7−5:虹色の旅路 後編
無事に大きな建物の中に入り込む。城の中もとても静かだ。どこも暗くて、気温は低くないのに冷たく感じる。人の生活する気配が薄い。
『オルト、現状確認』
『はぐれた人はいないし、重傷者もいないよ。サポートありがとう、兄さん』
「ふぅ……た、助かったんだゾ」
なんとか落ち着いて、みんなも建物の様子に違和感を覚えたようだった。
「随分と暗いな」
「外ではもう陽が落ちたのだろう」
「……王宮なのに、誰も明かりを灯す者がいないのか?」
「確かに、近衛兵どころか、使用人一人見当たらないのも妙だな」
王の住む城なのに、人の気配が少なすぎる。
シルバー先輩とセベクが警戒を示す一方、ブッチ先輩は不器用な後輩に怒った顔を向けた。
「もー、ジャックくん!ああいう時は適当にへらへらして切り抜けんのが賢いんスよ」
なんで出来ねえかなぁ、と愚痴っぽく呟けば、ジャックもばつが悪そうに呻く。
「だ、だけど、ナメた態度とられたままじゃいられねぇよ!」
「メンツで腹は膨れないッスよ。あと、セベクくんも!」
「己の矜持を守ったまでだ。僕は謝らないぞ」
「それで結局ピンチに陥っていては意味が無いじゃないですか……」
先輩たちに怒られてもセベクは揺るがない。まぁ言わんとする事は分からなくもないけどね。
「せっかく侵入しましたし、情報収集を続けたいところですけど……えっと、生体反応って判ります?」
『えー、……無いね』
「……無い?」
「使用人も近衛兵もいないと言うのか?」
『うん。……ああ、えっと、上階の方に二つ反応がある。どちらかがレオナ氏かな。片方はなんか動いてるし、もう片方に近づいてる気がする』
『じゃあ上の階に移動しよう。みんなも良い?』
「……退路の確保もせずに進むのは気乗りしませんが、やむを得ませんね」
他のみんなも顔を合わせて頷き合い、意思を確認したところで先へ進む。
王宮内は本当に静かだった。極端に古い建物じゃないし決して廃墟ではないんだけど、なんだろう。細かいところには人の手が届いていない印象を受ける。少し淀んだ空気のせいか息苦しい。
王が住むに相応しく威厳がある、しかし誰もいない城を歩く。不穏なものを感じながらも、足を止められない。
「王よ!どうか民の声に耳をお傾けください」
そうして生体反応のある地点に近づいた頃、廊下の奥から男性の声が聞こえてきた。タブレットのマップを見れば、すでに二つの生体反応は合流している。つまり声の主は二つの生体反応のどちらかだ。
みんなの顔を見るに、誰も声の主については知らなさそう。
ひとまず出来る限り足音を殺しながら、声の聞こえる部屋に近づいていった。
「このままでは我が国は荒廃の一途を辿るばかり……聞いておられるのですか!?」
声は壮年か老年にさしかかった年齢の、男性のもののように思えた。目の前にいる人を誠実に叱っているように聞こえる。
どことなく仰々しい雰囲気の廊下を進み、声の聞こえる部屋を覗き込んだ。
そこは大きな部屋だった。中央の奥に立派な玉座が置かれている。その向こうには広い空が広がっていて、夜に近づく暗い色に染まっていた。
部屋には最低限の明かりしかない。その明かりは玉座を見据えて立つ白髪頭に青い装束の男性と、玉座に座ったまま動かない暗い色の衣装の人影を薄く照らしていた。
その暗い部屋で、白い鳥のような光がひらひらと舞っている。玉座に座っている男性が夢の主だと、その光は示していた。
「緑豊かであった土地は枯れ、民は飢えに苦しんでおります」
「やめろ、キファジ……お前の小言を聞いていると本当に気分が滅入る」
聞き覚えのある低い声がする。豊かな響きと威厳を備えた男性の声。
「どうしても口が閉じられないってんなら、歌でも歌ってろ。俺が楽しくなれるような、明るい歌をな」
吐き捨てるような言葉に対し、キファジと呼ばれた男性は怯まない。
「では、幼い頃のように『輪になる世界の歌』でも歌ってさしあげましょうか?レオナ陛下」
「よせ、やめろ。その歌だけは聞きたくない」
暗闇に目が慣れて、玉座の男性の姿が見えてくる。白い鳥の光も彼の姿を少しだけ照らしてくれた。
左目を塞ぐように走る傷痕。浅黒い肌。撫でつけられた濃い茶色の髪に、人ではない形の耳。端正な顔立ちと気品ある姿。
間違いなく、玉座にいるのはレオナ・キングスカラーその人だった。
キングスカラー先輩の横柄な態度に対し、キファジという人は背筋を伸ばしたままだった。
「レオナ陛下、もうこの国を救えるのは貴方様だけなのです」
感情的に叱るのではない、まさに『諫める』という表現が相応しい話し方だ。落ち着いていて聞き取りやすく、何故か罪悪感も覚える。
「長く病に伏せっておられた前王が崩御され、後を継がれたファレナ殿下ご一家も不慮の事故で……」
「言うな」
キングスカラー先輩が言葉を遮る。
「……あれは悲劇だった。兄貴だけでなく、幼いチェカまで……思い出すだけで、涙が出そうになる」
言葉とは裏腹に表情は変わらない。少しの感情も感じない。でも心の奥が冷えるような言葉だった。
あの男性はその言葉をどう捉えたのだろう。淡々と言葉を続ける。
「そして貴方は悲劇と混乱の中で、王となられた」
「気乗りしなかったが、仕方なくな」
私は悲しみを乗り越え、新しい時代の夜明けに向けて突き進む。
平和と繁栄のため、民と手を取り合い、栄光ある未来への道を切り開いていく。
恐らくは演説か何かの言葉を朗々と読み上げ、男性は追及を緩めない。
「貴方は戴冠式の日、そうおっしゃった。あの言葉は嘘だったのですか?」
「嘘?約束通り未来への道を切り開いてやっただろ」
それに対しキングスカラー先輩の態度は横柄なものだ。少しも反省する気がなさそう。
「スラムを一掃して再開発。国内に埋もれていた地下資源を掘り出した。それで稼いだ金をもとに、インフラ整備もそれなりにしてやったじゃないか」
「専門家の忠告や国民の反対を無視し、急激な開発を進めた結果……この国はどうなりました?緑は枯れ、水は汚れ、動物たちは消え失せた!」
男性が怒りを露わにする。
「もはやこの国には食べるものも、水もない。これのどこが『栄光ある未来への道』なのですか!?」
叱責の声に、キングスカラー先輩の表情が歪む。多分舌打ちとかしてる。
「……俺は親父やファレナとは違う。古い慣習やしきたりにしがみつく馬鹿どものご機嫌伺いなんぞ、この先も一生しねぇからな」
「レオナ陛下!お言葉が過ぎますぞ」
ぴしゃりと叱りつけられ、キングスカラー先輩は不満そうに顔を背ける。その子どものような態度に呆れた息を吐きつつも、キファジという男性は話を続ける。
「確かに陛下のお考えになった開発計画は、革新的なものばかりでした。しかし……それはあくまで机上の空論。今のこの国で再現可能なものではなかった」
「…………そうだ。俺の計画自体は完璧だった」
キングスカラー先輩はふてぶてしく言い放つ。
「完璧だったはずの計画を台無しにしたのは誰だ?能無しの国民どもだろうが!」
苛立たしげな顔で、ここにいない者たちに八つ当たりのような憎悪を向けていた。
「能無しのくせに、俺がやる事なす事に文句ばかりつけやがって……」
「陛下、人間はチェスの駒とは違うのです」
老いた従者は静かに言い含める。恐らくは同じ事を何度も言っているのではないかと思うような口振りだった。
「能力も、性格も千差万別。打ち手の思い通りに動くものではない」
言葉は重い。聞いているこちらが辛くなるくらい。
……でも、どうしてだろう。
キングスカラー先輩は、こんな事とっくの昔に知っているはずだ。
マジカルシフトで天才司令塔と言われるくらいの実力者なんだから、自分に従うものの能力や性格を理解して上手く使うなんていつもやってる印象がある。
なのにどうしてこんな事になっているんだろう。うまく説明できないけど違和感があった。
「貴方は王としてそれを理解し、寄り添わねばならなかった」
「は?無能に寄り添う?冗談だろ」
キングスカラー先輩は真っ向から反発する。
「俺がやるべき事は全部やった。後はテメェらでなんとかしろ。馬鹿の尻拭いなんて絶対に御免だね」
「全てを諦め、投げ出すとおっしゃるのですか?」
「人聞きが悪いな。俺は諦めるつもりも投げ出すつもりもないぜ」
傲慢な笑みを浮かべて従者を見る。まるで従者の怒りを面白がっている様子だ。
「そうだな……もし俺の理想を完璧に遂行できる有能な奴らが現れたら、その時は指揮してやってもいい。無能な奴らの相手はもうたくさんだ」
「無能、無能とおっしゃいますが……陛下がご自分以外を有能な人材と認めた事など、ただの一度も無いではありませんか!」
ついに堪忍袋の緒も切れたか、と思うような怒りを感じた。
「待っていても事態は改善しない。怠惰に横たわっていないで、行動なさいませ!」
憎まれ口は返ってこない。大きな広間が静かになる。どこからか小さな溜息が聞こえた。
「……貴方についていけず、家臣たちはみな王宮を去りました」
「古臭い空気が入れ替えられてせいせいしたぜ」
「代わりに雇われたのは、素性の知れぬゴロツキどもばかり……奴らが街でどんな行いをしているか、ご存じないとは言わせませんぞ」
どうやら近衛兵のハイエナたちはろくな出自じゃないようだ。本来の戦闘訓練を受けたメスライオンとは実力も教養も雲泥の差だろう。
それでも特に問題にする気は無いらしく、キングスカラー先輩は鼻で笑っている。
「俺は仕事が無い奴らに仕事を用意してやっただけだ。家臣の教育はテメェの仕事だろ、侍従長どの」
「素直に指導に耳を傾けてくれる者でしたら、私も苦労しないんですがね!それなのに、あのハイエナどもときたら……」
まるで従者の愚痴を遮るように、遠くから大きな声が聞こえた。思わず身を竦める。
「なんだ、この騒がしい声は?」
さっきまで違和感を覚えるほどの静けさだったのに。
喧噪は恐らく城の外から聞こえている。門からここまで結構な距離があるはずなのに。
みんなと顔を見合わせ、廊下に面した窓まで移動する。高台に城がある事もあって、そこから城壁の外に殺到する人の姿を見る事が出来た。
自分たちが歩いてきた道が、どこにこんなにいたのかってぐらいの人で埋め尽くされている。
「この国はもう終わりだ!ここには何一つ残ってない!」
「夕食どころか、残飯のかけらもありゃしねぇ!」
「これなら、呑気なファレナ王の方がマシだったッス!」
「そうだ!そうだ!」
人々の声が妙にはっきりと聞こえてくる。まるでキングスカラー先輩に聞かせるように。
タブレットが横向きになって、『S.T.Y.X.』の観測映像を映してくれた。そこには怒りに染まった市民たちがたくさん映っている。
「……今、ラギー先輩がいなかったか?」
ジャックがぼそっと呟くと、群衆を流し見ていたカメラの位置が少し戻った。
そこにはジャックの言う通り、ブッチ先輩がいる。市民たちに紛れて、王宮に向けて怒りを叫んでいるようだ。
「うわ、マジだ。あっ、近所に住んでるガキンチョやねーちゃんたちもいる!」
『これはNPC……レオナ・キングスカラーさんのイマジネーションによって作り出されたラギーさんだね』
オルトが冷静に分析する。
何も言葉が出てこない。頭が混乱していた。
キングスカラー先輩とブッチ先輩は、同じ国の出身でも立場が違う。育った環境が違う。
民衆は王族の顔を知っていて当然でも、王族の方は自分の国の国民の顔なんて全部は分からなくてもおかしくない。
なのにここには、ブッチ先輩の顔見知りの人たちまでいる。
「レオナ王の実力など、ファレナ王の半分にも及ばない!」
「そうだ!そうだ!」
「自然を返せ!俺たちの国を……メシを返せ~!」
「もう王様なんかいらない!」
夢の中の世界に再現された市民たちが声を張り上げる。
自分たちを作り出した王様を糾弾する。
「いらない!いらない!」
冷たくて熱い、怒りの声の大合唱だった。
考えがまとまらない。言葉が出てこない。
「うぜぇ奴らだな……そんなにこの国が嫌なら出ていきゃいいのに、文句ばっかり言いやがる」
「なんという事を……民あっての王ですぞ!」
キファジさんの叱責が聞こえる。そっと玉座の間を覗けば、キングスカラー先輩の態度は全く変わった様子が無かった。
「所詮イボイノシシ以下の知恵しか持たない奴らだ。俺が意見を聞いてやる価値なんかねぇだろ」
「……レオナ陛下。貴方は幼い頃から非常に聡明であられた。ですが、効率ばかり追い求め、人心を蔑ろにした結果がこれです」
尚も怒りの声の合唱は止まらない。
「王様なんかいらない!いらない!いらない!」
聞いてるこっちが辛いぐらいなのに、キングスカラー先輩は特に堪えた様子もなかった。
「はぁ……うるせぇな。これじゃ昼寝もできやしねぇ」
涼しい顔でそう言い放った。
「外の奴らを黙らせてこい、キファジ。王の快適な暮らしを守るのが、侍従長であるテメェの仕事だろ」
傲慢な命令だ。さっきまでの説教なんて何も効果が無かったと思わされる。
「俺はやりたいようにやる。……この国の王は、この俺なんだからな」
まるで噛みしめるような言葉だ。キファジさんは悔しそうに俯いている。
「……ええ、ええ。偉大な王、レオナ陛下の仰せの通りに!」
「目障りだ。さっさと行け!」
決裂した二人を見守っているワケにはいかない。
こっちに来ると思ったからには、急いで逃げる以外の選択肢は無かった。廊下には視界を遮るものが無いから、隠れてやり過ごす事も難しい。
足音をなるべく抑えたつもりだったけど、ぶっちゃけほとんどそんな余裕が無かった。
しかも僕だけ玉座の間をギリギリまで覗いていたので出遅れている。
「止まりなさい」
必死でみんなを追いかけていたが、階段を下りる手前で明確に背中に声がかかった。静かなのに思わず足を止めてしまうくらいの強い声。背中を冷や汗が流れる。
振り返ると、そこには青い装束を纏った男性がいた。白髪頭に眼鏡の向こうの鋭い目。老人と呼んでも差し支えない年齢にさしかかっているのは間違いないが、真っ直ぐの立ち姿は武道に限らず厳しく鍛え抜かれている事を感じさせた。
キファジと呼ばれていた従者の男性は、最初こそ鋭く僕を睨んでいたけど、顔を見ると目を丸くする。
「……貴方がどうしてここに?」
「え?」
今度は僕が目を丸くする番だった。意外な反応。
……そういえば、キングスカラー先輩の傍には『イミテーション』がいる可能性が高い。じゃあ僕を『イミテーション』と見間違えたのだろうか。にしては言い方に違和感を覚えた。
僕が悩んでいる間に、キファジさんは距離を詰めてくる。僕の顔をしげしげと見つめて、小さく息を吐いた。
「……なんとタイミングの悪い。貴方にあのような陛下の姿を見せたくはなかった」
「えっと……」
「今の陛下には、貴方のお言葉も届くかどうか。……いえ、これは至らぬ私の責でもある」
キファジさんは一人納得した様子で、穏やかに僕を見た。
「……今、正面は民衆が詰めかけていて危ない。裏の門を開けましょう。……お友達も一緒にご案内します」
後半は階段の先にいたみんなに向けて語りかけていた。涼しい顔で階段を下りていく、その後ろをついて歩く。
何か訊くべきだと思うのに、何も言葉にならない。みんなも何となく何も言えない様子だった。
王宮に入ってきた時とは違う廊下を歩いて、通用口のような所に辿り着いた。こちらには民衆も近衛兵もいない。
自然な動きで扉を開き、僕たちを城から外へ追い出す。
「……どうか、もうここには近づかないでいただきたい」
どうして、と尋ねる事さえ躊躇われた。それほどに深刻な様子だった。
何も言えずにいると、その視線が僅かに揺れる。
「……もし、もしもう一度ここに来るのならば、その時は。……どうかお覚悟を」
キファジさんは真剣な目を僕に向ける。殺気でも敵意でもない、年若いものを導くための厳しい言葉を語っていた。
「この国を壊す覚悟を持って、おいでなさい」
受け止めるだけでも重く苦しい。込められた意味を全ては理解できなくても、それだけは分かる。
僕の反応を待たずにキファジさんは扉を閉ざす。遙か向こうからは、まだ民衆の声が聞こえていた。
「……なんか、やべぇ事になっちまってんな」
ぽつりとジャックが呟く。みんなも我に返った様子だ。
『これはかなり複雑な状況だね。一度、情報整理をしなくちゃ』
そう、複雑。『イミテーション』が見当たらなかった事もそうだけど、キファジさんの口振りも引っかかる。あの人は何を知ってるんだろう。
国を壊す覚悟を持てって、……それって、つまり。
「だが、この近くにいるとまた近衛兵たちに見つかるかも知れない。どこか安全な場所はないだろうか?」
「だったら、オレがいいトコ知ってるッスよ」
案内するよ、とブッチ先輩が先を歩き始める。慌てて後ろをついていった。
暗くなった街を横目に歩いていく。目的地は結構近いらしい。
『……ユウさん、大丈夫?』
見かねた様子でオルトが隣にやってくる。みんなも何となくこっちを気にしている気配がした。
「大丈夫だよ。ちょっと混乱してるけど」
「あのキファジという人、ユウさんを知っている様子でしたね」
「例の『イミテーション』とかいうのと間違えてたんじゃないのか?」
「……多分、違うと思う。何となくだけど」
「夢の中の人物が、ユウ本人を認識していると?」
「そこまでは自信無い」
「現実で彼に会った事は?」
「無いです」
何も情報が無い。ただ、あの人は夢の登場人物だけど敵では無さそう。
「ま、難しい事は腰を落ち着けてから考えましょーよ。メシでも食いながらゆっくりね」
悩む僕たちに明るく声をかけたブッチ先輩だったが、不意打ちのように飛んできた新聞紙らしきものに顔を覆われて呻いていた。
「顔に張り付けるなら金券か割引券がいいッス。はぁ……」
なんて愚痴りながら新聞紙を捨てる。あっさり道に落ちたそれを見て、オルトが足を止めた。
『みんな、これを見て!!』
「へ?」
オルトは拾った新聞紙を僕たちに見えるように広げる。タブレットがライトを起動して紙面を照らした。
新聞紙は芸能紙の一部らしい。やかましい色合いの紙面には、世界のスターのゴシップや映画の宣伝イベントの様子などが記されていた。
トップ記事では無いけどそれなりに大きなスペースに平然と、シェーンハイト先輩と僕のツーショット写真がある。幸せそうに寄り添う二人の記事には『世界的モデルのヴィル・シェーンハイト、新人俳優との婚約を発表』と見出しが付けられていた。