まずは交換日記から始めましょう【前編】
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「……そう、か」
てっきり、お願いします。これからもまたよろしくねって言ってくれるんじゃないかと期待してた分落胆する。きっと真面目な子だから、直接伝えようと呼び出してくれたんだなと思う。落ち込んだ気持ちに比例して目線も下がり、帽子のつばを抑えながらナナシくんの靴先を見つめる。
「……分かった!わざわざ言ってくれてありがとう。これから学校の中で見かけても話しかけることはしないし、関わったりもしないから!」
「え、あ、あの…」
「あ、調べたデータとかも悪用するつもりもないよあの後すぐにパソコンからは消したから、安心していいからね」
「ピーニャくん、ま、まって」
「じゃあ、そろそろ帰らないと先生にこんな時間に見つかったら叱られちゃうよ。あ、それかボクと一緒に出て誰かに見られたらまずいよね?先にナナシくんが出なよ。ボクは後から出るから…」
「待ってったら!」
か細くも鋭い声で叫んだ彼女に驚いて、言葉が途切れる。彼女の方もハッとして小さく「ごめんなさい」と謝って続けた。
「ちょっと…言葉足らずでした。私が言いたかったのは、これからは交換日記じゃなくてこうやって直接会ってお話したいなって。ナナシじゃなくて“私”としてピーニャくんとお友達になりたいです」
「…!」
「ダメ…ですか?」
「ダメだなんて……そんなことありえないっしょ!寧ろ、こちらこそよろしくって感じ?」
そう笑いかけて、右手を差し出す。ボクの顔と手を交互に見た後、眉を下げながら彼女はふにゃりとはにかみ、そしてそっとボクの手を掴んだ。
一回りも小さく柔らかいその手の温もりに胸がきゅっと摘まれたような痛みが走る。
(………?)
「ピーニャくん?」
「え?あ、ううんなんでもないよ。それよりさ」
「うん?」
「そろそろ“名前”…教えてくれないかな?」
「あっ!………初めまして。私、ハヅキっていいます。これからよろしくお願いします!」
「ん、こちらこそよろしくね」
「ふふ…なんだか夢みたい」
その顔にまた胸が苦しくなった。
*
「で、結局交換日記は続けてるんだな」
頬杖をついているオルティガはメモを書いているボクの顔を見つめながら呟いた。あの後、ボクの方から楽しかったからまたやらない?と提案して再開したのだ。それ以外でも、学校のどこかで会えば挨拶するし、勉強を一緒にしたりする間柄になった。
メモを少し腕で隠しながら「見ないでよ」と言ったら「いや、流石に見てないし」とキッパリ返される。
「まぁでも結果何であれ、良かったじゃん。友達としてこれからは直接話したりできるようになったんだろ?」
「うん、まぁ…そう、だね」
煮え切らないボクの言葉に、首を傾げているオルティガと別れて自室へと戻る。机に置かれた日記を広げて、ハヅキくんのページを読む。どのページを見ても綺麗で少し丸みを帯びた文字、可愛く描かれた挿絵、日常で起こった出来事や授業の話。どこかで何かをしているハヅキくんを想像する度に胸は高鳴る。
最初は体調が悪いのかなと思って保健室にも行ったけど、症状とか発症した時の話をしたら
「あぁ〜なるほどねぇ………うん、異常なし。病気じゃないし安心していいから!」
最後に「青春してんねぇ〜羨ましいわ」と何故かミモザ先生にため息をつかれてしまった。病気じゃないならなんなんだろうか?
考えてみるけど自分の中には正解は見つからなくて、だったらネットで調べたら答えは出るのかなと思ってスマホロトムを起動した。
その答えを知った時、ボクは動揺して椅子から転げ落ちることになるとはまだ知らない。
てっきり、お願いします。これからもまたよろしくねって言ってくれるんじゃないかと期待してた分落胆する。きっと真面目な子だから、直接伝えようと呼び出してくれたんだなと思う。落ち込んだ気持ちに比例して目線も下がり、帽子のつばを抑えながらナナシくんの靴先を見つめる。
「……分かった!わざわざ言ってくれてありがとう。これから学校の中で見かけても話しかけることはしないし、関わったりもしないから!」
「え、あ、あの…」
「あ、調べたデータとかも悪用するつもりもないよあの後すぐにパソコンからは消したから、安心していいからね」
「ピーニャくん、ま、まって」
「じゃあ、そろそろ帰らないと先生にこんな時間に見つかったら叱られちゃうよ。あ、それかボクと一緒に出て誰かに見られたらまずいよね?先にナナシくんが出なよ。ボクは後から出るから…」
「待ってったら!」
か細くも鋭い声で叫んだ彼女に驚いて、言葉が途切れる。彼女の方もハッとして小さく「ごめんなさい」と謝って続けた。
「ちょっと…言葉足らずでした。私が言いたかったのは、これからは交換日記じゃなくてこうやって直接会ってお話したいなって。ナナシじゃなくて“私”としてピーニャくんとお友達になりたいです」
「…!」
「ダメ…ですか?」
「ダメだなんて……そんなことありえないっしょ!寧ろ、こちらこそよろしくって感じ?」
そう笑いかけて、右手を差し出す。ボクの顔と手を交互に見た後、眉を下げながら彼女はふにゃりとはにかみ、そしてそっとボクの手を掴んだ。
一回りも小さく柔らかいその手の温もりに胸がきゅっと摘まれたような痛みが走る。
(………?)
「ピーニャくん?」
「え?あ、ううんなんでもないよ。それよりさ」
「うん?」
「そろそろ“名前”…教えてくれないかな?」
「あっ!………初めまして。私、ハヅキっていいます。これからよろしくお願いします!」
「ん、こちらこそよろしくね」
「ふふ…なんだか夢みたい」
その顔にまた胸が苦しくなった。
*
「で、結局交換日記は続けてるんだな」
頬杖をついているオルティガはメモを書いているボクの顔を見つめながら呟いた。あの後、ボクの方から楽しかったからまたやらない?と提案して再開したのだ。それ以外でも、学校のどこかで会えば挨拶するし、勉強を一緒にしたりする間柄になった。
メモを少し腕で隠しながら「見ないでよ」と言ったら「いや、流石に見てないし」とキッパリ返される。
「まぁでも結果何であれ、良かったじゃん。友達としてこれからは直接話したりできるようになったんだろ?」
「うん、まぁ…そう、だね」
煮え切らないボクの言葉に、首を傾げているオルティガと別れて自室へと戻る。机に置かれた日記を広げて、ハヅキくんのページを読む。どのページを見ても綺麗で少し丸みを帯びた文字、可愛く描かれた挿絵、日常で起こった出来事や授業の話。どこかで何かをしているハヅキくんを想像する度に胸は高鳴る。
最初は体調が悪いのかなと思って保健室にも行ったけど、症状とか発症した時の話をしたら
「あぁ〜なるほどねぇ………うん、異常なし。病気じゃないし安心していいから!」
最後に「青春してんねぇ〜羨ましいわ」と何故かミモザ先生にため息をつかれてしまった。病気じゃないならなんなんだろうか?
考えてみるけど自分の中には正解は見つからなくて、だったらネットで調べたら答えは出るのかなと思ってスマホロトムを起動した。
その答えを知った時、ボクは動揺して椅子から転げ落ちることになるとはまだ知らない。
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