営業課所属の人見知りで根暗なOLと非凡のサラリーマンの話【後編】
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近くの喫茶店で飲み物とケーキを頼んで一息つく。温かい飲み物にほっとしていると、「ハヅキさんは…」とアオキさんがぽつりと口を開いた。
「メガネがない方が顔を見て話そうとすることが多いですね」
「え?……あ、そ、そう、ですか?」
「多分視界がぼやけているおかげで、目線が合わないからあまり緊張せずに話せるんじゃないかと」
「た、確かに、そうかも…………」
「……………なるほど……目を見て話すのが難しいということは……」
ブツブツと呟いてアオキさんはこちらに向き直り
「ハヅキさん、目を合わせずに顔を上げて話す方法がありますよ。」
「!…ど、どんな、方法ですか?」
「鼻とか眉間とか顔の中心のパーツを見ながら話すんです。そうしたら目が合って話してるように見えるんですよ」
「へ、へぇ…」
「後でメガネをかけてから練習してみましょうか」
(そういう方法もあるんだ…それならちゃんと話できるかな…出来たらいいな…)
少しの期待を胸に、手付かずだったケーキを頬張る。チョコのケーキが程よく甘くて顔が思わず綻んだ。
「…ふふ、おいし…」
「…………」ガタッ!!
「んぶ!?!」
大きい音が聞こえて見ると、目の前で座っていたアオキさんが身体ごと背もたれの方へ向いていた。
「あ…アオキさん?ど、どうしま、した?」
「…………お気になさらず、ただの柔軟です」
「じゅ、柔軟…?」
「はい、なので気にせんでください。それより、甘いものが好きなんですか?」
「え、えぇ、特にチョコが…美味しくて、好きです」
「…すいません、ちょっと聞き取れなかったのでもう一度言って貰ってもいいですか?」
「(こ、声小さかったかな…?)ご、ごめんなさい…えと、ちょ、チョコが…す、好き、って言いました」
「……………スゥ-」
「(ま、またため息……!)」
しょうもない答えだったと思われたと軽くショックを受けていたら、スマホロトムが鳴りメガネが出来上がったとの連絡が来ていた。
ケーキを食べきって、メガネを受け取りに再びお店へと向かう。
出来たメガネをかけて、違和感がないか確認をし代金を払ってお店を出た。店先で待たせていたアオキさんに声をかけようとしたけど、その時にさっき話していたことを思い出した。
(確か…相手の顔の中心を見たらいいんだっけ…)
よ、よぉしとドキドキ脈打ちながら、改めてアオキさんへ声をかけた。
「お、お待たせ…しました」
「いいえ、お買い物はこれで終わりですか?」
「(顔の中心…顔の中心…)あ、あの…も、も、う1つ…だけ買いたい、ものが…」
「分かりました、最後まで付き合いますよ」
アオキさんの顔……鼻の辺りに目線を向けて話してみた。まだまだ緊張はするけど、気持ち的には楽に感じる。これで慣れていけばいつかは普通に人と話せるようになるかな…?
次の目的地に行くために歩きだそうとすると、アオキさんが手を差し出してきた。
あれ、メガネかけてるからもう繋がなくてもいいのに…
「え、っと、アオキさん…?」
「また転んでメガネが壊れたら危ないですから、今日一日はこうしておきます。」
「(意外と心配性なんだなぁ…)わ、わかり、ました」
「それで、どこへ行くんですか?」
「え、えっと……ヘアピンでも、買おう…かなって」
「なるほど……ちなみに前髪はどうして伸ばしているのか聞いても?」
「………前髪が長、いと…は、話す時に、あまり、人のか、顔が見えにくいので…で、でも、これか、らは慣れる為に…前髪を流そう、かと」
「…あれ、ご飯食べる時いつもピンで留めてましたよね?あれじゃダメなんですか?」
「そ、それは………」
今まで使ってたのは普通の黒のヘアピンで、洒落っ気も何も無いものだ。
少しでも可愛いものをつけたら、鏡を見る度に頑張ろうと思えるのではないかと考えたのだけど…
私みたいなのが急にイメチェンしたら周りがびっくりするだろうし、可愛いものなんて不釣り合いなものをつけていてもただの笑い者になるだけだ。
(やっぱり…買いに行くのやめとこう…普段使ってるのでも良いもんね。気づかせてくれたアオキさんには感謝だなぁ)
目的の場所に向かっていた足を止めた。
手を繋げていた、アオキさんも私につられて立ち止まる。
「ハヅキさん?」
「ご、めんなさい…買うの、や、やめます」
「え?」
「使って、るピンも、沢山、あ、ありますし私には、ひ、必要のないもの…でした。」
「……!」
「も、もう、今日は…帰りま、す。付き添って、下さってあ、ありがとう…ございました。」
するりと手を離してアオキさんにお辞儀をした後、来た道を戻って帰った。
1人残ったアオキさんがどんな顔をしていたのかも知らずに…
「メガネがない方が顔を見て話そうとすることが多いですね」
「え?……あ、そ、そう、ですか?」
「多分視界がぼやけているおかげで、目線が合わないからあまり緊張せずに話せるんじゃないかと」
「た、確かに、そうかも…………」
「……………なるほど……目を見て話すのが難しいということは……」
ブツブツと呟いてアオキさんはこちらに向き直り
「ハヅキさん、目を合わせずに顔を上げて話す方法がありますよ。」
「!…ど、どんな、方法ですか?」
「鼻とか眉間とか顔の中心のパーツを見ながら話すんです。そうしたら目が合って話してるように見えるんですよ」
「へ、へぇ…」
「後でメガネをかけてから練習してみましょうか」
(そういう方法もあるんだ…それならちゃんと話できるかな…出来たらいいな…)
少しの期待を胸に、手付かずだったケーキを頬張る。チョコのケーキが程よく甘くて顔が思わず綻んだ。
「…ふふ、おいし…」
「…………」ガタッ!!
「んぶ!?!」
大きい音が聞こえて見ると、目の前で座っていたアオキさんが身体ごと背もたれの方へ向いていた。
「あ…アオキさん?ど、どうしま、した?」
「…………お気になさらず、ただの柔軟です」
「じゅ、柔軟…?」
「はい、なので気にせんでください。それより、甘いものが好きなんですか?」
「え、えぇ、特にチョコが…美味しくて、好きです」
「…すいません、ちょっと聞き取れなかったのでもう一度言って貰ってもいいですか?」
「(こ、声小さかったかな…?)ご、ごめんなさい…えと、ちょ、チョコが…す、好き、って言いました」
「……………スゥ-」
「(ま、またため息……!)」
しょうもない答えだったと思われたと軽くショックを受けていたら、スマホロトムが鳴りメガネが出来上がったとの連絡が来ていた。
ケーキを食べきって、メガネを受け取りに再びお店へと向かう。
出来たメガネをかけて、違和感がないか確認をし代金を払ってお店を出た。店先で待たせていたアオキさんに声をかけようとしたけど、その時にさっき話していたことを思い出した。
(確か…相手の顔の中心を見たらいいんだっけ…)
よ、よぉしとドキドキ脈打ちながら、改めてアオキさんへ声をかけた。
「お、お待たせ…しました」
「いいえ、お買い物はこれで終わりですか?」
「(顔の中心…顔の中心…)あ、あの…も、も、う1つ…だけ買いたい、ものが…」
「分かりました、最後まで付き合いますよ」
アオキさんの顔……鼻の辺りに目線を向けて話してみた。まだまだ緊張はするけど、気持ち的には楽に感じる。これで慣れていけばいつかは普通に人と話せるようになるかな…?
次の目的地に行くために歩きだそうとすると、アオキさんが手を差し出してきた。
あれ、メガネかけてるからもう繋がなくてもいいのに…
「え、っと、アオキさん…?」
「また転んでメガネが壊れたら危ないですから、今日一日はこうしておきます。」
「(意外と心配性なんだなぁ…)わ、わかり、ました」
「それで、どこへ行くんですか?」
「え、えっと……ヘアピンでも、買おう…かなって」
「なるほど……ちなみに前髪はどうして伸ばしているのか聞いても?」
「………前髪が長、いと…は、話す時に、あまり、人のか、顔が見えにくいので…で、でも、これか、らは慣れる為に…前髪を流そう、かと」
「…あれ、ご飯食べる時いつもピンで留めてましたよね?あれじゃダメなんですか?」
「そ、それは………」
今まで使ってたのは普通の黒のヘアピンで、洒落っ気も何も無いものだ。
少しでも可愛いものをつけたら、鏡を見る度に頑張ろうと思えるのではないかと考えたのだけど…
私みたいなのが急にイメチェンしたら周りがびっくりするだろうし、可愛いものなんて不釣り合いなものをつけていてもただの笑い者になるだけだ。
(やっぱり…買いに行くのやめとこう…普段使ってるのでも良いもんね。気づかせてくれたアオキさんには感謝だなぁ)
目的の場所に向かっていた足を止めた。
手を繋げていた、アオキさんも私につられて立ち止まる。
「ハヅキさん?」
「ご、めんなさい…買うの、や、やめます」
「え?」
「使って、るピンも、沢山、あ、ありますし私には、ひ、必要のないもの…でした。」
「……!」
「も、もう、今日は…帰りま、す。付き添って、下さってあ、ありがとう…ございました。」
するりと手を離してアオキさんにお辞儀をした後、来た道を戻って帰った。
1人残ったアオキさんがどんな顔をしていたのかも知らずに…