7−2:疾紅の戦鬼


 詰め所を出て、また山登りを再開する。
 黒々とした魔の山が近づくにつれて、辺りにはうっすら霧も出てきた。雨だけでも視界が狭まるのに、更に悪くなるのはちょっと嬉しくない。
 シルバー先輩が先を歩いているから道に迷う事は無いと思うけど、何度か戦闘もあったし、解らなくなったりしててもおかしくない。不安はちょっとある。
 まぁでもさっきの魔法薬のおかげか疲労感はだいぶマシになったし、多少遠回りをしても間に合うと思う。
「……見ろ、トゲトゲ山がもう目の前なんだゾ!」
 グリムが嬉しそうに言う。もう結構近づいてきていた。渓谷もそろそろじゃないだろうか。
「ああ、本当だ。ふたりとも、この悪路の中よく頑張ったな」
「オレ様たちより、オメーの方がヨレヨレなんだゾ、シルバー」
 労う先輩に対し、グリムが思わずといった様子でツッコミを入れた。褒められた照れもあるのか、ちょっと気まずそうな顔になる。
「リリアを背負いながら、いっぱい戦って……ま、まぁオレ様ほどの活躍じゃなかったけどよ」
「グリムとユウにはたくさん助けられた。感謝している」
 ちょっと照れる。僕なんかそんな大した事してないし。
「セベクも早く追いつけばいいが……」
「あぶねぇ、ユウ!」
 グリムの体当たりが肩に当たった。バランスを崩して転びそうになる。頭が混乱する中で、卵を守らなきゃ!という言葉が真っ先に頭を占めた。どうにか身体を丸めて、卵を抱いたまま地面を転がる。我に返ってすぐ卵を確認したけど、割れたりはしていない。安堵しつつ起きあがる。
「誰だ、オレ様の子分を狙ったヤツは!」
 グリムが怒鳴ると、本当に『銀の梟』が出てきた。二人は剣、一人は弓を持ってる。さっきグリムが突き飛ばしたのは、矢が飛んできたからみたい。
「くっ……いつの間に背後に!?」
 シルバー先輩が僕を背に庇った。対する『銀の梟』は忌々しげに舌打ちする。
「魔の山に逃げ込まれては厄介だ。今ここで仕留めるぞ」
「卵は傷つけるなよ」
 ヴァンルージュ先輩を背負ったまま、シルバー先輩は警棒を抜く。本当はヴァンルージュ先輩は預かっておきたいぐらいなんだけど、荷下ろしの時間なんてなさそうだからね。仕方ない。
「ここまで来て、お前たちに捕まるわけにはいかない」
「うう……っ!」
「……もう少しです、親父殿。今しばらくの辛抱を!」
 敵の注意がシルバー先輩に向いている間に、僕は素早く木の影に入り、ひとまず矢から身を守る。
 すると向こうの弓兵も僕を狙うために動いた。それをグリムが猛然と追いかける。小さくて素早いグリムに弓は当てづらい。そして距離が近いので一度外せばもう一度矢を放つ時間は無い。
 グリムは真正面から火を吹いて、弓兵の視界を奪う。熱で怯んだ所に、渾身の跳び蹴りを放った。跳び蹴りっていうか人間の頭を使った三角跳びっぽいんだけど、小柄とはいえ魔獣、そして後ろ足の力は相当に強い。弓兵は蹴られた勢いで近くの木に激突した。更にグリムの追撃を逃れるために前も見ずに走り出し、足を滑らせて急な坂を転がり落ちていく。あそこかなり長い急な坂だった気がする。あの勢いならしばらく戻ってこられないだろう。
 シルバー先輩は剣士二人相手に全く劣らない戦いぶりだ。たまに僕が敵の兜に石をぶつけて集中をそらし、そこをシルバー先輩が突くという戦い方で徐々に相手を弱らせていく。
 そして弓兵を片づけたグリムが合流すれば形勢逆転。魔法への対処まではしてなかったようで、数分と経たずに甲冑が地面に転がった。
「グリム、怪我は無い?」
「大丈夫なんだゾ。子分こそケガはねーか?」
「僕も大丈夫。助けてくれてありがとね」
「親分なんだからトーゼンなんだゾ!」
 誇らしげなグリムを労うつもりで頭を撫でる。僕たちの様子を見ていたシルバー先輩が、不意に険しい顔になった。
「……『勝った、と思った瞬間が一番の隙』……目的地を前にして油断が生じたのかもしれない。もっと気を引き締めていかなくては」
 シルバー先輩の言葉に僕は頷き、グリムも表情を引き締める。偉い。
 歩き出したけど、雨の勢いはまだ収まらない。標高が高くなり、霧の冷たさもあって気温はずいぶん低くなった。雨除けの外套はとっくに効果が無くなったけど、それでも一度乾かして身体を暖められたからか、まだ身体は冷え切らずに動かす事が出来ている。
 卵も寒くないかな。時折撫でているけど、やっぱり特に反応はない。大丈夫だといいけど。
 息も荒く歩き続け、森が途切れ山道が現れる。整備というほどではないけど、見た瞬間に『道だ!』と思うぐらいに、歩いてきた山の中とは雰囲気が違った。
 その道を魔の山へ向かう方向へと歩けば、どんどん山に近づいていく。そして道の途切れた先、大きな橋が見えた。木と蔓で出来ているが大きな橋で、この嵐に揺れてはいるが落ちそうにはない。
 ここが竜尾岳と魔の山の境となる渓谷、という事だろうか。橋の下は覗き込みたくない。怖そう。
「……やっと、着いた」
 シルバー先輩が感慨深げに呟く。その声に反応したのか、ヴァンルージュ先輩が呻いた。
「……ここ、は?」
「ヴァンルージュ殿、気が付きましたか。魔の山に続く大橋の手前です」
 シルバー先輩が安堵した様子で答えると、ヴァンルージュ先輩は驚きに目を見開いた。
「お前、本当に竜尾岳の麓から俺を背負ったまま、ここまで登ってきたのか……?」
「はい。問題ありませんでした」
「はっ!卵は!?」
「心配しなくても、卵はユウがちゃーんと運んでやってるんだゾ」
 僕が見えるように卵を掲げると、ヴァンルージュ先輩はほっとした様子で脱力した。
「……おい、シルバー。もう自分で歩ける。降ろせ」
「本当に大丈夫ですか?俺は竜の都までこのままでも平気です」
「は、ずいぶん生意気言うようになったじゃねぇか」
 ヴァンルージュ先輩も余裕が出てきた感じがする。というかなんか嬉しそう。言わないけど。ややこしいから。
「お前らには感じ取れないかもしれないが、辺りに立ちこめる霧には魔力が豊富に含まれてる。ここまで来りゃ、傷もすぐに塞がるだろうよ」
 そういえばそんな事を言っていたなぁ。事実、元気そうだし。空元気にしては言葉もしっかりしてる。シルバー先輩の背中から降りる動きも自然に見えた。
「ユウも。重たい荷物を運ばせちまったな。ほら、よこせ」
「なんだか愛着が湧いちゃいました」
 軽口を叩きつつ、卵を手渡す。ヴァンルージュ先輩は愛おしそうな視線を卵に向けた後、注意深く様子を確認した。
「どこにも傷やヒビは入ってねぇな。はぁ……本当にずっしり重てぇ」
 そして抱えなおして文句を言う。でも、ヴァンルージュ先輩に抱えられている方が卵も安心というか、喜んでいるような気がした。
「そういえば、セベクの姿が見えねぇな。あいつはどうした?」
「バウル殿と共に敵を食い止めるために残り……まだ再会できていません」
「そうか……バウルと……」
 ヴァンルージュ先輩の表情は暗い。そういえばバウルさんが敵を引きつけて先輩を逃がしたんだもんね。そんな顔にもなるか。
 と、思っていたら地響きのような音が聞こえた。足下も揺れて、この雨だし地震で土砂崩れが起きたらどうしよう、とか一瞬怖くなったんだけど、雨の間に聞こえる金属音で我に返る。
「ふなっ!?地震か!?」
「いや、違う。この耳に障る音は……」
 ヴァンルージュ先輩が警戒を露わにする。道の先から、甲冑を着た大勢の人間の足音と共に、独特の駆動音が響いてきた。
「ついに追いつめたぞ、ヴァンルージュめ!!」
 足音の主の一人が声を張り上げる。『銀の梟』と装甲掘削機だ。比較的整備された道を使って、装甲掘削機をここまで運ぶ事を優先した部隊なのだろう。道の無い山の中を進んでいた僕たちと遭遇しなかった代わりに、人員の脱落もおそらくほとんど無い。
「装甲掘削機で橋を落とせ!なんとしてもヴァンルージュを討ち取り、ドラゴンの卵を手に入れろ!」
 橋は僕たちの方が近い。駆け込めば間に合う可能性はある。
 だけど橋の長さはそこそこあるし、渡ってる途中で落とされでもしたら、この高さじゃ無事じゃ済まない。
 それにセベクもバウルさんもまだ来ていない。
 ヴァンルージュ先輩が舌打ちして魔石器を抜いた。
 それを見た『銀の梟』も構える。装甲掘削機を隊列の先頭に据えて、向きを橋の正面に調整していた。
「またあのデカブツか……!」
「『銀の梟』のヤツらもワラワラ出てきたんだゾ~!」
「ヴァンルージュ殿とユウたちは早く橋の向こうへ!俺が時間を稼ぎます!」
 シルバー先輩が一歩前に出た。警棒を構え『銀の梟』を睨む。
「この先は行かせない!俺が相手だ!」
「はっ、小僧一人に何ができる!橋ごと谷底に叩き落としてくれる」
 鼻で笑った、隊のリーダーらしき男が号令をかける。
「装甲掘削機、全速前進!」
 駆動音が更に大きくなった。装甲掘削機を守るつもりなのか、兵士もそれなりにいる。シルバー先輩ひとりでは無理だ。
「……曇天を衝け、雷光よ!」
 雨の向こうから、そんな声が聞こえた気がした。空耳かな、と思いかけた瞬間。
「『迅雷一閃』!!!!」
 凄まじい雷の音と光。エネルギーの塊が森の中から飛び出し、周辺にいた『銀の梟』を巻き込みながら、装甲掘削機に直撃した。
「ぐわああああああ~~~~~~!!!!」
 汚い悲鳴が木霊する。まだ距離が離れていたシルバー先輩は無傷だが、突然の攻撃に目を丸くしていた。
「ま、まだこんなところでもたもたしているとは……途中、い、居眠りでもしていたか?はががっ!」
 光が消え、聞こえてきた声にシルバー先輩の表情が和らぐ。
「セベク!その装備は……!?」
 言われてみれば、別れた時と服装が違う。王宮近衛隊の暗緑色の鎧を纏い、長柄の斧の魔石器を手にしていた。バウルさんと同じ形、だと思う。
 セベクは誇らしげにニヤリと笑った。が、ユニーク魔法の反動でまだ顔がひきつっている。
「ふ、ふふっ、気づいたか!ぞ、存分に見せびらかしてやりたいところだが……それは目の前の敵を片付けて、からにしようッ!ふがッ!」
 相手の戦力が増え、更に主戦力の装甲掘削機がダメージを受けたとあって、『銀の梟』は焦った様子だった。セベクの攻撃をもろに受けた装甲掘削機は、煙を吐きながら完全に沈黙している。周りにいた兵士たちもほとんど気絶しているか痺れていて動けそうにない。
「新手か!ぐぬぬ、装甲掘削機の復旧を急げ!」
「ユウ、グリム。来い」
 ヴァンルージュ先輩が手招きする。言われるがまま従った。行く先は例の大橋だ。下を見てしまったグリムが小さく悲鳴を上げて僕の背中に飛びついてくる。苦笑しつつ、後ろ手に落ちないように支えながら進んだ。
 実際に歩けば激しく揺れて不安定に感じたけど、怖がってる余裕も無い。ただでさえ前を歩くヴァンルージュ先輩は全くペースを落とさないし、置いていかれてグリムと二人だけになる方が多分、もっと怖い。
 何とか無心で足を動かして渡りきった。グリムを下ろしたタイミングで、ヴァンルージュ先輩は卵を僕に差し出す。
「ここで待ってろ」
 僕に卵を持たせると、ヴァンルージュ先輩は飛ぶように橋を戻っていった。……さっきの速度でも、ヴァンルージュ先輩的には慎重だったんだな。卵があったからか。
 ヴァンルージュ先輩が戻り、いつの間にかバウルさんも合流しているようだった。心強い。
 橋の前に立ちはだかる四人に対し、『銀の梟』も数が増えていく。装甲掘削機も再起動に成功した様子だ。
 互いに睨み合い、戦いが始まる。
 橋を守る四人は疲労も著しいはずだが、魔の山の霧の効果もあってか、善戦している。むしろ圧倒していた。
 卵を守らなくていい状態なら、ヴァンルージュ先輩はポテンシャルを全力で発揮できる。小柄な体躯を生かした攪乱は、数が多いからこそ輝くものだ。同士討ちもさせつつ混乱を起こし、どんどん数を減らしていく。
 バウルさんの攻撃も、束になった兵士を薙ぎ倒していく。相変わらず力強い戦い方だ。攻撃方法は対照的な二人なのに噛み合ってる。息もぴったり。
 シルバー先輩はここまでの疲労があるはずなんだけど、それを感じさせない剣捌きで確実に倒している。安定感が凄い。これもヴァンルージュ先輩の教育の賜物、なんだろうけど、それはそれとして精神が強すぎる気がする。
 ユニーク魔法の反動から回復したらしいセベクも、慣れない武器に戸惑ってはいそうだけど、それにしてはしっかりと戦えていた。あの体格だと、大型の得物似合うなぁ。バウルさんと血の繋がりを感じる姿だ。
 たった四人の防衛線。『銀の梟』の戦力は続々と投入されているはずなのに、その薄い線を越えられない。再起動したはずの装甲掘削機もいつの間にか沈黙しているし、増援もいたはずなのに、気づけば立っている戦力は最初に接敵した時の人数を大幅に下回り、もうすぐこちらと同数になる。
 愚直な進軍を続けるには、現実の実力差が残酷すぎた。
 やがてリーダーらしき兵が腕を大きく回す。多分、退却の合図だ。立っていた者たちが号令に従って走り去っていく。先輩たちがそれを追う事はしない。
「ひゃっほー!アイツら逃げていっちまったんだゾ!」
「大金星だねぇ」
 いやまぁ、逃亡中の防衛戦なんだから、ちょっと違うかもしれないけど。
 今この場では間違いなく誇るべき勝利であり、彼らは勇ましい英雄だ。
 あとはこの卵を山の上まで届けるだけ。……ここからまた山登りかぁ。
 と思っていたら、地面が大きく揺れた。今度は装甲掘削機じゃなくて、本物の地震。
 地面が揺れるほどに、山の上の方から変な音が近づいてくる。土砂崩れか岩が落ちてきてるのか、逃げるより早くぶつかるかもしれない。
 とっさに卵とグリムを抱え、身体の下に隠した。何もしないよりはきっとマシだ。もう轟音がそこまで近づいてる。
「ふ、ふなぁぁぁっ!!」
 身体の下からグリムが前足を伸ばし、防衛魔法を僕の身体の上に展開する。迫っていた大岩は防壁の上を滑って通り過ぎ、渓谷の方へ転がり谷底へ落ちていった。
「ふな、やった!成功だ!」
「グリム……」
 まだ地面は揺れているけど、変な音はしていない。今のが最初で最後のようだ。
「……ありがとう、グリム」
「へへん、子分もツノ太郎の卵も、オレ様が守ってやるって言ったからな!」
 そう高らかに言った瞬間に、僕の頭部にガツン、と衝撃が走る。
「あ」
 グリムが青ざめる。僕の頭に当たったらしい拳骨くらいの大きさの石が、コロコロと転がって止まった。
 ……じんじんと痛むが、これぐらいはまぁ、大丈夫だろう。うん。
「……こ、子分……」
「……『勝ったと思った瞬間が一番の隙』、ね」
「……カンペキに防いだと思ってもボーヘキはしばらく出しとけ、ってクルーウェルも言ってたな……いま覚えたんだゾ」
 偉い。
 まだ揺れてるから、身を起こしつつもその場に留まった。落石の危険はこの辺りのどこにもありそうだし、変な所に行っちゃって合流に支障が出ても困る。
 皆の方を見れば、丁度、橋を渡ってくるところだった。ただしかなり慌てふためいている。地面の揺れに合わせて橋も大きく揺れていた。全員が渡り終えた所で、向こう側で橋を支える杭が刺さっていた地面が崩れ、垂れ下がった橋本体の重みでこちら側の地面も崩れる。痕跡だけを残して、橋は完全に落ちてしまった。
 これで『銀の梟』が追いかけてきてもこちらには渡って来られない。
 揺れが収まった所で、四人に駆け寄る。僕たちの顔を見て皆が表情を緩めた。
「グリム、ユウ!卵様はご無事か!?」
「さっきの地震で岩が転げ落ちてきてあぶねぇところだったけど、オレ様とユウが守ってやったんだゾ。感謝しろ!えっへん!」
「グリムが魔法で岩を弾いてくれたんだ」
「ふん、貴様らにしてはなかなかの働きじゃないか。褒めてやろう!」
「相変わらず偉そうなヤツなんだゾ」
 グリムとセベクは気が抜けた様子でじゃれ合っている。怒られるかと思ったけど、ヴァンルージュ先輩もバウルさんも和んでいるみたいだ。
「ヴァンルージュ様、卵を」
「ああ、悪いな」
 ヴァンルージュ先輩は卵を受け取り、傷ついたりしていないか確認してから抱えなおした。ちゃんと渡せて僕も一安心。
「ユウ殿」
 バウルさんに声をかけられて振り返れば、優しい視線をこちらに向けていた。
「ご無事で何よりです」
「バウル様も。……合流できてよかったです。お身体は大丈夫ですか?」
「ええ。魔の山の霧は、夜の眷属に力を与えますゆえ。傷も大半は塞がりました」
「それは……安心いたしました」
 思わず本音の感想が漏れる。ヴァンルージュ先輩の夢の中とは言え、ここまで良くしてくれた人がいなくなってしまうのはつらい。
 バウルさんはぐっと息を詰まらせた。見ればこちらに伸ばそうとしたらしい両手が引っ込んでいく。
「おいおい、そこは勢いのまま抱きしめてやるところじゃねーのか?」
「ヴァンルージュ殿!!!!」
「男を見せるなら、緩んだ顔は見なかった事にしてやろうと思ってたのに」
「た、他国の姫君に対して決して!!決してそのような感情は!!!!」
 ヴァンルージュ先輩が歩き始めると、バウルさんは慌てふためいてその後を追っていく。思わず笑ってしまった。
 あの人の奥さんは幸せだろうな。よくよく考えたら、セベクのお母さんを、人間を愛する妖精を育てた妖精さんたちだもん。人間の事は好きじゃなくても、きっとお似合いの愛情深い夫婦なのだろう。現実に戻ったら、ちょっと会ってみたいかもしれない。
 そんな事を思っていると、なんか一人で語ってるセベクを置いてグリムが戻ってきたので、一緒にヴァンルージュ先輩の後を追いかけた。

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