【アオキの場合】

激務から帰ってきたアオキくんは、玄関の扉を開けていつも以上にか細く「ただいま帰りました」と呟いた。
お迎えにいき「おかえりなさい」と返して、アオキくんのカバンと上着を受け取る。

「すごく疲れてるね、先にお風呂に入る？
上がったらすぐに食べれるようにご飯温めておくけど」

「はい、そうしていただけると有難いです。……でもその前に」

そう言った後、無言で両腕を広げるアオキくん。
度々こういう行動をとる時はかなり疲れがピークになっている合図なので、私も何も言わず手に持っていたカバン達を床に置いてにその腕の中へと納まる。
ぎゅうっと力強く抱き締めてくるので少し苦しいが、口下手な彼なりのスキンシップのつもりだから文句は言わない。

「はぁぁぁぁぁ……………流石に疲れた」

「ふふ、そうやって口にするの珍しいね。良かったね、明日休みだからゆっくり出来るよ。」

「うん…………ハヅキさん」

「ん、なあに？」

「寝る時も抱きしめさせてくださいね」

体を少し離したアオキくんは私のおでこにキスを落としてそう言った。


(ハグするとストレスが軽減されるらしいですよ)