まずは交換日記から始めましょう【前編】
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(どうしよう、バレちゃった……よね。日記のやり取りをしていたのが私だったって知ってどう思ったんだろう。ガッカリしたかな?どうしよう怖い………)
あれから毎日続けていた交換日記は 、ずっと私の自室の引き出しに眠っている。あれだけ伝えるだなんだと言っておいて、いざ書こうとペンを握ればあの時のことを思い出して手が動かなかった。朝もピーニャくんのいる所から離れたゲートから入って登校しているので、挨拶をすることもない。姿が見れなくて寂しい気持ちもあるけど、これで良かったんだ。楽しい時間を過ごせたんだからそれで満足。
こうして私の日常からピーニャくんはいなくなって、元の味気ない学校生活が続いていった。
ある日、自室の扉の下から何かが顔を覗かせていた。
拾うとそれは手紙で差出人の名前にはピーニャと書かれていて固まる。宛名は“ナナシくんへ”。
何が書かれているのか……中身を読むのは怖いけどピーニャくんの言葉をしっかりと受け止めなければいけない。
恐る恐る封を切った。
『ナナシくんへ
突然のお手紙驚かせちゃったよね?なんでボクが部屋がある場所を知ったかと言うと、友達に調べるのが得意な子がいて、その子にキミの見た目を教えたら直ぐに調べてくれたんだ。本当は、こういうのってあんまりしたくなかったんだけど、このままだともうキミとの関わりが無くなるって考えたらなんだか、それって凄く寂しいなと思って。
だから、せめてボクの言葉だけでも伝わればいいなと思って手紙を書きました。
キミと行ってきたこの交換日記は、ボクにとって有意義な時間でナナシくんはどんなことを書くんだろうか、ボクの日記は楽しんでくれてるかなとか考えてたよ。
ナナシくんが良ければまた交換日記を続けたい。お返事待ってます
ピーニャ』
「……………。」
手紙を持つ手にいつの間にか力が入っていたようで、くしゃりと音が鳴った。文章の中には私の事を調べたとある。私のことを調べたということは当然私の“名前”も気づいてるはずなのに、敢えて呼び方を変えずに“ナナシ”と呼んでくれるピーニャくんの配慮に胸が熱くなる。
手紙を大事にしまい、そして引き出しに入れっぱなしだった交換日記を取り出して続きのページに一言だけ書いた。
『ピーニャくんへ
今日の夜、グランドで待ってます』
*
久しぶりにボクの元へ届いた日記を読んでから数時間後、日が落ちて星空が煌めく中早足でグランドへと向かっていた。
扉を開けてグランドを見ると、バトルフィールドの真ん中に此方へ背中を向けている人の姿。
「ナナシくん」
そう呼ぶと、その子はゆっくり振り返る。あの時、男子生徒とぶつかった女の子だというのは考えなくても良く分かった。
不安そうな顔でこちらを見て、僕の様子を伺っている。
「……………。」
「やっぱり、キミがナナシくんだったんだね。」
「…はい。あの、心配してくれたのに逃げたりしてごめんなさい」
「いや。ボクにバレて驚いたんでしょ?なら仕方ないっしょ」
そう言って笑ってみせるが、表情は難しそうな顔のままだ。
「それより、手紙は読んでくれた?」
「っ……う、うん」
「そっか、なら分かるとは思うんだけどボクは何も気にしてない。キミとまた交換日記がしたいと思ってる……どうかな?」
リュックからノートを取り出し、彼女の目の前に差し出す。顔には出さなかったけど、少しドキドキして手に汗が滲んだ。
じっとノートを見つめた後、ナナシくんは口を開いた。
「ごめんなさい。もう、ピーニャくんとは交換日記は……出来ません」
あれから毎日続けていた交換日記は 、ずっと私の自室の引き出しに眠っている。あれだけ伝えるだなんだと言っておいて、いざ書こうとペンを握ればあの時のことを思い出して手が動かなかった。朝もピーニャくんのいる所から離れたゲートから入って登校しているので、挨拶をすることもない。姿が見れなくて寂しい気持ちもあるけど、これで良かったんだ。楽しい時間を過ごせたんだからそれで満足。
こうして私の日常からピーニャくんはいなくなって、元の味気ない学校生活が続いていった。
ある日、自室の扉の下から何かが顔を覗かせていた。
拾うとそれは手紙で差出人の名前にはピーニャと書かれていて固まる。宛名は“ナナシくんへ”。
何が書かれているのか……中身を読むのは怖いけどピーニャくんの言葉をしっかりと受け止めなければいけない。
恐る恐る封を切った。
『ナナシくんへ
突然のお手紙驚かせちゃったよね?なんでボクが部屋がある場所を知ったかと言うと、友達に調べるのが得意な子がいて、その子にキミの見た目を教えたら直ぐに調べてくれたんだ。本当は、こういうのってあんまりしたくなかったんだけど、このままだともうキミとの関わりが無くなるって考えたらなんだか、それって凄く寂しいなと思って。
だから、せめてボクの言葉だけでも伝わればいいなと思って手紙を書きました。
キミと行ってきたこの交換日記は、ボクにとって有意義な時間でナナシくんはどんなことを書くんだろうか、ボクの日記は楽しんでくれてるかなとか考えてたよ。
ナナシくんが良ければまた交換日記を続けたい。お返事待ってます
ピーニャ』
「……………。」
手紙を持つ手にいつの間にか力が入っていたようで、くしゃりと音が鳴った。文章の中には私の事を調べたとある。私のことを調べたということは当然私の“名前”も気づいてるはずなのに、敢えて呼び方を変えずに“ナナシ”と呼んでくれるピーニャくんの配慮に胸が熱くなる。
手紙を大事にしまい、そして引き出しに入れっぱなしだった交換日記を取り出して続きのページに一言だけ書いた。
『ピーニャくんへ
今日の夜、グランドで待ってます』
*
久しぶりにボクの元へ届いた日記を読んでから数時間後、日が落ちて星空が煌めく中早足でグランドへと向かっていた。
扉を開けてグランドを見ると、バトルフィールドの真ん中に此方へ背中を向けている人の姿。
「ナナシくん」
そう呼ぶと、その子はゆっくり振り返る。あの時、男子生徒とぶつかった女の子だというのは考えなくても良く分かった。
不安そうな顔でこちらを見て、僕の様子を伺っている。
「……………。」
「やっぱり、キミがナナシくんだったんだね。」
「…はい。あの、心配してくれたのに逃げたりしてごめんなさい」
「いや。ボクにバレて驚いたんでしょ?なら仕方ないっしょ」
そう言って笑ってみせるが、表情は難しそうな顔のままだ。
「それより、手紙は読んでくれた?」
「っ……う、うん」
「そっか、なら分かるとは思うんだけどボクは何も気にしてない。キミとまた交換日記がしたいと思ってる……どうかな?」
リュックからノートを取り出し、彼女の目の前に差し出す。顔には出さなかったけど、少しドキドキして手に汗が滲んだ。
じっとノートを見つめた後、ナナシくんは口を開いた。
「ごめんなさい。もう、ピーニャくんとは交換日記は……出来ません」