「アオキさぁーーーん！！！！」

ダダダダッと足音を立てながら、1人の女がアオキに駆け寄ってくる。
語尾に♡が付きそうなくらいの可愛子ぶった声を聞いて、びくりと肩を震えてアオキは振り返る。

「相変わらずかっこいいー！！！！ほんと好きです！！！私と付き合っ「オァルアア！！！」ぐえぇ！！？」

今にも飛びつきそうな勢いで近寄ってきた女に、アオキのスーツに閉まっていたボールからピンクの塊が出てきて
その女の横っ腹に鈍い一撃を食らわした。（一応手加減はしているようだが見ていて痛々しい）

「いつもの事ながら、大丈夫ですかハヅキさん…」

脇腹を押えて悶絶していた女、ハヅキは想い人のアオキからの言葉に痛みなど忘れたようにバッと顔を上げて
頬を染めながら、「心配してくれるなんて、本当に優しいんですね…好き…」と息をするように告白する。
このやり取りもいつも通りなので、アオキはその言葉にもスルーを決め込む。

「まぁ、自分の手持ちの不手際なので…」

「ふ、ふふふ、なんのこれしき…私とアオキさんの愛の障害だと思えば痛くも痒くも…「ア"ァ"？」痛ァァァァ！！」

ヌッとハヅキの背後に立ち、髪の毛をむしり取る勢いで嘴で啄むのはアオキの四天王としての手持ちであり最後のトリを務める…

「カラミンゴ、止めなさい。」

そう、アオキのカラミンゴとハヅキはまさに犬猿の仲なのである。
さながらザングースとハブネークのように、出会ったらお互いに取っ組み合いの喧嘩に発展する。
（傍から見たら一方的にハヅキがボコボコにされているのだが）

そもそもこの不思議な三角関係（？）が始まったきっかけは、ハヅキがポケモンリーグ挑戦のためにチャンプタウンでアオキと出会った所から遡る。


いつものようにジムチャレンジを受けて、その先のジムリーダーとのバトルを行う。
そこまではバトルが得意な女の子という感じだったが、
ハヅキの勝利で幕を閉じたバトルの後に
アオキは他のトレーナーにもやるように食事に誘った。