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第二章 運命の悪戯か

 戦いを終えたシルフィは再び歩みを進める。からっと乾いた空気が心地よく目を細め腕を伸ばし伸びをする。そういえばとシルフィはフェンに尋ねた。

「フェン、仲間は何人いるの?」
「六人よ」
「そんなにいるんだ!」
「えぇ、この世界に散らばっているの」
「そうなんだ! すごい!!」
「これからシルフィ、あなたが探しに行くんだからね」
「もちろん、楽しみだな~!」

 どこか他人事のようにも思えるシルフィの反応に(本当にこの子分かっているんかしら)とフェンは困った顔をする。

「まずこの水、氷の領域を出るためにファレーズ(大門)へ向かいましょう」
「ファレーズ?」
「隣の領域へ行き来できる唯一の大きな門よ。ファレーズは世界共通でここだけでは無くて多く存在しているわ」
「よし、じゃあファレーズへレッツゴー!」
 
 シルフィ達は大門へ歩みを進める。途中、魔物と遭遇するも健闘し次々と撃退していくのだった。だが、戦闘初心者の彼女は動きの無駄があり隙だらけでフェンは始終ひやひやしていた。

「シルフィ、大きく動き過ぎ!」
「だって槍重いんだもん!」
「怪力でしょ!?」
「重いものは重いの!」

 信じられないほどの怪力なのに槍を重たいというなんて思いもしなく呆気にとられてしまった。もうちょっと軽くならないのかなぁと愚痴るシルフィは何かに気が付いたのか前を指差した。

「あれなに?」

 彼女の指差す方を見ると向こうの方に壁が横へ果てしなく並ぶ光景が映る。空へとそびえる壁の一部には敢然と付けられた門があった。まだ距離があるのにはっきりと見える壁にシルフィは驚きを隠せない。

「あれが領域を繋ぐ門、ファレーズよ」

 近づくにつれその大きさは確かなものになる。目の前に立てばあまりにも大きな門に天を仰ぐほど。初めてみる巨大な門に思わず感嘆の声をもらす。

「おっきいー…」


 頑丈な門壁は鋼でできており何者も拒む圧倒するような雰囲気を持ち合わせていた。隣に浮かぶフェンも初めて見るのかシルフィと同じようにビックリしていた。だがその表情はすぐに消え難しそうな顔をしフェンは眉を潜めた。

「ここからが問題なのよね」
「どうして?」
「今日は開閉する日ではないもの」

 フェンは人差し指を口元に起き渋い顔をする。ファレーズは警戒のため種族外との交流を制約している。およそ1か月に1度しか開閉されないのだ。その事実をシルフィに告げると「えーっ!」と予想していた反応を見せた。

「違う道と言っても大門を抜ける以外にない」

 シルフィ達がいる場所は北大陸の北西。水属性が領地としている地は狭い。ほとんどが海を支配しているからだ。大門を通らず海を渡るという方法はフェンの頭の片隅でも置いてあった。どこから船を借りるのか目星もない。ましてや水泳で行くなんて思ってはいなかった。絶望的とも言ってもいいこの時、フェンは何か方法はないか頭をひねっていたが何も浮かぶことがなかった。

「ここを抜ければいいんだよね?」

 「そうよ」と返したフェンは(……え?)と間を起き心の中で疑問に思った。大門が開閉する日が先というのに普段と変わらない様子の声色にフェンは驚く。今、絶望的なのにシルフィは顔色一つ変えず門を見上げている。

 何でそんなに平然なのかなのか疑うほど。シルフィはゆっくりと門の前に立ち両手で触れる様にフェンは呆然とした。機械で開閉をする大門は鉄で作られ茶の錆が染み渡っていた。大昔からあったのだろうか。シルフィは確認するとにんまりと笑い力強く言った。

「分かった、開けるね」
(………は?)

 聞き間違え?いや、フェンの耳には真っ直ぐに届き思考を停止させた。シルフィはこちらを向き再度ニッコリと微笑んだ。小花が咲いたように笑うが今はそんなことフェンにとっては関係ない。

門を、開ける……?
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