第一章 力と宿命
「あ、そっか! 今日私の誕生日か!」
シルフィは手紙を読み思い出し大声を上げる。すっかりに忘れていた妹に噴き出してしまったウィルマは手紙を受け取り引き出しの中へしまう。
「そうだよ、17歳おめでとうシルフィ」
「へへっ、ありがとう! お姉ちゃん覚えてくれてたんだね」
「毎年この日が来れば欠かさずに手紙が来ただろう?」
「そうだったね、本当に忘れてた」
シルフィは笑いながら頭を掻く。ウィルマは少々頭が弱い妹の言葉に(シルフィらしい)と思ってしまった。
「お姉ちゃん元気で良かった!」
「そうみたいだな」
「お姉ちゃんに会ってみたいなぁ」
「いつか会えるよ、必ず」
「本当に!?」
「あぁ」
「じゃあ楽しみにしてる!」
シルフィは棚の方に目をやれば一つの写真立てがある。
今は亡き父母とその母に抱かれている自分。そして小さなウィルマと真ん中にシルフィに似ている長女ミュリエルが並んでいる。特殊部隊へと旅立つ時の写真。子供の顔立ちだが優しく穏やかな顔はやはり長女らしいしっかりした部分も見える。
「ねぇ、毎日稽古付けてもらってるから強くなったよね?」
姉に振り返り問い始めたシルフィは期待を込めたような目をした。幼少期からウィルマから鍛錬を受け10年以上も続けている。
「さぁ?」
「えー!? 絶対強くなったもん!」
「どうだろうな」
「そんなぁ」
曖昧に、はぐらかすように答えた姉に心底気落ちする。そんな様子を気にせず未だ食事を終えていないウィルマは淡々と箸を動かす。
「でもでも絶対強くなったもん!」と一人でぶつぶつ言っているシルフィに目を止めた。
シルフィは魔法が使えない。
通常ならば幼い内に魔力が形成され魔法が使用できるようになる。しかし何故かシルフィは17歳になった今も尚、魔法が使えないのだ。魔物が蔓延るこの世界『ウィンクルム』自ら身を守るためにも魔法は大きな武器となる。シルフィは魔法が使えないため、幼い頃からウィルマから武術を学んでいる。
体育会系ということもあり、シルフィはメキメキと力を伸ばしている。その合間にも魔力を付ける精神統一など試みたが、魔法が目覚めることは無かった。当初よりは強くはなっている。しかし魔物との実戦は数えるほど。しかも最弱な魔物。だから実戦で戦えるくらいになっているかは不安が残る。
シルフィは手紙を読み思い出し大声を上げる。すっかりに忘れていた妹に噴き出してしまったウィルマは手紙を受け取り引き出しの中へしまう。
「そうだよ、17歳おめでとうシルフィ」
「へへっ、ありがとう! お姉ちゃん覚えてくれてたんだね」
「毎年この日が来れば欠かさずに手紙が来ただろう?」
「そうだったね、本当に忘れてた」
シルフィは笑いながら頭を掻く。ウィルマは少々頭が弱い妹の言葉に(シルフィらしい)と思ってしまった。
「お姉ちゃん元気で良かった!」
「そうみたいだな」
「お姉ちゃんに会ってみたいなぁ」
「いつか会えるよ、必ず」
「本当に!?」
「あぁ」
「じゃあ楽しみにしてる!」
シルフィは棚の方に目をやれば一つの写真立てがある。
今は亡き父母とその母に抱かれている自分。そして小さなウィルマと真ん中にシルフィに似ている長女ミュリエルが並んでいる。特殊部隊へと旅立つ時の写真。子供の顔立ちだが優しく穏やかな顔はやはり長女らしいしっかりした部分も見える。
「ねぇ、毎日稽古付けてもらってるから強くなったよね?」
姉に振り返り問い始めたシルフィは期待を込めたような目をした。幼少期からウィルマから鍛錬を受け10年以上も続けている。
「さぁ?」
「えー!? 絶対強くなったもん!」
「どうだろうな」
「そんなぁ」
曖昧に、はぐらかすように答えた姉に心底気落ちする。そんな様子を気にせず未だ食事を終えていないウィルマは淡々と箸を動かす。
「でもでも絶対強くなったもん!」と一人でぶつぶつ言っているシルフィに目を止めた。
シルフィは魔法が使えない。
通常ならば幼い内に魔力が形成され魔法が使用できるようになる。しかし何故かシルフィは17歳になった今も尚、魔法が使えないのだ。魔物が蔓延るこの世界『ウィンクルム』自ら身を守るためにも魔法は大きな武器となる。シルフィは魔法が使えないため、幼い頃からウィルマから武術を学んでいる。
体育会系ということもあり、シルフィはメキメキと力を伸ばしている。その合間にも魔力を付ける精神統一など試みたが、魔法が目覚めることは無かった。当初よりは強くはなっている。しかし魔物との実戦は数えるほど。しかも最弱な魔物。だから実戦で戦えるくらいになっているかは不安が残る。