浜辺のカフェテラス
「なんだアイツ、また彼女いじめたのか?」
パタパタと駆けていく2人を眺めながら、少し離れた席にいたネフライトはまことと顔を見合わせた。頭にはお揃いのサングラス。さっき、立ち寄ったショップで戯れに買ったものだ。
「ーーさあ?どうしたんだろうね。亜美ちゃん怒ってなさそうだけど、真っ赤だったな」
心配するでもなくのんびりと応えるまことに、つくづくこの子はよく気がつく人だと感心する。親友が彼氏に泣かされていようものなら真っ先に拳を上げるだろうに、たった今すれ違った状況はおそらくそうではないと、一瞬でそこまで読み取って微笑ましく見守る様子さえあるのだから。
まことの手の中にあるアイスコーヒーは、だいぶ前からちっとも減っていない。
「それ、飲み切れんのか?珍しくブラックコーヒーなんか頼んで。」
「い…いいじゃん別に。」
そう言いながらストローで氷をつつくけれど、それももうほとんど溶けていて、薄まった液体の音だけがチャプンと応えるだけ。
「無理して飲むなよ。そんな飲み慣れないもん頼んで」
半ば強引にそれを取り上げると、何すんだよと怒りながら「せっかく同じの頼んだのに」と本音を漏らした。言ってしまってからパッと視線を逸らすまことに苦笑して「アイスティーにしてやればよかったかな?」と覗き込むと、もうその顔は首までピンク色。
ギャップ、と言うのだろうか。強いようでいて可憐。大人びているようでいて時々現れる無邪気な可愛さ。知れば知るほどに表面上では知り得なかったそんな一面に引き込まれるのに、放っておける男なんかいるのだろうか。
お待たせしました、と店員が持ってきたパフェを受け取って、スプーンでひとくち掬い取った。
「口直し」
一瞬躊躇ったまことの口がパクッと食いつく。スプーンをなぞる桜色の唇に、目が離せなくなった。
パタパタと駆けていく2人を眺めながら、少し離れた席にいたネフライトはまことと顔を見合わせた。頭にはお揃いのサングラス。さっき、立ち寄ったショップで戯れに買ったものだ。
「ーーさあ?どうしたんだろうね。亜美ちゃん怒ってなさそうだけど、真っ赤だったな」
心配するでもなくのんびりと応えるまことに、つくづくこの子はよく気がつく人だと感心する。親友が彼氏に泣かされていようものなら真っ先に拳を上げるだろうに、たった今すれ違った状況はおそらくそうではないと、一瞬でそこまで読み取って微笑ましく見守る様子さえあるのだから。
まことの手の中にあるアイスコーヒーは、だいぶ前からちっとも減っていない。
「それ、飲み切れんのか?珍しくブラックコーヒーなんか頼んで。」
「い…いいじゃん別に。」
そう言いながらストローで氷をつつくけれど、それももうほとんど溶けていて、薄まった液体の音だけがチャプンと応えるだけ。
「無理して飲むなよ。そんな飲み慣れないもん頼んで」
半ば強引にそれを取り上げると、何すんだよと怒りながら「せっかく同じの頼んだのに」と本音を漏らした。言ってしまってからパッと視線を逸らすまことに苦笑して「アイスティーにしてやればよかったかな?」と覗き込むと、もうその顔は首までピンク色。
ギャップ、と言うのだろうか。強いようでいて可憐。大人びているようでいて時々現れる無邪気な可愛さ。知れば知るほどに表面上では知り得なかったそんな一面に引き込まれるのに、放っておける男なんかいるのだろうか。
お待たせしました、と店員が持ってきたパフェを受け取って、スプーンでひとくち掬い取った。
「口直し」
一瞬躊躇ったまことの口がパクッと食いつく。スプーンをなぞる桜色の唇に、目が離せなくなった。