小ネタ置き場
ヴィル監
ボンボニパソスト見て浮かんだ妄想 ヴィル視点
もちろんボンボニパソストのネタバレあり
弊サイト長編の監督生につき設定は長編参照
互いに両想いの自覚があるけど付き合ってない
捏造・下品なネタあり
ヴィルの知能指数が著しく下がっています
急に始まるし場面が飛びます
「さて、次はアンタね」
「へ?」
間抜けな顔でこちらを見上げてくる。仕草は百点満点に可愛いが、それで許してやる気は無い。
「アタシの隣を歩くのに、地味な制服姿で許されると思ってるの?」
「え、だってほら、僕はあくまで撮影係ですし……」
「撮影係だろうとアタシに同行するからには最低限、隣にいて違和感の無いレベルまで整えてもらうわよ」
「はひぃ……」
従順に返事してくれる。怯えた顔も可愛い。
自分に選んだものと同じジャケットのサイズ違いをメインに、ジャンパースカートは落ち着いた色を合わせる。帽子も丸みのある上品でかわいらしいデザインのものを選んだ。上半身に比べて足元はシンプルにまとめているけど、スカートの裾がよく広がるから動きが大きくなる分、バランスは丁度いい。
……ユウのサイズの服が平然と並んでいる事に疑問を抱いて尋ねれば、どうやら過去の撮影で何度か着替えさせたいという要望があったらしい。
企画で発表される動画には出てこないから油断していた。先を越されていた事がちょっと悔しい。
選んだ一式を手渡して着替えさせ、髪も整える。帽子の邪魔にならないよう髪留めは表に出さないハーフアップ。全てまとめて帽子にしまったり、編んで垂らすよりも、クセが少なく柔らかい髪質の持つ女性的な雰囲気を生かした方が良い。
もちろん眼鏡は外させて、メイクは控えめながら春の色使いを意識する。
そうして整えてやれば、アタシの隣に並び立つに相応しい令嬢の完成だ。男だけど。
「……アンタを飾るのって楽しいのよね」
「そ、そうですか?それならいいんですけど」
落ち着かない様子ながら、照れくさそうに微笑む。
……店主の話によれば何度かこうやって着替えさせられてるはずだけど、慣れた様子が無いのは『自分が相手だから』だと思っても良いのだろうか。
自然と笑みが浮かぶ。
「さ、出かけましょう」
「はい!」
手を差し出せば、笑顔を輝かせて重ねてくる。その愛らしさに心を満たされながら、手を握って歩き出した。
………………
ひととおりの施術を終えて、心地よい疲労感に身を沈める。整体院に用意されている常温の水が身体に染み入るようだった。
「ひ……人の子は……受けなくていいのか……?」
「え、でも、僕の分の枠にツノ太郎入ったワケだし……」
「本日は一日貸切でご予約いただいてますので大丈夫ですよ」
「貸切!!??」
「撮影のためだからって、忙しなく過ごしたくないもの」
ユウはおろおろとこちらと先生を見比べている。
「そうね。アンタだけ何もしてもらわないのは不公平だわ。お願いできます?」
我ながら意地の悪い笑顔だった事だろう。絶望するような顔が可哀想で可愛い。
ユウも着替えて施術用の椅子に座り、マッサージが始まる。自分とマレウスはその両脇に立っているのだけど。
「……っ、あ……」
待って、これ思った以上にセンシティブだわ。
痛みを堪えているのか悲鳴こそ上げないが、吐息を漏らす様子が随分艶めかしい。苦悶の表情と堪えきれずに漏れる声の音の高さが、色々と連想してしまう。
「や、ひぃっ……!」
「人の子、声を堪える必要は無い。存分に鳴くがいい」
やめろ馬鹿王子。紛らわしいわ。
「だって……僕、声大きい、から……っ」
自分とマレウスが叫んだ後なのにまだ気にする?
と、思ったら視線がこちらを向いている。ああ、なるほど。恥じらってくれているのだ。なんて可愛い。
それはそれとして、涙で潤んだ目と紅潮した頬、荒い呼吸。
下品な想像を必死で抑えながら、ユウに寄り添う。
「我慢しなくていいのよ。無様な悲鳴を上げたくらいで、アナタの事を嫌いになったりしないわ」
「せんぱい……」
むしろ今のままの方が心臓に悪い。お願い正気に戻らせて。理性的な先輩のままでいさせて。
「ひっ、だめ、そこだめぇっ!!」
「肩こりですねー。若いのに大変だ。遅くまで勉強してるのかな?」
「あう、あぅぅぅ……っ」
「グリムを四六時中抱えているからか。猫ほどとはいえ、人の子には手に余る」
「あー大きい猫ちゃんですかー。いきなり乗ってきたりする事もあるからなー」
いつもより上擦った声を上げて悶える姿に、柔らかな笑みを浮かべて寄り添う事しか出来ない。
下手に表情を崩したら欲にギラついた顔をしてしまいそうで、そんな所をユウ以外の誰かに見られたくない。必死で堪えた。
「はい、おしまいでーす」
「あ……ありがとうございました……」
永遠のような数十分だった。汗に濡れてぐったりしている姿も、そういう事をした後みたいに見えてしまう。全く関係ないのに。
「先生。アタシ、もう少しだけ追加していただいてもいいかしら」
「構いませんよ。足つぼで?」
「ええ。遠慮なくとびっきり痛くして頂戴。痛みで煩悩が頭から吹っ飛ぶくらいに!!!!」
………………
用意されたスイーツを味わって、時間はあっという間に過ぎていく。
「マレウスがいてくれて助かったわ」
「結構量多かったですもんね」
他愛もない今日の感想を語りながら、オンボロ寮までの道を歩く。マレウスは先に自分の寮に帰っていったし、学園内は人の姿もまばらだ。
もうすぐ夜が来る。
見慣れた門の前で足を止めた。
「改めて、先輩。お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう。楽しい一日を過ごせたわ」
「送っていただいてすみませんでした。僕が先輩を送らないといけないくらいなのに」
「あら、そんな事を言っていいの?」
ユウはきょとんとした顔でこちらを見上げている。警戒を欠片もしていなさそうな顔。
「うちの寮に来たら、今日のうちには帰してあげられないわよ?」
からかう調子で、甘く囁く。
見た目ほど初心ではないのは知っているつもり。全部冗談のつもりは無いけど、でもきっと笑って誤魔化されてしまうと思った。
ユウの頬が赤く染まる。困ったような表情で少し俯いて、袖口を小さく掴んでくる。
……………………え、いいの?
お持ち帰りしていいの!!??
「……グリムは、エーデュースの所に任せる事も、出来るので、その……」
歯切れの悪い言葉。いつになく隙だらけで、声音もちょっと甘えた雰囲気がある。今までに見た事がない。
理性と本能がせめぎ合っている。卒業まで手は出さないと決めた自分と、一歩踏み出したい自分が脳内で激しい殴り合いを始めた。
「ユウ」
名前を呼べば目を見てくれる。濃い色のつぶらな瞳。
思わず抱きしめれば、ユウの手も背中に回ってくる。愛しい抱き心地。独り占めしたい。
しかし脳内では『まだ付き合ってない』という事実を背負った理性が、本能を場外に叩き出して決着がついた。これ以上進むわけには行かない。
「アンタってば本当に可愛いんだから」
頭を撫でて額にキスをして、その目を見つめる。
「これ以上は貰いすぎになっちゃうわね。お楽しみはもう少し先までとっておく事にするわ」
「……はい、先輩」
はにかんだように笑うその顔がまた可愛くて、もう一度額にキスをする。幸せそうに目を細めてくれて、別れが名残惜しくてたまらない。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
玄関に入っていくのを見届けて、自分も寮に戻るべく踵を返す。
寮では自分を祝うために寮生たちが待ち構えていた。楽しい時間を過ごして、夢のような一日が終わっていく。
「ルーク」
「何かな、ヴィル?」
「アタシ、あの子の王子様として満点が貰えるかしら」
「……勿論だとも」
「……そうよね。間違ってないわよね、アタシ」
「まぁ、愛しい人の精一杯のお誘いを無碍にしたとなると、恋人としては落第かもしれないね!」
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