第一章 力と宿命
不気味な声を上げる親玉は闇にも似た黒いオーラが放たれている。増幅するパワーとスピードに絶望を感じる。もう逃げよう、とシルフィは姉へと目を向ける。
「っ!」
言葉を呑む。誰もがもう駄目だと諦める中、ただ一人ウィルマは親玉を真っ向と力強く見据えている。その表情はまだ諦めてはいない、真剣な眼差し。
「……お姉ちゃん」
ぽつりと落としたシルフィの呼び声にウィルマは顔を向ける。いつもの優しい姉の顔。 それが今、この絶望的状況にはとても似つかない顔だった。姉が見せた微笑みにシルフィは大きく見開くと腕を引かれウィルマの胸の中におさまった。
「おねえ…ちゃん?」
「シルフィ、ごめん。誕生日、祝えそうにない」
抱きしめられたシルフィは何を言っているか分からないと更に驚愕する。微かにだが、抱きしめるウィルマの腕が震えているような気がする。姉の言動に頭が真っ白になっている内に姉は離れるとまたふんわりと笑う。
嫌な予感がする。頭が悪く、馬鹿なシルフィでもこの姉の笑顔の不自然さに気が付いた。
「お姉ちゃん、何を…」
「大丈夫。大丈夫だから。そんな顔をしないで」
踵を返し歩むウィルマにシルフィはハッと手を伸ばすが空気を掴みだけ。頭のどこかで警報が鳴っている。姉を止めなければ、けれども足が鉛のように重く動かない。呪文のように言われた姉の言葉がシルフィの声を止めているよう。
刹那、姉を取り巻く周囲の空気が激変する。
一瞬の内に空気が冷え一面、冷たい暴風が吹き荒れる。それと同時にウィルマの魔力がとてつもない程上昇し、感じたことも無い程まで達する。
「お姉ちゃんっ、お姉ちゃんっ!!」
暴風に耐え魔力の上昇を続ける姉へと一歩一歩止めに近づく。しかし時すでに遅し。姉の体から魔法の対価とも見える氷化が始まってる。
「やめてお姉ちゃん! やめて!!」
いくら叫んでも声は届かない。一気に魔力は膨らんだ途端、親玉とウィルマの周囲だけ結界が張られシルフィは完全に近づけなくなった。世界は真っ白な世界へと変わる。
『アブソリュート・ゼロ』
「っ!」
言葉を呑む。誰もがもう駄目だと諦める中、ただ一人ウィルマは親玉を真っ向と力強く見据えている。その表情はまだ諦めてはいない、真剣な眼差し。
「……お姉ちゃん」
ぽつりと落としたシルフィの呼び声にウィルマは顔を向ける。いつもの優しい姉の顔。 それが今、この絶望的状況にはとても似つかない顔だった。姉が見せた微笑みにシルフィは大きく見開くと腕を引かれウィルマの胸の中におさまった。
「おねえ…ちゃん?」
「シルフィ、ごめん。誕生日、祝えそうにない」
抱きしめられたシルフィは何を言っているか分からないと更に驚愕する。微かにだが、抱きしめるウィルマの腕が震えているような気がする。姉の言動に頭が真っ白になっている内に姉は離れるとまたふんわりと笑う。
嫌な予感がする。頭が悪く、馬鹿なシルフィでもこの姉の笑顔の不自然さに気が付いた。
「お姉ちゃん、何を…」
「大丈夫。大丈夫だから。そんな顔をしないで」
踵を返し歩むウィルマにシルフィはハッと手を伸ばすが空気を掴みだけ。頭のどこかで警報が鳴っている。姉を止めなければ、けれども足が鉛のように重く動かない。呪文のように言われた姉の言葉がシルフィの声を止めているよう。
刹那、姉を取り巻く周囲の空気が激変する。
一瞬の内に空気が冷え一面、冷たい暴風が吹き荒れる。それと同時にウィルマの魔力がとてつもない程上昇し、感じたことも無い程まで達する。
「お姉ちゃんっ、お姉ちゃんっ!!」
暴風に耐え魔力の上昇を続ける姉へと一歩一歩止めに近づく。しかし時すでに遅し。姉の体から魔法の対価とも見える氷化が始まってる。
「やめてお姉ちゃん! やめて!!」
いくら叫んでも声は届かない。一気に魔力は膨らんだ途端、親玉とウィルマの周囲だけ結界が張られシルフィは完全に近づけなくなった。世界は真っ白な世界へと変わる。
『アブソリュート・ゼロ』