営業課所属の人見知りで根暗なOLと非凡のサラリーマンの話【前編】
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「あ、あの、あ、アオキさん……!」
昼休憩に入り、営業課から出たアオキの背中を追いかけてハヅキが声をかける。
「なんでしょうか?」
「え、えっと………その、あ、朝の件なんですが……」
「はい」
「こ、こうなるって、知って、たんですか?」
「…………」
目を閉じ上を向いて少しの間考え込んだ後、アオキは答えた。
「まぁ、上司に垂れ込んだのは自分なので」
「どぅえ?!た、?えっ?!?!」
変な声を出して驚いたはづきを気にせずアオキは話していく。
「実は前々からハヅキさんが他の人に仕事を押し付けられて残業しているのは知ってました。
提出された書類の文面が別々の人なのにほとんど一緒だったことに疑問を持ちまして、少しその人たちの勤務中の様子を観察してたんです。その時に気づきました。
ある程度証拠を抑えてから報告するつもりだったので、対応が遅れてしまって申し訳ありませんでした。」
頭下げるアオキに慌てて顔を上げるようにハヅキは言った。
「い、いいえ!そんな、こちらこそ…ありがとうございました。」
「残った営業課の人の中でもう貴女に仕事を押し付ける人はいないと思いますので安心して、職務に励んでください。」
「はい…あ、あの、………」
「……?」
「も、も、もし、よかったら……お、お礼させて……ほしい…です。」
消え入りそうな声でそう呟いたハヅキは、心臓がバクバクしていた。今まで生きてきて、誰かにこうしたことを提案するのが初めてだったからだ。
緊張と恥ずかしさで、顔が真っ赤になっているのを感じながら返事を待つ。
その間を生きた心地がしなかった。
(よ、余計な事だったかも……アオキさんは人助けのつもりでやったんだろうし、お礼して貰いたいからやった訳じゃないし………やっぱりやめた方が良かったかな)
「い、嫌ですよね……こ、こんなのにお礼されても…」
「………ますか?」
「……?あ、あの、今なんて…」
「ですから、今日の、仕事終わり空いてますかと聞いたんです」
「き、今日…ですか?え、っと……はい、暇です」
「では、終わったら飯に行きましょう」
「え!?あ、う、…は、はい」
「もし一緒にいるところを見られるのが嫌であれば、現地に集合しましょう。とりあえずチャンプルタウンに来てください。」
そう珍しく捲し立ててアオキは去っていった。その後ろ姿をハヅキは黙って見送った。