【ピーニャの場合】

『~♩』

ピーニャくんの耳につけているヘッドホンから音楽が漏れている。今彼は新しくbgmを作成中らしくパソコンと向き合っていた。
ただ作成が難航しているのか、表情は固くパソコンを触る手は止まっている。

「ん〜……この後のいいフレーズが浮かばないなぁ」

独り言を呟いて頬杖をついている。ちょうどいいタイミングかな？と思って私は声をかけた。

「ちょっと休憩する？飲み物淹れようか？」

「ん、あぁじゃあ…お願いしようかな？」

パソコンをとじて机の上に置き、伸びをしてリラックスするピーニャくんを横目にホットミルクを作っていく。蜂蜜を少し多めに入れて、ピーニャくんへマグカップを差し出した。

「はい、どうぞ」

「ありがとう。……ん、美味しいよ」

「ふふ、疲れてる時には甘いものがいいかなって思ったんだけど、作ってよかった」

「うん、多分あのままやってても良い物が出来上がる気がしなかったから休憩してよかったかも。」

ここ最近ずっとbgm作りに励んでいるのは知っていた。夜遅くまで行っているのだろう、目の下には瞼とおなじ色の隈が出来ていた。
そして、ホットミルクを飲んで温まってきたのか動きがゆっくりになってきた。

「眠そうだね」

「…うん、……ちょっと仮眠しよう、かな」

「その方がいいよ、待ってて毛布とか持ってくるから」

「ん……いや。良いっしょ」

「え？…きゃっ」

帽子を取るとピーニャくんは私の膝に頭を乗せて寝る体勢に入った。
いつも自分からあんまりスキンシップを取るタイプじゃなかったからびっくりしたけど、余程疲れているんだろうと思い何も言わずに受け入れた。

「30分…たったら、おこして」

「うん、おやすみなさい。ピーニャくん」

「おやすみ…ハヅキ…ちゃん」

すぐに寝入ったピーニャくんを見守りながら、私は彼の頭を優しく撫でた。

（チルアウトするのも大事）