私の部屋にサンタさんが来たと思ったらクラベルさんだった
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12月25日、クリスマス。
それは子供達がサンタさんからプレゼントを貰い、恋人や友達がいる人はパーティーをして楽しんだりして過ごす日だ。
……仕事がない人はの話だが。
「はぁ…残念だなぁ」
テーブルの上に並べられたオードブルやドリンクは美味しそうなのに、一人で食べると思うと虚しくなる。
本来なら恋人であるクラベルさんとクリスマスを過ごすはずだったのに、1週間前に突然学会へ呼ばれてしまったらしくパルデアの地から離れた場所に行ってしまった。
その事を話すクラベルさんの申し訳なさそうな顔が目に浮かぶ。
こちらの方が先に約束をしていたけど、急な仕事なのであればそちらを優先するのは仕方がないし、約束を反故されたとしてそれに対して文句を言う歳でもない。
代わりに26日に会うことになったんだからそれでいいのに、
(やっぱりクリスマス当日だから特別なんだよねぇ…こういうのって)
カチャリ、ガチャ
(………?あ、れ…今、扉開いた?)
いつの間にかソファで寝落ちていたらしく、時間は分からないが窓の外は暗いので夜なのだろう。それよりも聞き間違いで無ければ今自分の部屋の扉が開いて、誰かが入ってきた可能性がある。
そう気づいた時に夢見心地だった気分は急降下して、血の気が引いた。
コツ…コツ…コツ…
(き、聞き間違いじゃない…!な、何?泥棒?)
だんだん近づいてくる足音にビクビクしながらブランケットに包まりつつ、応戦しようとテーブルの上にあったリモコンと手に取って身構える。
そして、廊下とリビングを繋ぐ扉の磨りガラス越しに写る人影を視認し、リモコンを構えながら勢いよく扉を開けた。
「…!」
「う、動かないでください!!!怪しい動きをしたらすぐ警察に通報しますよ!!」
「ま、待ってください!私は決して怪しいものではありません!!」
「……へっ?あれ、この声……」
聞き覚えのある声に廊下の明かりをつけて見ると、赤い服に赤い帽子、白い口ひげ、手には大きな白い袋……の。
「何してるんですか、クラベルさん?」
「違います。私はサンタクロースです」
口ひげをつけているけど、特徴のあるメガネに揉み上げは完全にクラベルさんだ。
でも頑なにそれを認めず、自分はサンタだと言い張って曲げない彼に諦めてため息をついた。
「もうそれでいいです……それよりもサンタさん、なんでこんな時間に入って来たんですか?合鍵は渡してましたから、入れるのは分かってるんですけど」
「本来であれば家主に無断で入るのは気が引けましたが、そこはほら…クリスマスですから。今日忙しくて会えなかったクラベルの代わりに、私がプレゼントを枕元に置いてそっと立ち去るつもりでした」
(その為だけにそんな格好になったのかなこの人…)
形から入るタイプだとは思ってたけどこれまでとは…相変わらずおちゃめさんである。そして、クラベルさん改めサンタさんは袋の中から細長い小さな箱を取り出した。
「ほっほぉ〜メリークリスマス、です」
「あ、ありがとうございます……」
開けてもいいか聞いて、頷いたのを確認してから包装紙を解き箱を開けると
そこには可愛らしいピンク色の宝石がついたネックレスが入っていた。
「わぁ、綺麗…ほんとに貰ってもいいんですか?」
「勿論です、貴女の為に選んだんですから」
「嬉しい……ねぇ、サンタさん」
「はい、なんでしょうか?」
「私、もう1つプレゼントが欲しいんですけどお願いしてもいいですか?」
「ええ、いいですよ」
そして私はサンタさんに抱きついた。彼も慌てることはなく腕を受け止めてくれる。
ぎゅっと力を込めると私の好きな香りに包まれた。
「暫く会えなかったクラベルさんに会いたいんです。直接プレゼントを渡したいので連れてきてくれますか?」
「……分かりました、少しお待ちください」
ゴソゴソと付け髭と帽子をとって漸くクラベルさんに戻った。
「ふふ、やっと会えました」
「貴女からのお願いですからね、断れませんよ」
「1年に1度会えるサンタさんも良いですけど、やっぱり大好きな人に会いたかったですから」
「おやおや、嬉しいことを言ってくれますね」
「クラベルさん」
「はい、なんでしょうか?」
少し背伸びをして彼の唇に自身のを重ねる。ちゅっと小さく音を立てて離れたあと、とびきりの笑顔で「メリークリスマス!」と言った。突然の私の行動にきょとんとしていたが、はにかみながらクラベルさんも「えぇ、メリークリスマス」と返してくれた。
(可愛らしいプレゼントを頂いてしまいました)
(あ、ちゃ、ちゃんとクラベルさんへのプレゼントは用意してますから!)
(ふふ、それも楽しみです)
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