短編
名前・一人称の設定
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とある島に滞在中、街中を1人でぶらぶらと散策していると、不思議な猫に出会った。
背の高さは私の膝下ほど。後ろ足で立ち、人間のように歩いている。
何かを両前足に持ち辺りをきょろきょろと見渡していたのだが、私の姿が目に入ると一目散にこちらへ駆け寄ってきた。
足元まで来ると、見上げながら持ったもの──猫耳カチューシャをこちらへ差し出してくる。
「……へっ???」
一瞬、言葉を失った。
猫が猫耳カチューシャを持っているだなんて、どういう状況なのだろうか。
「ど、どうしたの?」
戸惑いつつもしゃがみ込んで目を合わせ、問いかける。
それでも猫は、何も言わずにただにっこにこの笑顔を浮かべるだけ。
いや、にこにこしながら猫耳カチューシャを私の頭につけるような仕草をしている。
「これを、私につけてほしい、ってこと……?」
そう尋ねると、そうそうとでも言いたげに、首をぶんぶんと上下に振った。
「ん、分かった……」
なぜこのような状況になっているか全く理解はできなかったが、これぐらいでは何も害はないだろうと思い、カチューシャを手に取る。
ゾロの髪の毛と同じような毛色の、猫耳。
……ゾロの髪の毛と同じ色……?
その時、ふと私の中にいたずら心が芽生えた。
「ねえ猫ちゃん、これ、別の人につけてもいい?」
「にゃあ」と猫が一鳴きしたのを、「いいよ」の合図だと捉えて私は立ち上がる。
「ありがと!じゃあこっち、着いてきて……!」
私は先に立って歩き始めた。
──────────────
向かったのは、今回泊まっている宿だった。
落ち着いた雰囲気の、ワノ国風の旅館。
この島に上陸している間、ゾロと2人きりで行動したくて、ゾロに似合うな、と思いながら選んだ宿である。
「ただいま〜ゾロ、起きてるかな……?」
声をかけながら、部屋に入る。
私が部屋を出た時、ゾロは昼寝の真っ最中だった。
もしかしたらまだ寝ているかもしれない、と思ったのだが……今は起きていて、鏡に向かって刀を構えていた。
手入れでもしていたのだろうか。
何なら、ちゃっかりお酒まで飲んでいたらしい。鏡の下の台の上に、徳利とお猪口が置いてあるのが見える。
「おかえり、早かったな」
「ふふ、ちょっと面白いもの見つけちゃって」
「面白いもの?」
ゾロがそう言って振り向こうとする前に、私は足元にいる猫に囁いた。
「ほら、あの人に猫耳つけてみて」
「にゃ」
猫は短く返事をすると、素早くゾロの所へ行き、あっという間に肩まで登っていく。
そして。
「んにゃ!」
そんな掛け声と共に、ゾロの頭に猫耳カチューシャを装着した。
「ん?」
ゾロは自分の肩に乗った猫に視線をやった後、鏡の中の自分の姿を見つめる。
「……あ?」
猫耳をつけたゾロと、その戸惑った表情、そして猫の満足げな顔。
そのギャップがなんだかとても面白い。
「お前な……」
呆れたように呟きながら、猫耳を取ろうとするゾロ。
「あはは、ごめんごめん。ちょっとイタズラしたくなっちゃって」
「これだけのためにさっさと帰ってきたのかよ」
「半分はね……それより、それ取っちゃうの?似合ってるのに」
その言葉を聞いて、ゾロの手が一瞬止まる。
「はァ?」
「だから、もう少しだけそのままでいて……?」
ゾロの顔を見上げながら言ってみる。
「仕方ねェな、少しだけだぞ」
「えへへ、ありがと!」
ゾロの肩に乗ったままだった猫は、よくやったとでも言いたげに指を立てている。
居心地が悪そうに視線を彷徨わせていたゾロだったが、しばらくすると「もういいだろ」と言い、猫耳を取り去った。
「あ、もう少し……」
「いい。それより……」
私の言葉を遮るように言うと、その外した猫耳を……私の頭につけた。
「へ?」
「お前の方が似合う」
ほらよ、とゾロは私を鏡の方へ向かせる。
「似合ってんじゃねェか。もうずっとつけとけ」
「もう、ゾロったら……」
猫耳が似合ってる、と言われて悪い気はしない。
「で、もう半分は?」
「もう半分?」
「さっき言ってただろ?早く帰ってきた理由の半分はイタズラしたかったからだ、って。じゃあもう半分はなんなんだよ」
「あえっと、それは……」
少し恥ずかしくて、ゾロから目線を逸らしながら口を開く。
「今すぐゾロに会いたくなっちゃったから、って言ったら、笑う……?」
「笑うかよ」
フッ、と笑って、ゾロは私の顎を持ち上げる。
ゾロの顔が近づいて、目を閉じようとしたところで……耳元で、「んに゛ゃ゛っ?!」という鳴き声が聞こえた。
「あ、猫、忘れてた」
「チッ……」
ゾロは猫の首根っこを引っ掴むと、床に下ろした。
「ほらよ、出口はあっちだ」
「ううん違う、あっち」
ゾロが示した方向とは反対側を指差すと、猫は一瞬きょとんとした顔をした後、「にゃ」と短く鳴いてから、ぱたぱたとそちらの方へ走っていく。
「あ、あの子自分で扉開け閉めできないよね」
私は後をついて行くと、扉を少しだけ開けてやる。
その隙間からするりと猫が出て行くのを確認してから、扉を閉めた。
「あ、猫耳返さなくていいのかな?……何も言われなかったし、大丈夫か」
「もう出てったか?」
振り向くと、ゾロもすぐそばにやってきていた。
「うん」
「じゃあ、さっきの続きな」
ゾロは再び私の顎を持ち上げると、今度こそ私の唇にキスを落とした。
背の高さは私の膝下ほど。後ろ足で立ち、人間のように歩いている。
何かを両前足に持ち辺りをきょろきょろと見渡していたのだが、私の姿が目に入ると一目散にこちらへ駆け寄ってきた。
足元まで来ると、見上げながら持ったもの──猫耳カチューシャをこちらへ差し出してくる。
「……へっ???」
一瞬、言葉を失った。
猫が猫耳カチューシャを持っているだなんて、どういう状況なのだろうか。
「ど、どうしたの?」
戸惑いつつもしゃがみ込んで目を合わせ、問いかける。
それでも猫は、何も言わずにただにっこにこの笑顔を浮かべるだけ。
いや、にこにこしながら猫耳カチューシャを私の頭につけるような仕草をしている。
「これを、私につけてほしい、ってこと……?」
そう尋ねると、そうそうとでも言いたげに、首をぶんぶんと上下に振った。
「ん、分かった……」
なぜこのような状況になっているか全く理解はできなかったが、これぐらいでは何も害はないだろうと思い、カチューシャを手に取る。
ゾロの髪の毛と同じような毛色の、猫耳。
……ゾロの髪の毛と同じ色……?
その時、ふと私の中にいたずら心が芽生えた。
「ねえ猫ちゃん、これ、別の人につけてもいい?」
「にゃあ」と猫が一鳴きしたのを、「いいよ」の合図だと捉えて私は立ち上がる。
「ありがと!じゃあこっち、着いてきて……!」
私は先に立って歩き始めた。
──────────────
向かったのは、今回泊まっている宿だった。
落ち着いた雰囲気の、ワノ国風の旅館。
この島に上陸している間、ゾロと2人きりで行動したくて、ゾロに似合うな、と思いながら選んだ宿である。
「ただいま〜ゾロ、起きてるかな……?」
声をかけながら、部屋に入る。
私が部屋を出た時、ゾロは昼寝の真っ最中だった。
もしかしたらまだ寝ているかもしれない、と思ったのだが……今は起きていて、鏡に向かって刀を構えていた。
手入れでもしていたのだろうか。
何なら、ちゃっかりお酒まで飲んでいたらしい。鏡の下の台の上に、徳利とお猪口が置いてあるのが見える。
「おかえり、早かったな」
「ふふ、ちょっと面白いもの見つけちゃって」
「面白いもの?」
ゾロがそう言って振り向こうとする前に、私は足元にいる猫に囁いた。
「ほら、あの人に猫耳つけてみて」
「にゃ」
猫は短く返事をすると、素早くゾロの所へ行き、あっという間に肩まで登っていく。
そして。
「んにゃ!」
そんな掛け声と共に、ゾロの頭に猫耳カチューシャを装着した。
「ん?」
ゾロは自分の肩に乗った猫に視線をやった後、鏡の中の自分の姿を見つめる。
「……あ?」
猫耳をつけたゾロと、その戸惑った表情、そして猫の満足げな顔。
そのギャップがなんだかとても面白い。
「お前な……」
呆れたように呟きながら、猫耳を取ろうとするゾロ。
「あはは、ごめんごめん。ちょっとイタズラしたくなっちゃって」
「これだけのためにさっさと帰ってきたのかよ」
「半分はね……それより、それ取っちゃうの?似合ってるのに」
その言葉を聞いて、ゾロの手が一瞬止まる。
「はァ?」
「だから、もう少しだけそのままでいて……?」
ゾロの顔を見上げながら言ってみる。
「仕方ねェな、少しだけだぞ」
「えへへ、ありがと!」
ゾロの肩に乗ったままだった猫は、よくやったとでも言いたげに指を立てている。
居心地が悪そうに視線を彷徨わせていたゾロだったが、しばらくすると「もういいだろ」と言い、猫耳を取り去った。
「あ、もう少し……」
「いい。それより……」
私の言葉を遮るように言うと、その外した猫耳を……私の頭につけた。
「へ?」
「お前の方が似合う」
ほらよ、とゾロは私を鏡の方へ向かせる。
「似合ってんじゃねェか。もうずっとつけとけ」
「もう、ゾロったら……」
猫耳が似合ってる、と言われて悪い気はしない。
「で、もう半分は?」
「もう半分?」
「さっき言ってただろ?早く帰ってきた理由の半分はイタズラしたかったからだ、って。じゃあもう半分はなんなんだよ」
「あえっと、それは……」
少し恥ずかしくて、ゾロから目線を逸らしながら口を開く。
「今すぐゾロに会いたくなっちゃったから、って言ったら、笑う……?」
「笑うかよ」
フッ、と笑って、ゾロは私の顎を持ち上げる。
ゾロの顔が近づいて、目を閉じようとしたところで……耳元で、「んに゛ゃ゛っ?!」という鳴き声が聞こえた。
「あ、猫、忘れてた」
「チッ……」
ゾロは猫の首根っこを引っ掴むと、床に下ろした。
「ほらよ、出口はあっちだ」
「ううん違う、あっち」
ゾロが示した方向とは反対側を指差すと、猫は一瞬きょとんとした顔をした後、「にゃ」と短く鳴いてから、ぱたぱたとそちらの方へ走っていく。
「あ、あの子自分で扉開け閉めできないよね」
私は後をついて行くと、扉を少しだけ開けてやる。
その隙間からするりと猫が出て行くのを確認してから、扉を閉めた。
「あ、猫耳返さなくていいのかな?……何も言われなかったし、大丈夫か」
「もう出てったか?」
振り向くと、ゾロもすぐそばにやってきていた。
「うん」
「じゃあ、さっきの続きな」
ゾロは再び私の顎を持ち上げると、今度こそ私の唇にキスを落とした。
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