第一章 力と宿命
「どうすれば使えるようになるの?」
「あなたがこれからもっともっと強くなって、多くの出会いを通して何かを掴んだ時、巨大な力、賢者の力を使えるようになり、邪導師を封印できる」
「これからわたしは何をすればいいの?」
「あなたと同じ賢者の力を持つ七人を仲間にする事。そしてその選ばれし者達といる精霊も集める事」
「フェン以外にもいるの?」
するとフェンは軽く指を鳴らすとシルフィから小さな水色の光が現れ始めた。シルフィは突然の事にびっくりしていると、水色の光はパンッと弾けフェンと同じ身長の少女が現れる。
その少女にシルフィは思わず叫ぶ。
「わ、わたしと同じ顔ー!?」
彼女の言う通り、水色の光から現れたのは青く長い髪にシルフィの瞳に似た水色の瞳。そして表情から似ている少女だった。
「やーっと出られた!!」
「喋ったー!」
「わたしウンディーネ! 宜しくねシルフィ!!」
笑った顔もそっくりで太陽を思わせるような弾ける笑顔だった。驚きすぎて口があんぐり開いているシルフィにフェンは可笑しそうに笑う。
「ふふ、この子あなたのパートナー、ウンディーネ。ずっとあなたの中で眠っていたのよ」
「シルフィが魔法を使えるようになった瞬間、わたしは目覚めたの!」
「ウンディーネは私とは違って魔力の源の欠片でもあるわ。だからこうやって外に出る事はまず出来ないんだけど、今はわたしの力で見えるようにしてあるわ」
フェンが言い終わった瞬間、ウンディーネは消え去っていく。
「神様の元へ行く事。おそらく長い旅になるかもしれないわ。辛く苦しい、それよりももっと大変な事がたくさん起きると思う。それでも…」
「それでもわたし達がやらなきゃいけない事なんでしょ?」
フェンは思わずまぬけな声を出す。
何故ならシルフィが思ってもいなかった事を言ったからだ。
今までの会話を思い返せばシルフィは不安げな様子が一切無く、むしろ真剣に聞いていたようだと思い出す。まるでこれから旅に出る事を楽しみにしてるような、明るい顔をしていたのだ。それにフェンの方が焦り始める。この子は分かっているのだろうか、と。
「え? 不安じゃないの!?」
「不安って?」
「これから長い旅に出るんだよ。魔物にも立ち向かわなきゃいけないし、危険な所だって行く。何よりもウィルマと離れちゃうけどそれでもいいの?」
「もちろん寂しいよ、ウィル姉ちゃんと離れるの」
見上げれば姉の優しい微笑みにシルフィは少し胸が締め付けられる。17年一緒に過ごしてきた2人。父母のように時には優しく、時には厳しかった大切な姉と離れるのは本当に寂しい。けれども、今世界が終わりに近づいていて力が必要なら迷うことは無い。
「世界を救うためにはわたし達がやらなきゃ! 断る理由は無いよ」
いつの間にかシルフィの瞳は燃えていた。真剣に発した彼女の率直な気持ちに唖然としていたフェンは嬉しさがこみ上げふんわりと笑顔になった。笑いをこらえるウィルマは思わず言う。
「クス、フェン。シルフィってこんな奴なんだ」
「こんな奴ってなに!?」
「考える事は苦手なんだ」
「ひどい!」
やいのやいの責め立てるシルフィに軽くあしらうウィルマ。軽く姉妹喧嘩が始まっているよう。なるほど、記憶を振り返れば確かにウィルマのいう通り、シルフィは頭が弱そうだとフェンは思った。
「そうだ、シルフィ」
どこか腑に落ちない様子のシルフィを無視してウィルマは何かを思い出す。そして自分の頭に身に着けていた三つの水晶をシルフィに手渡した。
「これ、大切な物なんじゃ!」
シルフィは慌ててウィルマに返そうとする。
これはシルフィがとても小さい頃からウィルマが大事そうに身に着けていた水晶。いつでもどこでも肌身離さずつけていたのだ。突き返されそうになった水晶だがウィルマは宥めるように笑う。
「これはもうあたしには必要は無い。むしろこれからシルフィにとって大事な物だよ」
「で、でも」
「あとこれは姉さんから託された物。これをお守りとして持っていな。そしてこれは絶対に壊してはいけない」
「なんで?」
「なんでも」
詳しい事を教えてもらえず頬を膨らませたシルフィ。彼女の手にある淡く光る三つの水晶。長女から次女、そして三女へと受け継がれた。
「大丈夫、シルフィならやれる」
「うん、私頑張るね!」
今日一番の笑顔を見せたシルフィ。その妹太陽のような笑みをウィルマは心に刻む。これから歩む長い旅の安全を祈りながら。
「フェン、シルフィを宜しく」
「まかせておいて!」
「じゃあ行ってきます!!」
フェンはウィンクをしながら答える。シルフィのはつらつとした声によって、フェンとシルフィは足を運び始め長い長い旅へと向かう。不安よりもわくわく、ドキドキが強く、どういう出会いが待っているのだろうとシルフィは期待に胸を膨らませた。
第一章 力と宿命 終わり
「あなたがこれからもっともっと強くなって、多くの出会いを通して何かを掴んだ時、巨大な力、賢者の力を使えるようになり、邪導師を封印できる」
「これからわたしは何をすればいいの?」
「あなたと同じ賢者の力を持つ七人を仲間にする事。そしてその選ばれし者達といる精霊も集める事」
「フェン以外にもいるの?」
するとフェンは軽く指を鳴らすとシルフィから小さな水色の光が現れ始めた。シルフィは突然の事にびっくりしていると、水色の光はパンッと弾けフェンと同じ身長の少女が現れる。
その少女にシルフィは思わず叫ぶ。
「わ、わたしと同じ顔ー!?」
彼女の言う通り、水色の光から現れたのは青く長い髪にシルフィの瞳に似た水色の瞳。そして表情から似ている少女だった。
「やーっと出られた!!」
「喋ったー!」
「わたしウンディーネ! 宜しくねシルフィ!!」
笑った顔もそっくりで太陽を思わせるような弾ける笑顔だった。驚きすぎて口があんぐり開いているシルフィにフェンは可笑しそうに笑う。
「ふふ、この子あなたのパートナー、ウンディーネ。ずっとあなたの中で眠っていたのよ」
「シルフィが魔法を使えるようになった瞬間、わたしは目覚めたの!」
「ウンディーネは私とは違って魔力の源の欠片でもあるわ。だからこうやって外に出る事はまず出来ないんだけど、今はわたしの力で見えるようにしてあるわ」
フェンが言い終わった瞬間、ウンディーネは消え去っていく。
「神様の元へ行く事。おそらく長い旅になるかもしれないわ。辛く苦しい、それよりももっと大変な事がたくさん起きると思う。それでも…」
「それでもわたし達がやらなきゃいけない事なんでしょ?」
フェンは思わずまぬけな声を出す。
何故ならシルフィが思ってもいなかった事を言ったからだ。
今までの会話を思い返せばシルフィは不安げな様子が一切無く、むしろ真剣に聞いていたようだと思い出す。まるでこれから旅に出る事を楽しみにしてるような、明るい顔をしていたのだ。それにフェンの方が焦り始める。この子は分かっているのだろうか、と。
「え? 不安じゃないの!?」
「不安って?」
「これから長い旅に出るんだよ。魔物にも立ち向かわなきゃいけないし、危険な所だって行く。何よりもウィルマと離れちゃうけどそれでもいいの?」
「もちろん寂しいよ、ウィル姉ちゃんと離れるの」
見上げれば姉の優しい微笑みにシルフィは少し胸が締め付けられる。17年一緒に過ごしてきた2人。父母のように時には優しく、時には厳しかった大切な姉と離れるのは本当に寂しい。けれども、今世界が終わりに近づいていて力が必要なら迷うことは無い。
「世界を救うためにはわたし達がやらなきゃ! 断る理由は無いよ」
いつの間にかシルフィの瞳は燃えていた。真剣に発した彼女の率直な気持ちに唖然としていたフェンは嬉しさがこみ上げふんわりと笑顔になった。笑いをこらえるウィルマは思わず言う。
「クス、フェン。シルフィってこんな奴なんだ」
「こんな奴ってなに!?」
「考える事は苦手なんだ」
「ひどい!」
やいのやいの責め立てるシルフィに軽くあしらうウィルマ。軽く姉妹喧嘩が始まっているよう。なるほど、記憶を振り返れば確かにウィルマのいう通り、シルフィは頭が弱そうだとフェンは思った。
「そうだ、シルフィ」
どこか腑に落ちない様子のシルフィを無視してウィルマは何かを思い出す。そして自分の頭に身に着けていた三つの水晶をシルフィに手渡した。
「これ、大切な物なんじゃ!」
シルフィは慌ててウィルマに返そうとする。
これはシルフィがとても小さい頃からウィルマが大事そうに身に着けていた水晶。いつでもどこでも肌身離さずつけていたのだ。突き返されそうになった水晶だがウィルマは宥めるように笑う。
「これはもうあたしには必要は無い。むしろこれからシルフィにとって大事な物だよ」
「で、でも」
「あとこれは姉さんから託された物。これをお守りとして持っていな。そしてこれは絶対に壊してはいけない」
「なんで?」
「なんでも」
詳しい事を教えてもらえず頬を膨らませたシルフィ。彼女の手にある淡く光る三つの水晶。長女から次女、そして三女へと受け継がれた。
「大丈夫、シルフィならやれる」
「うん、私頑張るね!」
今日一番の笑顔を見せたシルフィ。その妹太陽のような笑みをウィルマは心に刻む。これから歩む長い旅の安全を祈りながら。
「フェン、シルフィを宜しく」
「まかせておいて!」
「じゃあ行ってきます!!」
フェンはウィンクをしながら答える。シルフィのはつらつとした声によって、フェンとシルフィは足を運び始め長い長い旅へと向かう。不安よりもわくわく、ドキドキが強く、どういう出会いが待っているのだろうとシルフィは期待に胸を膨らませた。
第一章 力と宿命 終わり