SONIC BOOM
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時は流れて、創立記念日のイベント当日。
普段は学生ばかりがいる此処も、学校の関係者以外の人がたくさんいてさらに賑やかになっている。
いつもなら人通りの多い場所に行くことは殆ど無いが、他でもないハヅキさんからのお誘いなので今日はアカデミーに訪れた。
ここに来ることは理事長として仕事をしているトップに用事がある時くらいしかなく、理事長室以外の場所に来るのは久しぶりだ。
ハヅキさんのライブは、グラウンドに特設ステージを組んで行うらしい。
他の地方で活動している歌手、しかも理事長の妹でアカデミーの卒業生という事で特に人が多かった。
自分はあまり人がいない後ろの壁際に凭れながら、ライブが始まるのを待つ。
『皆さん本日はライブに起こしくださってありがとうございます。
改めまして、カロス地方で歌手活動をしているハヅキといいます。よろしくお願いします。』
ステージ脇からマイクを片手に現れた彼女は、白いドレスに身を包んでいてとても美しかった。見蕩れながら、挨拶に耳を傾ける。
『このような記念すべき日に母校で歌えることとても誇らしく思います。
短い時間ですが、皆さん楽しんでいってください。
それでは1曲目【マジックナンバー】』
そこからは彼女の独断場だ。
透明感のある歌声に会場にいる人皆が釘付けになっていた。
あの日帰ってから、ネットでハヅキさんの名前を検索して何曲か聞いたがどれも良かった。だが、生の歌はそれよりも格別に良い。
学生の頃から歌に興味があったのだろうか?
そんな素振りがあったのかも思い出せないが、才能があるのは聴いただけで分かる。
何曲か歌って、とうとう最後の曲になり先にハヅキさんのMCが入る。
『楽しい時間は過ぎるのが早く感じますね、とても名残惜しいですがこれが最後の曲になります。
…その前に少しだけお話をさせてください。
私は若かった頃、自分に自信がなかったせいで周りにいた大切な人たちを傷つけてしまいました。
周りと比較して、勝手に落ち込んで悩んで……本当に子供でした。
あれからたくさんの月日が流れて私も大人になって、少しは成長できたかなと思います。
今の私なら胸を張ってその大切な人たちの横に並べると……そう願って。
……そして、この曲はその中でも
1番大切だと思っている人のことを考えながら歌詞を書きました。
その人に届くといいなぁと思うと、少し緊張しています』
その時、目線がこっちに向いて目が合った気がした。その目には熱が籠っていて、頬も心做しか赤く染っている。
それを見て胸がどくんと脈打って、鼓動が早くなる。
『それでは聞いてください、【僕たちが恋をする理由】』
ピアノの伴奏から始まったその曲は、しっとりとした曲調でそこにハヅキさんの歌声が入って心に染み込んでくる。
そして歌詞を聞いていると、ハヅキさんの心情が浮かんでくるような感覚になる。
「素敵な歌ですね。」
いつの間にか隣にはオモダカが並んでたっていた。
「トップ」
「いやですね。あなたは今日は休みなんですからその呼び方はやめください。」
「こんなところにいていいんですか?アカデミーの理事長ともあろう方が」
「少しだけ席を外すくらい訳ありません。
それよりもアオキ、この曲を聴いて思うことがあるんじゃないですか?」
「…………」
「さっきあの子が言っていた、大切な人……きっと、あなたのことだと思いますよ」
「そんなことは…」
オモダカの言葉に否定するが、彼女は続ける
「おや?でも、今日のイベントにわざわざ誘ってくるなんて特別な感情がなければしないと思いますが」
「旧友だからでしょう?それ以上でもそれ以下でもありませんよ。」
「………あなたは思い出したくないことだとは思われますが、
あの卒業式の日に何があったか
ハヅキから聞きました。」
「?!」
バッとオモダカの方を振り向いた。
なんとも言えない顔をしているのが分かったのだろう、オモダカは自分の方を見て苦笑していた。
「勘違いしないで欲しいのですけど、私から聞いた訳ではありません。
あの子から話してくれたんですよ。
あの時言われるまで、ハヅキはずっとアオキは私のことが好きなんだと思ってたみたいで「それはないです」………即答されるとそれはそれで腹が立ちます。
とにかく、そう思ってたせいもあってうまく受け止められなかったんじゃないでしょうか?あなたの好意を。」
そうだろうか……だが、思い返せばあの時断られたがそれは【自分では釣り合わない】という理由だった。
ハヅキさん自身の気持ちは分からずじまいで……
この曲がその時の答えだと捉えてもいいのならば、
「あの…オモダカ」
「なんでしょうか」
「折り入って、お願いがあります……」
普段は学生ばかりがいる此処も、学校の関係者以外の人がたくさんいてさらに賑やかになっている。
いつもなら人通りの多い場所に行くことは殆ど無いが、他でもないハヅキさんからのお誘いなので今日はアカデミーに訪れた。
ここに来ることは理事長として仕事をしているトップに用事がある時くらいしかなく、理事長室以外の場所に来るのは久しぶりだ。
ハヅキさんのライブは、グラウンドに特設ステージを組んで行うらしい。
他の地方で活動している歌手、しかも理事長の妹でアカデミーの卒業生という事で特に人が多かった。
自分はあまり人がいない後ろの壁際に凭れながら、ライブが始まるのを待つ。
『皆さん本日はライブに起こしくださってありがとうございます。
改めまして、カロス地方で歌手活動をしているハヅキといいます。よろしくお願いします。』
ステージ脇からマイクを片手に現れた彼女は、白いドレスに身を包んでいてとても美しかった。見蕩れながら、挨拶に耳を傾ける。
『このような記念すべき日に母校で歌えることとても誇らしく思います。
短い時間ですが、皆さん楽しんでいってください。
それでは1曲目【マジックナンバー】』
そこからは彼女の独断場だ。
透明感のある歌声に会場にいる人皆が釘付けになっていた。
あの日帰ってから、ネットでハヅキさんの名前を検索して何曲か聞いたがどれも良かった。だが、生の歌はそれよりも格別に良い。
学生の頃から歌に興味があったのだろうか?
そんな素振りがあったのかも思い出せないが、才能があるのは聴いただけで分かる。
何曲か歌って、とうとう最後の曲になり先にハヅキさんのMCが入る。
『楽しい時間は過ぎるのが早く感じますね、とても名残惜しいですがこれが最後の曲になります。
…その前に少しだけお話をさせてください。
私は若かった頃、自分に自信がなかったせいで周りにいた大切な人たちを傷つけてしまいました。
周りと比較して、勝手に落ち込んで悩んで……本当に子供でした。
あれからたくさんの月日が流れて私も大人になって、少しは成長できたかなと思います。
今の私なら胸を張ってその大切な人たちの横に並べると……そう願って。
……そして、この曲はその中でも
1番大切だと思っている人のことを考えながら歌詞を書きました。
その人に届くといいなぁと思うと、少し緊張しています』
その時、目線がこっちに向いて目が合った気がした。その目には熱が籠っていて、頬も心做しか赤く染っている。
それを見て胸がどくんと脈打って、鼓動が早くなる。
『それでは聞いてください、【僕たちが恋をする理由】』
ピアノの伴奏から始まったその曲は、しっとりとした曲調でそこにハヅキさんの歌声が入って心に染み込んでくる。
そして歌詞を聞いていると、ハヅキさんの心情が浮かんでくるような感覚になる。
「素敵な歌ですね。」
いつの間にか隣にはオモダカが並んでたっていた。
「トップ」
「いやですね。あなたは今日は休みなんですからその呼び方はやめください。」
「こんなところにいていいんですか?アカデミーの理事長ともあろう方が」
「少しだけ席を外すくらい訳ありません。
それよりもアオキ、この曲を聴いて思うことがあるんじゃないですか?」
「…………」
「さっきあの子が言っていた、大切な人……きっと、あなたのことだと思いますよ」
「そんなことは…」
オモダカの言葉に否定するが、彼女は続ける
「おや?でも、今日のイベントにわざわざ誘ってくるなんて特別な感情がなければしないと思いますが」
「旧友だからでしょう?それ以上でもそれ以下でもありませんよ。」
「………あなたは思い出したくないことだとは思われますが、
あの卒業式の日に何があったか
ハヅキから聞きました。」
「?!」
バッとオモダカの方を振り向いた。
なんとも言えない顔をしているのが分かったのだろう、オモダカは自分の方を見て苦笑していた。
「勘違いしないで欲しいのですけど、私から聞いた訳ではありません。
あの子から話してくれたんですよ。
あの時言われるまで、ハヅキはずっとアオキは私のことが好きなんだと思ってたみたいで「それはないです」………即答されるとそれはそれで腹が立ちます。
とにかく、そう思ってたせいもあってうまく受け止められなかったんじゃないでしょうか?あなたの好意を。」
そうだろうか……だが、思い返せばあの時断られたがそれは【自分では釣り合わない】という理由だった。
ハヅキさん自身の気持ちは分からずじまいで……
この曲がその時の答えだと捉えてもいいのならば、
「あの…オモダカ」
「なんでしょうか」
「折り入って、お願いがあります……」