は無いせいだろうか。火照った目元はさっきより熱くなったように感じたけれど…それが熱のせいなのかどうかは分からない。
「ただいま帰りました。おじいちゃん、レイは?」
四六時中意識しているつもりはないのに、姿が見えないとつい聞いてしまう自分に気づく。
「風邪をひいたらしいな。『大丈夫』とは言ってたが、ずいぶん具合が悪そうだったから今日はもう下がってもらったよ。」
こんな時、家族でもない身分でレイのいる母家に足を向けるのは躊躇われる。様子は気になるけれど、今できるのは彼女に代わってできる仕事をしてあげることだけだろうと、いつも以上に神社の仕事に精を出した。レイの祖父に「悪いけどレイの様子を見てやってくれんかね」と言われるまでは。
襖越しに声をかけたが、返事がない。もう一度声をかけると、細い声で「どうぞ」と返事が返ってきた。弱っている姿を見せたくはないはずなのに、部屋に入れてしまうあたり、相当弱っているのだろう。襖越しに声を上げるのも億劫だったのかもしれない。
いつもとは全く違う弱り様で調子狂うのに、意地っ張りなところだけは弱っていないんだから。
額に手を当てて、じっと心を集中させる。マスターのような力は無くても、俺にでも出来る事はあるかもしれないと。
暫くそうしているうちに、「もう帰ってよ」と弱々しく怒られた。マスターほどヒーリングの力は無いせいだろうか。火照った目元はさっきより熱くなったように感じたけれど…それが熱のせいなのかどうかは分からない。