2:果てを望む砂塵の王
鏡面が水面のように揺れる。
何も映さなかった闇色に、景色が映る。
たくさんの動物が行進している、と思った。
視界がところどころぼやけていて、正確な種類までは分からない。息づかいや気配が、多くの動物がそこにいると理解させる。
違和感を覚える秩序の羅列が、一箇所に留まって収束する。
集まった動物たちは演台のような岩を見上げ、そこに立つ獅子に期待の視線を向けていた。獅子の演説に耳を傾ける。
そう、演説だ。まるで人のように理想を語り、そこに至るための手段を示した。
集まった動物たちは歓声をあげ、獅子は得意げに胸を張る。獅子を称える声が満ちた。
表情から悟る。彼らは互いに、互いを利用しているにすぎない。
自分に、自分だけに都合の良い未来のために。
相手の窮地を助けるような義理はなく、簡単に裏切れる同盟関係が感じ取れた。
動物なのだから、それでいいのかもしれない。
人間の寿命よりずっと短いのなら、因縁も親愛も短く終わってしまう。
それはとても幸福で、不幸でもあると思った。
彼らに人間と同じものを求めるのは間違いなのだろうか。
鏡面が揺れる。
映っていたものが溶けて消えていく。