The bitter Valentineday
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
(アオキさんどこ行ったんだろう?)
休憩に入りいざ声をかけようとしたら、アオキさんの姿が見当たらなくて食堂やトイレ付近を散策したが未だに見つからなかった。
時間を気にしながら必死で探すと、当初の目的地だった非常階段の扉の前にいるアオキさんの背中を見つけた。
「(あ、居た!)アオキさ……!」
どんどん近づくと向かいにもう1人立っているのに気がついて思わず隠れてしまった。目を凝らして相手を見ると、あれは今年度入ってきた新人の女の子だ。その手には可愛らしくラッピングされた箱が握られていた。
(うわ、あれ絶対本命だ…。まぁ、でも人気のない所に呼び出してる時点でそういうことなんだろうけど)
先を越されてしまったことと、アオキさんが受け取ってしまったらどうしようという気持ちで焦るが、今出ていっても邪魔者になるだけなのでただ成り行きを見守ることしか出来ない。
「ア、アオキさん!私、入社する前からジムリーダーとして活躍する貴方がずっと好きでした!!これ、一生懸命作ったんです。受け取ってください!」
「…すみませんが、自分は貴女のことをそういう風に見たことはありません。
なので気持ちにはお答えすることはできません。」
「そ、うですか…」
「それと申し訳ないですが、本命や義理に関わらず手作りのものは全部断ってます。せっかく作ってもらっておいてなんですけども」
「ぇ…」
思わず漏れた声は私だったのか彼女だったのか分からなかったけど、アオキさんから発せられた言葉に血の気が引いた。
まさか手作りがNGだったなんて、でも思い返したらアオキさんが今まで貰っていたのは全て市販のチョコレートだったかも…。完全に私のリサーチ不足だ。そうこうしている間に向こうから人が動く気配を感じて慌ててそこから離れた。
(そっか…手作りダメなんだ。)
決してアオキさんが悪いわけじゃない、知らずに作った私が100悪いのだけど…でもなんだか私の気持ちも否定されたような気がして、勝手に悲しくなってしまった。
しかし、新人の子みたいに自分の想いを伝えた訳でもない。なんなら同じ場所に立ってすらいない。手に持ったままのチョコレートが私の気持ちと同じく行き場をなくしてしまっただけ。
ただそれだけだ。
(恥をかく前でよかったってことにしよう)
勢いに任せてカバンに戻したチョコの包装紙がぐしゃぐしゃになったけど、その事を無視して私は午後の業務に励むことにした。
*
「お疲れ様でしたぁ」
定時になり、各々片付けて家路に着く準備をしている。かくいう私も凝り固まった肩を回しながら、鞄に持ち物を入れていく。その時に手紙がないことに気づいてしまった。鞄の隅々まで漁ってみたがどこにも無く、机周りも確認したが見当たらない。
いつ失くした?
お昼には手に持っていたのは覚えている。
だとしたらオフィスに戻るまでの廊下…?
(ど、どうしよう…!早く見つけないと)
いたずらに拾われて、中身を開けられたら恥ずかしくて生きていけない。急いで非常階段までの道を歩きながら手紙を探す。が、なかなか見つからず呆然と立ち尽くした。
告白の現場には出くわすし、手作りがダメで渡せないし、手紙は失くすし…。
ここまで来ると私は一生アオキさんに好きって言っちゃダメなんじゃないかって思えてきて、気持ちが沈んできた。
(もう…もういいや、諦めちゃおう)
暫くは落ち込むけど、時間が経てばいつか好きな気持ちも落ち着いてくるよね。ふぅと息をついて、帰路につこうと出口へと向かった。
休憩に入りいざ声をかけようとしたら、アオキさんの姿が見当たらなくて食堂やトイレ付近を散策したが未だに見つからなかった。
時間を気にしながら必死で探すと、当初の目的地だった非常階段の扉の前にいるアオキさんの背中を見つけた。
「(あ、居た!)アオキさ……!」
どんどん近づくと向かいにもう1人立っているのに気がついて思わず隠れてしまった。目を凝らして相手を見ると、あれは今年度入ってきた新人の女の子だ。その手には可愛らしくラッピングされた箱が握られていた。
(うわ、あれ絶対本命だ…。まぁ、でも人気のない所に呼び出してる時点でそういうことなんだろうけど)
先を越されてしまったことと、アオキさんが受け取ってしまったらどうしようという気持ちで焦るが、今出ていっても邪魔者になるだけなのでただ成り行きを見守ることしか出来ない。
「ア、アオキさん!私、入社する前からジムリーダーとして活躍する貴方がずっと好きでした!!これ、一生懸命作ったんです。受け取ってください!」
「…すみませんが、自分は貴女のことをそういう風に見たことはありません。
なので気持ちにはお答えすることはできません。」
「そ、うですか…」
「それと申し訳ないですが、本命や義理に関わらず手作りのものは全部断ってます。せっかく作ってもらっておいてなんですけども」
「ぇ…」
思わず漏れた声は私だったのか彼女だったのか分からなかったけど、アオキさんから発せられた言葉に血の気が引いた。
まさか手作りがNGだったなんて、でも思い返したらアオキさんが今まで貰っていたのは全て市販のチョコレートだったかも…。完全に私のリサーチ不足だ。そうこうしている間に向こうから人が動く気配を感じて慌ててそこから離れた。
(そっか…手作りダメなんだ。)
決してアオキさんが悪いわけじゃない、知らずに作った私が100悪いのだけど…でもなんだか私の気持ちも否定されたような気がして、勝手に悲しくなってしまった。
しかし、新人の子みたいに自分の想いを伝えた訳でもない。なんなら同じ場所に立ってすらいない。手に持ったままのチョコレートが私の気持ちと同じく行き場をなくしてしまっただけ。
ただそれだけだ。
(恥をかく前でよかったってことにしよう)
勢いに任せてカバンに戻したチョコの包装紙がぐしゃぐしゃになったけど、その事を無視して私は午後の業務に励むことにした。
*
「お疲れ様でしたぁ」
定時になり、各々片付けて家路に着く準備をしている。かくいう私も凝り固まった肩を回しながら、鞄に持ち物を入れていく。その時に手紙がないことに気づいてしまった。鞄の隅々まで漁ってみたがどこにも無く、机周りも確認したが見当たらない。
いつ失くした?
お昼には手に持っていたのは覚えている。
だとしたらオフィスに戻るまでの廊下…?
(ど、どうしよう…!早く見つけないと)
いたずらに拾われて、中身を開けられたら恥ずかしくて生きていけない。急いで非常階段までの道を歩きながら手紙を探す。が、なかなか見つからず呆然と立ち尽くした。
告白の現場には出くわすし、手作りがダメで渡せないし、手紙は失くすし…。
ここまで来ると私は一生アオキさんに好きって言っちゃダメなんじゃないかって思えてきて、気持ちが沈んできた。
(もう…もういいや、諦めちゃおう)
暫くは落ち込むけど、時間が経てばいつか好きな気持ちも落ち着いてくるよね。ふぅと息をついて、帰路につこうと出口へと向かった。