第一章 力と宿命
シルフィから解放されたフェンは大きく一呼吸をし息を整える。その近くではウィルマに呆れ顔で怒られているシルフィが「アハハ、だって可愛くてぇ」と頭を掻いていた。
『コホン、えーいいですか?』
咳ばらいをしシルフィをこちらに向かせたフェンは再び先ほどのように深くお辞儀をする。
『改めまして、シルフィ。私は精霊のフェン。神様に仕える第一精霊。そしてあなた達選ばれし者達を導く精霊よ』
「第一精霊? 選ばれし者? 導く精霊?」
自己紹介をしたフェンだが聞いたこともない言葉にシルフィは不思議そうな顔をし首を傾げる。初めて聞くような彼女の様子にフェンは『あら?』と声を上げた。
『ウィルマ、あなたまだ話してないの?』
「…あぁ」
『そう。まぁあなたらしいけど』
クスクス笑うフェンは予想の範囲内とも口を開く。短く答えたウィルマはどこか表情が暗い。そんな二人に置いてけぼりを感じたシルフィは少し苛立ちを覚え少々強めの声で問う。
「どういう事?」
『ごめんなさい。ちゃんと順を追って説明するわ。でもこれだけは言わせて』
するとフェンはシルフィの顔の前まで移動する。さっきまでの麗しい笑顔から一変し真剣な表情になりシルフィもつられて身構えた。
『シルフィ…世界を救って』
「え?」
『あなたには世界を救う宿命があるの』
大きな瞳を更に大きくしたシルフィは一瞬フェンに何を言われたか理解できなかったが、数秒もしないうちにその言葉が脳内に木霊した。
「……宿命って?」
『ま、突然言われてもビックリしちゃうよね』
真剣な表情から再びコロッと変わりフェンはケタケタ笑い始める。シルフィのあまりにも真剣な顔に思わず笑ったようだ。
「なっ!」
『でも、わたしの言葉は本当よ。これから言う事も。全て、ね』
微笑みを称えながら、でもフェンの声は真剣そのものでシルフィは緊張を感じ始める。ふと姉、ウィルマに視線を移せばどこか浮かない表情だが姉の瞳も真剣だった。フェンは大きく息を吸うと喋りだした。
『シルフィ、最近魔物が増えていると思わない?』
「ここ数年で増えたような気がする。街も頻繁に襲われているし」
『単に一時的なものなら良いけど、年々増えていているのは間違いない。ある場所では魔物によって壊滅させられた地もあるわ』
「っ!」
言葉を失うシルフィ。魔物の被害は予想をはるかに上回るほど甚大だった。
『魔物が増えている最大の元凶、それは邪導師の復活が近い事』
「邪導師?」
『一時世界を破滅へと誘った暗黒の力を持ち負のエネルギーを携えた魔導師』
静かに瞼を閉じるフェンの頭の中に恐ろしく響き渡る邪悪な笑い声。そして黒く深い闇のオーラ。地獄にも似た光景が広がり思わず顔を振る。無意識にだろうかフェンの顔が恐怖でひきつっているのに気が付いたシルフィは「大丈夫?」と声をかけた。
『大丈夫、続けるわ。
さっきも言ったようにその邪導師は遥か昔、世界を破滅へと誘った。けれども7人の賢者達によって邪導師を封印し世界を救ったの?』
「賢者達?」
また初耳の単語にシルフィは頭にはてなマークを浮かばせた。フェンは少し考えた後、その小さな指をシルフィに向けると指先から白い閃光が放たれる。シルフィが驚く間もなく閃光は彼女の光に当たると、シルフィの頭が歪み始め映像が浮かび始める。
『今から移す映像良く見ててね』
***
『コホン、えーいいですか?』
咳ばらいをしシルフィをこちらに向かせたフェンは再び先ほどのように深くお辞儀をする。
『改めまして、シルフィ。私は精霊のフェン。神様に仕える第一精霊。そしてあなた達選ばれし者達を導く精霊よ』
「第一精霊? 選ばれし者? 導く精霊?」
自己紹介をしたフェンだが聞いたこともない言葉にシルフィは不思議そうな顔をし首を傾げる。初めて聞くような彼女の様子にフェンは『あら?』と声を上げた。
『ウィルマ、あなたまだ話してないの?』
「…あぁ」
『そう。まぁあなたらしいけど』
クスクス笑うフェンは予想の範囲内とも口を開く。短く答えたウィルマはどこか表情が暗い。そんな二人に置いてけぼりを感じたシルフィは少し苛立ちを覚え少々強めの声で問う。
「どういう事?」
『ごめんなさい。ちゃんと順を追って説明するわ。でもこれだけは言わせて』
するとフェンはシルフィの顔の前まで移動する。さっきまでの麗しい笑顔から一変し真剣な表情になりシルフィもつられて身構えた。
『シルフィ…世界を救って』
「え?」
『あなたには世界を救う宿命があるの』
大きな瞳を更に大きくしたシルフィは一瞬フェンに何を言われたか理解できなかったが、数秒もしないうちにその言葉が脳内に木霊した。
「……宿命って?」
『ま、突然言われてもビックリしちゃうよね』
真剣な表情から再びコロッと変わりフェンはケタケタ笑い始める。シルフィのあまりにも真剣な顔に思わず笑ったようだ。
「なっ!」
『でも、わたしの言葉は本当よ。これから言う事も。全て、ね』
微笑みを称えながら、でもフェンの声は真剣そのものでシルフィは緊張を感じ始める。ふと姉、ウィルマに視線を移せばどこか浮かない表情だが姉の瞳も真剣だった。フェンは大きく息を吸うと喋りだした。
『シルフィ、最近魔物が増えていると思わない?』
「ここ数年で増えたような気がする。街も頻繁に襲われているし」
『単に一時的なものなら良いけど、年々増えていているのは間違いない。ある場所では魔物によって壊滅させられた地もあるわ』
「っ!」
言葉を失うシルフィ。魔物の被害は予想をはるかに上回るほど甚大だった。
『魔物が増えている最大の元凶、それは邪導師の復活が近い事』
「邪導師?」
『一時世界を破滅へと誘った暗黒の力を持ち負のエネルギーを携えた魔導師』
静かに瞼を閉じるフェンの頭の中に恐ろしく響き渡る邪悪な笑い声。そして黒く深い闇のオーラ。地獄にも似た光景が広がり思わず顔を振る。無意識にだろうかフェンの顔が恐怖でひきつっているのに気が付いたシルフィは「大丈夫?」と声をかけた。
『大丈夫、続けるわ。
さっきも言ったようにその邪導師は遥か昔、世界を破滅へと誘った。けれども7人の賢者達によって邪導師を封印し世界を救ったの?』
「賢者達?」
また初耳の単語にシルフィは頭にはてなマークを浮かばせた。フェンは少し考えた後、その小さな指をシルフィに向けると指先から白い閃光が放たれる。シルフィが驚く間もなく閃光は彼女の光に当たると、シルフィの頭が歪み始め映像が浮かび始める。
『今から移す映像良く見ててね』
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