思い思われ
最近、よく会う。
彼女が図書館に通う頻度が増えたから。
今までだったら放課後、皆と別れても仲の良い子の家へ誘われてしまうことが多かったのに。
彼女には少し申し訳ないけれど、あの2人が付き合いだしたおかげだ。
そこに行けば会える頻度が増えた事だけを考えれば、私にとってはありがたい事だけど
あの子の心を思うと…ね。
「亜美ちゃんのママ、お医者さんだからいつも忙しいの」
お団子頭から聞いたのは、あの広い家に独りでいる事が多いという話。
だから、真っ直ぐ帰らずここでお勉強しているの?
ほら。今日もやっぱり、どこか寂しげな顔。
「送って行くよ」
「…ありがとうございます。でも、ここまでで結構です。悪いですから…」
そう言って頑なに距離を保つあなたは、丁寧にお辞儀して離れていく。
去り際に微笑む眼差しに少し名残惜しそうな空気を感じたのは気のせいかしら。
今も昔も、ちょっぴり堅い人。
少しは甘えてくれたって良いのに。
私に、あなたの孤独を埋めることができたなら
「悪くなんかないから、家の前まで送らせて。そんなに本借りてたら重いでしょ」
ーー自分でも意外なくらい、少し強引に彼女の鞄に手をかけた。
一瞬身体を硬らせて、答えを考えあぐねる間にスルリと鞄の持ち手を取りあげて。
少しだけ、側にいさせて。