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第二章 運命の悪戯か

空気が暖かい。大門を囲むように生える雑木林は変わらなかったが肌に感じる空気は明らかに違う。自分の領域【グァン】は暑くもなく、寒くもないほどの温度。だがここはそれよりも暖かく、袖のない薄着な服装なシルフィでも若干汗ばむくらい。不思議だった。大門をくぐるだけでこんなにも空気が変わるとは。

「フェン、なんだか暖かくなったような感じがするよ」
「そう思うでしょ?でも温度は変わっていないのよ」

 フフッと小さく笑いシルフィに告げる。首を傾げ頭にはてなを浮かべる彼女にフェンは話しだした。

「気温は変わっていないのは本当よ。でも何でこんなに体感温度が違うかというと、領土によって大気の温度を変えているのよ」
「例えば、ここは火の種族が住処としている領地。火の種族が住みやすい気温にしているの。だからシルフィの水の種族より高めな気温になっているわけ」

 一通り説明を終える。相当噛み砕いた説明だったがシルフィはまだ良く分かっていないのか難しそうな顔をしている。

「ようは種族達が住みやすいように気温を変えているわけ。その技術は個々の王都にあると思うけど」 

 なんとなく理解をしたシルフィは困ったように下を出す。難しい話は勘弁というような感じだ。大門をくぐり抜けた先は雑木林が広がっていた。林をひたすら歩くとようやく広がる大地の光景に息を吐く。

 茶色の地が広がり顔を見せるような至る所に雑草が息吹く。視界に残る大きな山脈。山肌を這うように生える草により深く緑の山々が現れる。厳然たる山々にシルフィは食い入るように見ていた。ここが火の種族を含む様々な魔道士が住む領地【エクンドゥ】

「ここに仲間がいるの?」
「えぇ、いるわ。あの山に」

 初めて領土を超え仲間に会いに行くことにワクワクを隠せないシルフィ。フェンは立ち並ぶ山々に目線を送り答える。

「早く会いたい!」

正面を向き見据えたシルフィーはドキドキしていた。どんな仲間なのだろうか。それだけが頭の中にあり一目見たいと思い続けていた。

「フェン、早く行こう!」

心の高まりが抑えられないのかシルフィは駆け出し山へと続く道を進んだ。フェンは目を離した隙にいなくなり声をかけることができずその場に佇んでいた。ふと顔を落とし静かに瞑る。暗く何か懸念した顔を見せる。

「クライヤー族、これを告げたらシルフィは…」

 どう感じるか、どう思うか。

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