はじめの頃の
5回目
今日、亜美ちゃんがここへ来てみんなとおしゃべりしながら携帯を気にした回数。
何も通知がないのを確認すると、ポケットにそれを戻して何事も無かったかのようにしている。けど。
「ーーーねっ⁉︎亜美ちゃんもそう思わない?」
突然うさぎちゃんから話を振られると、目をぱちくりさせて我に返った様子。
「…ごっ…ごめんなさい、ちょっとボーッとしちゃって…」
うん。わかる。
昨日までは毎日同じくらいの時間に電話なりメールなり何かしら連絡きてたもんね。アイツから。
その度に亜美ちゃんは少し困ったような、恥ずかしそうな顔していたけど、今日はたぶん、一度も連絡が来てないんでしょ?
ほら、またポケットに手。
少し前までそんなことを気にする子じゃ無かったのに、いちど習慣づけられてしまうと連絡が無いだけでアイツのことが気になってしまうみたい。
そろそろ帰ろうか、というタイミングで鳴った着信音。
「ーーえぇ。いま、クラウンに…え、今から?
…わかったわ。…うん。…じゃあ、また。」
以前ならみんなと別れた後、あたしが家に誘う事が無ければいつも真っ直ぐお家に帰ってお勉強だったけど、今日は違いそう。
そんな亜美ちゃんの様子に美奈がニヤニヤしながらあたしの肩を小突いてきた。
「ゾイサイトって、あーゆーところあざといよね」