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第二章 運命の悪戯か

「えっ、あ、あの…」

後方からしどろもどろのフェンが必死に言葉を紡ごうとするが、やる気満々と見えるシルフィーにますます頭が混乱した。ふざけて言ったのではないかと最初は思った。しかし真面目に言い放ち今、両手を振り回す様子は本当にやる気なんだと理解させられた。

「……む、無理よ!」
「平気、任せて!」

 やっと発した言葉をいとも簡単に返されフェンは何も言えなくなった。シルフィは両手にグッと力を入れ始める。けれども当たり前なこと、微塵も動かない大門。ジャリっと踏ん張っている脚が地面から滑る。

「だから無理なんだって……っ!」

 全身全霊で力を込めているシルフィに止めるが聞く耳持たず。その時、鈍い擦れる音が鼓膜に入る。ビクとも動かなかった大門が徐々に動き出し、隙間を作り始める。

「………」

驚愕で言葉が詰まったように出なかった。


……動いた。


 あっという間に大門は唸るような大きな音を立て開かれシルフィは門をくぐる。ハッと我に返ったフェンは後を追うように門を抜けた。シルフィによって支えていた門は手を離した瞬間、重さと共に閉められる。

 大きな音と粉塵が辺りを舞う。締めた時の影響で木に止まっていた鳥達は驚き飛び去る。見事、門を抜けたシルフィ達だった。何が起きたのか未だ整理しきれていないフェン。驚きに目を見開き、口をパクパクと開け閉めしている。


門が開いた
たった一人で
しかも女子

 有り得ないと強く思った。しかし目の前で起こった事実に受け入れがたい。相変わらず雑木林が広がっていた。変わらない風景。

 フェンは壊れたロボットのように隣にいるシルフィに視線を送る。うーんと背筋を伸ばしているシルフィ。疲れた表情は微塵も見せずけろっとしている。「ね?大丈夫だったでしょ?」と無邪気に言われたフェンは乾いた笑いしか出なかった。まるで悪戯が成功したように笑みを見せた。


一体何者?

 華奢な体からは想像できないほどの怪力。ゾッとしたのは内緒。
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