1:癇癪女王の迷路庭園




 決闘はハーツラビュル寮で行われる。
 空は人の気も知らず晴天。きっとピクニック日和だろうに、今からやるのは寮長の座を賭けた戦いなのだ。
 エースもデュースも自分なりに戦い方は考えてきているようで、朝から不安そうな顔は微塵も見せなかった。それが甘い計算だったとしても、今日は指摘しない事にしている。今更どうしようもない。頑張れと言うしかない。
「欲を言えば昨日の格好でいてほしかったけどなぁ」
 エースが冗談めかして言ったが、僕は肩を竦める。
「ダイヤモンド先輩に頼まないと無理じゃん」
「そーなんだよなぁ……オレも早く実践魔法覚えよ」
「着替えさせる前に同意は取ってね」
「わかってるわかってる」
 はたとエースが立ち止まる。
「女の格好させるな、じゃないんだ」
「同意してやるとは誰も言ってない」
「結局ダメじゃん」
 ちぇー、と口を尖らせている。緊張感のない様子にデュースも呆れ顔だ。
 ……まあ、着替えたぐらいで気力が上がって強くなるなら安いもんだとは思うけど、手段は無いし、自分から着替えたくはない。
 決闘の会場はお茶会が行われていた場所だ。テーブルセットは片づけられて、薔薇の木と生け垣に囲まれただけの広いスペースが出来ている。会場に集まっているのはハーツラビュル寮生だ。やっぱり首輪のついた生徒がそこかしこにいる。昨日より増えてる気もした。
 既に学園長が奥の方に立っている。挑戦者の来訪に気づいて手招きした。
「あの、一応確認するんですけど、寮生以外も見てて大丈夫ですか」
「ええ、構いませんよ。手出しをしないのなら見学は自由です」
 グリムくんは押さえておいてくださいね、と釘を刺される。とりあえず抱えておいた。
「じゃあ、頑張ってね。二人とも」
「おう、寮長に吠え面かかせてやるって!」
「グリムと見ててくれ、負けはしないさ」
 二人は胸を張って立っていた。その気持ちを削がないように、そのまま観衆と同じくらいまで距離を取る。
 聞こえてくる囁きはエースたちに対し冷ややかなものばかりだ。首輪の有無は関係ない。具体的な内容は聞こえなくても雰囲気ぐらいは伝わっているだろう。呑まれない事を祈るばかりだ。
 そこに観衆の波を割いて、寮長が現れる。寮生たちから歓声が上がった。
 生意気な一年生を捻りつぶせ。
 大体そんな感じの内容だったと思う。不愉快を顔に出さないようにするので必死だった。場外乱闘が許されるなら全員殴り倒したい。でもこの場の主役はエースたちだ。無粋な真似はしたくない。
「ユウ、苦しいんだゾ」
「あ、ごめん。つい力が入っちゃった」
 抱え方を腕に乗せて手で支える形に変える。グリムは呆れ顔だ。
「子分こそ腕力をどうにかする首輪がいるんじゃねーか?」
 笑ってごまかす。グリムに諫められるなんて末代までの恥だな。
「これより、ハーツラビュル寮の寮長の座を賭けた決闘を行います」
 学園長の朗々とした声が響く。観衆の声も静まる。
「挑戦者はエース・トラッポラ。そしてデュース・スペード」
 名前を呼ばれた二人の表情が引きしまる。
「挑戦を受けるのは現寮長であるリドル・ローズハート」
 対する寮長の表情は変わらない。ただ寮生達の歓声が響いた。それで当然、という態度だ。
 奥の方にクローバー先輩とダイヤモンド先輩の姿を見つける。向こうはこちらを見ていない。見ていた所でどうという事もないけど。
「負けるんじゃねえゾ、エース、デュース!」
「根性見せろよー!!」
 歓声に負けないぐらいの勢いでグリムが叫ぶ。それに続いて声を出すと、二人はこちらを見てわずかに微笑んだ。
「では、決闘の掟に従い、挑戦者のハンデである魔法封じの首輪を外してください」
 学園長の指示にローズハート寮長は頷く。次の瞬間、首輪は淡く光に溶けて消えた。
「あー、やっと首輪が外れた!」
 エースが表情を緩めた。デュースも少しホッとした顔をしている。
「どうせすぐまたつけられる事になるんだ。束の間の解放感を味わうと良い」
 それをローズハート寮長は冷ややかに笑う。エースたちはむっとした顔になり、寮長自身も真剣な顔になる。
「君たちがボクに決闘を挑むと聞いて耳を疑ったよ。本気で言ってるのかい?」
 厳しく真剣な彼の言葉に、二人は一歩も引かない。
「当たり前じゃん」
「冗談で決闘を挑んだりしません」
 エースは軽く、デュースは真面目に、しかしどちらも寮長と戦う事に対する気持ちの重さは変わらない。
 そこまでする抗議の意志が、彼にどれほど届くだろうか。少なくとも、今は微塵も届いたように思えない。ワガママを言い続けて引くに引けなくなった悪足掻きとでも思っているのだろう。
 これで何も動かせなければ、本当にその通りになってしまうのだけど。
「まあいいや。それじゃあさっさと始めよう」
「あ、リドルくん。今日の午後のお茶の用意はどうする?」
「愚問だね。ボクのお茶の時間は毎日キッカリ十六時とルールで決まってる」
「でも、もう十五時半を過ぎてるけど……」
「ボクが遅刻をすると思うのか?どうせすぐ決着がつく」
 ダイヤモンド先輩の心配をローズハート寮長は一蹴する。
「そういうわけで、ボクには時間がない。一人ずつ相手をするのも面倒だ。二人まとめてかかっておいで」
 余裕の態度に、寮生たちまで盛り上がる。そんな喜色の中でクローバー先輩だけが、険しい表情で三人を見ていた。
「カンジ悪いんだゾ!」
 グリムが苛立たしげに言い放つが、向こうに届くわけもない。届いた所で涼しい顔で流されるだろう。
「ずいぶんと言ってくれるな」
「こっちだって作戦くらい立ててきてるっつーの!」
 憮然とした二人の言葉にも、眉一つ動かさない。
「学園長、決闘の合図を」
 学園長は頷き、懐から何か取り出した。午後の陽光を反射してきらりと光る。
「私が投げたこの手鏡が地面に落ちて割れるのが、始まりの合図です」
 再び会場が静まった。緊張が満ちて、息が詰まりそうになる。
「では……レディ、ファイッ!」
 学園長の声と、手鏡が割れる音が重なった。
「『首をはねろ』!!」
 一瞬の間さえ無い。秒の存在も許さない。
 二人が魔法を放つより遙かに速く、首輪が二人を捉えていた。悲鳴が重なり、揃って膝をつく。
 元より勝ち目は薄いと思っていたけど、本当に圧倒的だ。
「くっそぉ……魔法を具現化させる暇もないのかよ!」
「ここまで手も足も出ないなんて……」
 悔しげな二人と対照的に、会場の寮生たちは盛り上がっていた。予想通りの結末に喜んでいる。自分が戦ったワケでもないくせに、侮辱的な言葉も聞こえた。
「魔法の強さはイマジネーションの強さ」
 魔法の効果を正確に思い描く力が強いほど、正確性も強さも増すのだと、学園長は解説する。ますます魔法に磨きがかかっている、と嬉しそうに付け加えていた。
「ふなぁ……レベルが違いすぎるんだゾ……」
 グリムでさえ絶望した顔をしている。……二人が負けた事で首輪外してもらえる時が遠のいたから、なんだろうけど。
「五秒もかからなかったね。……その程度の実力でよくボクに挑もうと思ったものだ。恥ずかしくないの?」
 敗者を見下す視線は冷たい。
「やっぱりルールを破る奴は何をやってもダメ。お母様の言う通りだ」
「……確かに、ルールは守るべきだ。でも無茶苦茶なルールを押しつけるのは、ただの横暴だ!」
 ローズハート寮長の呟きに、デュースが食ってかかる。真剣な訴えを寮長は鼻で笑った。
「ルールを破れば罰がある。そして、この寮ではボクがルールだ。だから、ボクが決めた事に従えない奴は、首をはねられたって文句は言えないんだよ!」
「ルールだからって、何をしても良いわけじゃない!」
「罰則もないルールなんか、誰も従わない。……そんな簡単な事もわからないなんて、キミは一体どんな教育を受けてきたの?」
 尚も真面目に食い下がるデュースを、ローズハート寮長は嘲笑う。
「どうせ大した魔法も使えない親から生まれて、この学園に入るまでろくな教育も受けられなかったんだろう。実に不憫だ」
 グリムを地面に下ろして走り出す。もう耐えられない、無理。ぶん殴らないと気が済まない。
「ふざっっっっっけんなよ!!!!!!」
 でも僕が駆けつけるより先に、エースが飛び込んでいってローズハート寮長をぶん殴っていた。ローズハート寮長の左頬に右ストレートが綺麗に決まった瞬間が、スローモーションのように見えた。エースは肩で息をしていて、ローズハート寮長は地面に尻餅をついている。
 飛び出してしまったので、そのままデュースの傍まで駆け寄った。グリムもついてきている。
「え、エース!?」
「やるじゃねえかエース!」
 観衆同様に事態を飲み込めないデュースの横で、グリムがご機嫌に笑っていた。自分もちょっと心が晴れたんだけど、とりあえずデュースに手を貸して立たせる。
「痛……え?ボク、殴られた……?」
 ローズハート寮長は呆然としていた。愛らしい頬に痛々しい赤みが増していく。早く手当した方が良さそう、せめて準備だけでもしないと、と思うのだが、学園長を含め誰も彼もが愕然としていて動かない。何よりそんな事を言い出せる空気じゃない。
「あー。もういい。寮長とか決闘とか、どうでもいいわ」
 エースが投げやりな態度で言う。その割に、声は怒りに燃えていた。
「子どもは親のトロフィーじゃねえし、子どものデキが親の価値を決めるわけでもないでしょ。お前がそんなクソ野郎なのは親のせいでもなんでもねーって、たった今よーく解ったわ!お前の横暴さを注意してくれるダチの一人も作れなかった、てめーのせいだ!!」
 真正面からの罵倒を、ローズハート寮長は受け止めきれない様子だ。多分、こんな扱いをされた事は無いのだろう。魔法士にとって恥であろう魔法封じの首輪をかけられてさえ、暴力的に刃向かってくる人間なんて、彼の世界には存在しないらしい。だからいきなり目の前にそんな存在が現れて混乱している。
「そりゃお前はガッチガチの教育ママにエグい育て方されたかもしんないけどさ、ママ、ママってそればっかかよ!自分では何も考えてねーじゃん!」
 静かだった観衆にわずかながら淀みが生まれる。横暴に対する引っかかりが言語化された事で、エースに同調するような声が少し聞こえてきた。
「何が赤き支配者だ!お前は魔法が強いだけの、ただの赤ちゃんだ!」
 まっすぐな罵倒がローズハート寮長を貫く。それだけはしっかり届いたようで、困惑していた目に光が戻った。
「赤ちゃん……だって?このボクが?」
 唸るような声だった。
「何も知らないくせに……ボクの事、何も知らないくせに!」
「あー、知らないね。知るわけねえだろ!あんな態度でわかると思うか?甘えてんじゃねえよ!!」
「うるさい、うるさい、うるさい!!黙れ!!!!」
 苛立ちと怒りに満ちた声が響く。普段の朗々とした、自信に満ちた声ではない。地団駄を踏み金切り声をあげる様子は、皮肉にもエースの言う通り幼児のようだった。
「お母様は正しいんだ!だからボクも絶対に正しいんだ!!」
「リドル、落ち着け!決闘はもう終わってる!」
「クローバーくんの言う通りです。挑戦者は暴力行為で失格!これ以上争いを続けるのであれば、校則違反になりますよ!」
 学園長は場を収めようとしているが、観衆はそうはいかない。ルール上はエースに明らかな非がある状態なのに、寮生たちはリドルに疑念を向けていた。
「何がルールだ、もううんざりなんだよ!」
 誰かがそう叫んだ。同調する声が次々に湧き上がる。さっきまで寮長を支持する声しかなかったのに、今度は寮長への非難が飛び交っていた。変わり身の早さにぞっとする。エースもデュースも不快感を露わにしていた。
「静まりなさい、静かに!」
 学園長が叫ぶが、声は止まらない。何かが集団から飛び出して、ぶつかりぐしゃりと割れた音がした。はっとして振り返ると、ローズハート寮長の赤い髪に白い何かが乗っている。卵の殻だと気づいたのは、黄身が髪の毛を滑り落ちていくのが見えたからだ。
「誰だ!ボクに卵を投げた奴は!」
 頭に乗っていた卵の殻を握りつぶし、ローズハート寮長は激高する。途端に寮生たちは静まったが、名乗り出る者はない。きっと投げる瞬間を見ていた奴もいるだろうに、告発の声すら無かった。
 その様子を見たローズハート寮長は、唐突に笑い出す。心の底からおかしそうに、しかし聞いている人間には不気味な声音だった。
「うんざりだって?うんざりなのはボクの方だ!何度首をはねても、どれだけ厳しくしても、お前たちはルール違反を犯す!どいつもこいつも自分勝手な馬鹿ばかり!!」
 寮長から不満を向けられた寮生たちは、その殺気に気圧された様子で言い返さない。
「いいだろう。名乗り出ないなら、全員の連帯責任だ!」
 ローズハート寮長が叫びながら杖を振ると、十人ぐらいまとめて首輪がかかった。首輪をかけられのたうち回る寮生を見て、逃げ出した者も助けようとした者も、次の瞬間には首輪をかけられている。
「どうだ、誰もボクに手も足も出ないだろう!やっぱりルールを厳守するボクが一番正しいんだ!」
「おやめなさい、ローズハートくん!君らしくもない!」
「リドル!もうやめろ!」
 学園長や先輩たちの制止も耳に入らないのか、心底楽しそうに寮生たちに魔法封じを放っている。逃げ出した寮生も追いかけそうな勢いだ。
「おい、お前!何でも自分の思い通りになるはずないだろ!そうやってすぐ癇癪起こすトコが赤ん坊だっつってんの!」
 エースの声で動きが止まる。からくり人形のようにぎこちなくこちらを振り返った。見る見るうちにその顔全体が赤く染まり、見開かれた目がギロリとエースを睨む。
「今すぐ撤回しろ!串刺しにされたいのか!」
 明らかに正気じゃない。でもエースは揺らがない。
「やだね、絶対しねえ」
「うぎいいいいいいいいいい!!!!!!!!」
 ローズハート寮長が金切り声をあげる。地面が揺れ、生け垣が崩れ、薔薇の木が浮き上がっていく。
「ガチでヤバいって!お前ら逃げろ!!」
 ダイヤモンド先輩が叫ぶと、首輪をかけられ動けなくなっていたうちの数人が我に返って立ち上がり、まだ動けない寮生を助けたり、会場の外を目指して走り始めた。
 その間にも薔薇の木はめりめりと不気味な音を立てて変形を続ける。枝が広がり根が絡まり、無数の槍のように変わっていく。会場内の薔薇の木全てが、エースに不格好な切っ先を向けていた。
「まさかアレ全部で突っ込んでくる気か!?」
「いけない!」
「薔薇の木よ、あいつの身体をバラバラにしてしまえ!!!!」
 反射的に駆けだした。あの量は防ぎきれない。それこそ魔法でもないと無理だ。でもアレが全部一人の人間の身体に突き刺さったら、命は間違いなく失われる。それだけは絶対にダメだ。
 自分の身体で防げる本数なんてたかが知れてる。それでもエースの前に立った。突き刺さる瞬間、思わず目を瞑る。
 痛みはない。衝撃がいつまでも来ない。頭に何かがパラパラと降り注いだ。恐る恐る目を開ける。
 周囲に薔薇の木は無い。代わりに、地面には無数のトランプが落ちていた。自分の頭にも引っかかっている。
「薔薇の木が全部、トランプに変わった……?」
 同じくエースを庇おうとしていたらしいデュースが、呆然と呟いた。二人を振り返り、違和感を覚える。
「首輪、外れてない?」
「え、ホントだ!」
「オレ様の首輪も外れたんだゾ!」
 事態が飲み込めない僕らをよそに、グリムは喜んでいた。
「な、なんで……!?」
「リドル、もうやめろ!」
 クローバー先輩はマジカルペンを握っている。ローズハート寮長も戸惑った目を彼に向けていた。恐らく一部始終を見ていたであろうダイヤモンド先輩が呟く。
「トレイのユニーク魔法……?え、どういう事!?」
 短い間だけ、味や匂いなどの要素を上書きする魔法。
 戦闘には不向きな能力だと思われたもの。
「俺の『薔薇を塗ろう』は少しの間だけならどんな要素も上書きする事が出来る。だから……リドルの魔法を俺の魔法で上書きした」
「そんなんあり!?」
 ダイヤモンド先輩が叫ぶのも納得だ。仕掛ける事さえ出来れば、どんな魔法士でも一時的に無力化出来るって事なんだから、戦闘向きじゃないなんてとんでもない。……親しいダイヤモンド先輩にまで隠してたというのは、なかなか業が深いと思うけど。
 ローズハート寮長は、何度も杖を振った。気迫と殺気とは裏腹に、出てくるのはトランプばかりだ。
「首をはねろ!首をはねろったら!なんでトランプしか出てこないんだよぉ!!」
「リドル、もうやめろ。これ以上はお前が孤立していくだけだ!みんなの顔を見てみろ!」
 首輪をかけられ逃げられずにいた寮生たちは、一部始終を見ていた。危急の事態から目を離せず固まっていた者もいたらしく、そこそこの数がまだ会場内に残っている。彼らは危機を脱した事を察知したものの、恐怖で動けない様子だった。
「ほ、本気でやる気だったのかよ……」
「バケモノだ……」
 怯えながらも非難を口にしているのに、ローズハート寮長は状況を理解できない様子だった。クローバー先輩の言葉も耳に入っていないのかも知れない。
「トレイに、魔法を上書きされた……?ボクの魔法より、キミの魔法の方が優れてるって事?」
「そんな事あるわけないだろう。リドル、一旦落ち着いて話を聞け」
「キミもボクが間違ってるって言いたいの?」
 縋るような声音だった。幼い顔立ちがより幼く見える。だけど今の状況にはそぐわない気がした。嫌な予感がする。
「ずっと厳しいルールを守って頑張ってきたのに!いっぱいいっぱい我慢したのに!ボクは……ボクは、信じないぞ!!!!」
 クローバー先輩の魔法の効果が切れたらしく、トランプは薔薇の木に戻っていった。ローズハート寮長の叫びに呼応するように、また地面が揺れ始める。
「いけませんローズハートくん!それ以上魔法を使えば、魔法石がブロットに染まりきってしまう!」
 学園長が耳慣れない単語を口にする。けれど彼の耳には届かない。彼を案じる幼なじみの声も、何もかも。

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