アオキさんは黙ったままベンチに座る私の隣に座り、ぎゅっと抱き締めてきた。
彼にしては珍しく人の目を気にせずにそして力を込めて。
しばらくの沈黙の後、アオキさんが口を開いた。

「ハッサクさんから聞きました。その、自分に内緒でプレゼントを用意していたと」

「驚かせたくて……明日、誕生日だったから」

「……すっかり忘れてました。」

「ふふ、そうだろうなとは思ってました…」

周りの空気が和らいだ気がした。
少しだけ体を離して、お互いの顔を見つめる。アオキさんが私に申し訳なさそうに話していく。

「さっき、会議室から出てくる貴女とハッサクさんを見かけたんです。
その時に、”あぁ、ハヅキさんも他の人と同じか”と思って…あんな事を言ってしまって……傷つけて、すみませんでした。」

「そうだったんですね…でも、2人きりで会ってるところを見たらそりゃあ誤解しちゃいますもん仕方ないですよ。
私も軽率な行動でした、アオキさんごめんなさい。」

お互いに頭を下げて謝罪しあった。
誤解が解けてよかった…とほっとして自分からアオキさんに抱きついてみる。

「でも、いつもアオキさんには好きだって伝えてたのにそれが嘘だと思われたのは悲しかったです…」

「すみません…」

「……もし良かったら聞いてもいいですか？私と付き合ってくれた理由。」

目を閉じて考えこむ様子を見せてから、アオキさんは話し始めた。