浜辺のカフェテラス
商店街で手頃なタオルを買って戻ってきたら…なにこれ。浜辺では相変わらず激甘なお二人がイチャコラしてるし珍しくジェダイトが彼女と手なんか繋いでニッコニコだし、カフェテラスでは交互にパフェを食べさせ合う人たちと何か知らないけど手握り合って2人だけの世界に入っちゃってる人たち。
「なんだかアタシたち、お邪魔みたいね。」
「タオル…」
心なしかさっきよりさらに赤くなった亜美は、買ってきたタオルを胸元に握りしめてそれ以上は何も言えない様子だった。
「…手、繋いでみる?」
「え…?」
「見てよ。アイツらだけじゃなくて他の知らない人たちも。手ぇ繋いでない方がおかしいんじゃない?」
周りを見渡せば、陽が傾き始めた浜辺はカップルだらけ。そんな状況に彼女は改めて自分の置かれた状況を察したのか、呆然と足を止めた。はい、と手を差し出してみるとーーー暫く躊躇した末に、恐る恐る細い指が重ねられた。
しまった、手に汗かいてたかもしれない、なんて今更少し心配になったけれど、たぶんお互いそんな事に気づくほどの余裕は無かったと思う。
「行きましょ。早くしないと2人が風邪ひいちゃう。」
何故だろう。繋いだら、急に力が湧き上がる。浜辺の王子たちに向かって歩きながら、時々砂に足を取られてはきゅっと強く握り合った。