『ごめんなさい、今までありがとう…
さようなら、アオキくん。』

「ッ！……はぁ……はぁ……」

嫌な夢を見た。
アカデミー時代、卒業式の日の記憶だ。

寝ている間に汗をかいていたみたいで、服が肌に張り付いてきて不快感を覚えた。

自分にはその頃によくつるんでいた人が二人いた。
1人は、今も同じ職場にいる自分の上司オモダカ。そして、もう1人は…

『アオキくん』

「…………ハヅキ、ちゃん」

優しい声色で自分を呼ぶ、オモダカと同じ顔の女子。双子の妹のハヅキちゃんだ。
3人で授業を受けて、バトルをしたり、課外授業にもほとんど一緒に出かけていた。
オモダカと2人でよくバトルをしているのを、ハヅキちゃんは少し離れたところからいつも見守っていた。
バトルが終わった後には、いつの間にかピクニックの用意をしてくれていて、
サンドウィッチ作製やバトルで汚れた手持ちたちのウォッシュを率先してやってくれた。
それが何時もの日課で、自分にとっては当たり前の風景だった。

だけど、月日が過ぎていくと次第にハヅキちゃんの表情は暗く落ち込んでいった。
気になって自分やオモダカが声をかけると、途端に作り笑いをし
『ううん、なんでもないの。気にしないで』と受け流されてしまって深く追求できなかった。

あの時遠慮せずに、あの子の気持ちをちゃんと聞いていたら今も自分の傍にいてくれたのだろか。後悔してもしきれない。