6−2:宙を睨む奈落の王
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動向は常に監視していた。
研修施設でおとなしくしてくれていれば楽だったのに、という暗澹たる気持ちを抱えながら、作業の片手間に緊急時さえ目を引く『花』を見つめる。
ヒヤリとした場面もあったが、何とか乗り越えてくれた。本部まで辿り着いた時には思わず脱力したぐらい。
だが管制室では不愉快な光景を見るはめになった。
あの子の優しさにつけ込んで喜ぶ連中に、不快感が増していく。ただの親愛を勘違いしている連中の哀れな様子に、怒りを通り越して呆れすら感じた。
対抗手段に『雷霆の槍』を選ぶ事は予想済み。というか、それ以外に無いのだからそうなるだろう。さすがにうちのスタッフは対抗手段の存在を忘れるほどバカじゃない。
……当然という顔で隣にいる男に、あんなに幸せそうに寄り添って。
頭の奥が軋む。不愉快すぎて自分の今の表情が分からない。
『もう我慢するのはやめようよ、兄さん』
弟の声がスピーカーから聞こえる。
……そうだ、もう我慢の必要はない。
どこにでも行ける。どこでも生きられる。
もう諦めなくていいんだ。
『兄さんはこの世界の王様になるんだから』
誰からも愛される可憐な白い花。
摘み取って自分のものにしてはいけないなんて決まり事はない。
陽光を失ったら枯れてしまうなんて誰が決めた?
世界が光を失ったとしても、僕の隣にいれば枯れないようにしてやればいいだけの事。
…………僕にはそれが出来る。
『さあ、「花嫁」を迎えに行こう?』
「……そうだね、オルト」
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