まずは交換日記から始めましょう【前編】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今の人達はメッセージのやり取りをしてお付き合いに発展していくんですね」
「急にどうされたんですか?」
「この間、生徒さん達が話してるのを聞いてしまいまして、私が若い頃にはまだスマホはおろか携帯電話も普及していなかったものですから。」
エントランスの本棚を物色中、前と同じようなシチュエーションで校長先生とタイム先生の会話が聞こえてきた。どうやら生徒間の恋バナについて話しているみたい。
「まぁ、そうですねぇ。直接言うよりも相手の顔が見えにくいから伝えやすいのでしょうね。」
「でも考えてみると、ものが違うだけで私たちの時も同じような事をやっていたなと思いまして…ほら、お手紙で伝えるだとかまずは交換日記からだとか…その時代時代の味があるということですね」
「交換日記!懐かしいですねぇ…相手の方がその日何をしていたかが知れてなんだかドキドキした記憶がありますもの」
昔話に花を咲かせ始めた2人の話を聞いていて、これだ!と閃いたのだ。
(交換日記!これなら直接話さずにやり取りが出来るから、私でもピーニャくんと仲良くなれるかもしれない)
思い立ったが吉日とはよく言ったもので、急いで購買部で新しいノートを買ってきたまでは良かったのだけど……。
(これ、どうやって渡せばいいんだろう。)
完全にその辺を失念していた。交換するためには本人に渡さないと意味が無い。見ず知らずの人間が急に「あ、あの私と交換日記してくれますか?」なんて言ってきたらどう思うだろう。自分だったら、え?何?怖い……関わらんとこってなる。せっかく湧いていたやる気も見る影もなく、しょぼくれていた私だったけど校長先生の話ていた言葉を思い出した。
(あ、そうだ!手紙をつけてピーニャくんの部屋に掛けておけば…)
それなら本人に接触せずに渡せるし、姿を見せる心配もない。早速、便箋に文字をしたためていくそして、ノートの1ページ目にペン先を置いて手が止まった。名前を名乗るべきか、どうか。本来ならちゃんと書いた方がいいのは分かってるけど、なにかの拍子に私の事を知ったらピーニャくんがどんな反応するのかを考えたら怖くてできなかった。
幻滅されたくない、引かれたくない、嫌われたくない。だから、ノートには名無しの権兵衛からとって“ナナシ”と書いた。
(ノート受け取ってくれますように)
そう想いを込めて、ドアノブに紙袋を掛けていった。
「急にどうされたんですか?」
「この間、生徒さん達が話してるのを聞いてしまいまして、私が若い頃にはまだスマホはおろか携帯電話も普及していなかったものですから。」
エントランスの本棚を物色中、前と同じようなシチュエーションで校長先生とタイム先生の会話が聞こえてきた。どうやら生徒間の恋バナについて話しているみたい。
「まぁ、そうですねぇ。直接言うよりも相手の顔が見えにくいから伝えやすいのでしょうね。」
「でも考えてみると、ものが違うだけで私たちの時も同じような事をやっていたなと思いまして…ほら、お手紙で伝えるだとかまずは交換日記からだとか…その時代時代の味があるということですね」
「交換日記!懐かしいですねぇ…相手の方がその日何をしていたかが知れてなんだかドキドキした記憶がありますもの」
昔話に花を咲かせ始めた2人の話を聞いていて、これだ!と閃いたのだ。
(交換日記!これなら直接話さずにやり取りが出来るから、私でもピーニャくんと仲良くなれるかもしれない)
思い立ったが吉日とはよく言ったもので、急いで購買部で新しいノートを買ってきたまでは良かったのだけど……。
(これ、どうやって渡せばいいんだろう。)
完全にその辺を失念していた。交換するためには本人に渡さないと意味が無い。見ず知らずの人間が急に「あ、あの私と交換日記してくれますか?」なんて言ってきたらどう思うだろう。自分だったら、え?何?怖い……関わらんとこってなる。せっかく湧いていたやる気も見る影もなく、しょぼくれていた私だったけど校長先生の話ていた言葉を思い出した。
(あ、そうだ!手紙をつけてピーニャくんの部屋に掛けておけば…)
それなら本人に接触せずに渡せるし、姿を見せる心配もない。早速、便箋に文字をしたためていくそして、ノートの1ページ目にペン先を置いて手が止まった。名前を名乗るべきか、どうか。本来ならちゃんと書いた方がいいのは分かってるけど、なにかの拍子に私の事を知ったらピーニャくんがどんな反応するのかを考えたら怖くてできなかった。
幻滅されたくない、引かれたくない、嫌われたくない。だから、ノートには名無しの権兵衛からとって“ナナシ”と書いた。
(ノート受け取ってくれますように)
そう想いを込めて、ドアノブに紙袋を掛けていった。