短編
名前・一人称の設定
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その日のゾロは、なんだかいつもよりも疲れてるみたいだった。
あくびの回数が多いし、どこかぼーっとしてる気がする。
お酒を口に運ぶペースも、心なしかいつもより遅い。
「ゾロ」
「……ん?」
名前を呼んでみると、一拍置いてからこっちを見る。
「ね、ゾロ、大丈夫?なんだかいつもより疲れてるみたい。何かあった?」
「そうか?まァ……いつもより筋トレ増やしたから、それで疲れてんのかもしんねェな」
「なるほどね……」
ゾロが筋トレ増やしたのは、ちゃんと理由あってのことだろう。
それに私が口を出すべきではないから、疲れてるなら増やさないほうがいいんじゃない?なんて口が裂けても言わないけど。
でも、ぼけーっとしているゾロを見ていると、何かをしてあげたくなって。
少し考えたあと、ゾロに向かって両腕を広げながら、彼の名前を呼んだ。
「ゾロ、ほら……おいで」
「あ?」
ゾロが怪訝そうに眉を寄せる。
それは、警戒するような反応ではなく、「聞き間違いじゃねェよな?」と確認するようなものだった。
私はにこっと笑うと、もう一度言う。
「ほらゾロ、おいで。ぎゅってしてあげる」
ゾロの目が、ふっと細くなる。
「ガキじゃねェんだから……ったく」
ぶつくさ言いながらも、私の方に向き直る。
「じゃあ、遠慮なく」
そう言うと、私の胸に顔を埋めるようにしながら腰に軽く手を回してくる。
「重くねェか?」
「ん、大丈夫だよ」
私が答えると、ゾロは安心したように目を閉じた。
ゾロが完全に私に身を任せてくれているのがとても嬉しくて。
こんなゾロを見られるのは私だけなんだろうな、なんて考えてしまう。
「ゾロ……」
名前を呟きながらゆっくりとゾロの頭を撫でる。
髪の流れに逆らわずに、後ろへ後ろへと指を滑らせる。
その感触はとても心地よくて、どんどん愛しさが募ると共に私の心がゆっくりと解けていく。
「……気持ちいい」
小さな声で、ぼそっと呟くゾロ。
「ほんと?嬉しい」
「あァ……すげェ落ち着く」
「ん、私も……」
ゾロの体温と匂いが、私の腕の中にある。
それをもっと感じたくて、もっと近くになりたくて。
私はゆっくりと、顔をゾロの頭に寄せた。
頭のてっぺんあたりに鼻先をつけると、すうっと息を吸い込む。
汗の匂いがふわっと香ってきた。
他の人のものなら不快に感じるかもしれないけど、ゾロのそれはただ愛しいものでしかなくて。
ああ、この人のことが大好きだなあ…って、心の中に温かい気持ちが広がっていく。
「あったけェな……」
「そうだね……」
ゾロと同じこと感じたんだなってことを、嬉しく思った。
私は頭を撫でる手を止め、ゾロの頭を上からぎゅっと抱きしめる。
「ゾロ、大好き」
そんな言葉が、口からぽろっとこぼれ出る。
「おれもだ」
「……ふふっ」
こうやって抱きしめていると、心臓の音なんてゾロに丸聞こえなんだろうな、と思う。
いや、むしろ、ゾロの音と一つになって、溶け合って、とくん、とくん、と……
と、ゾロががさごそと動く気配がした。
と思ったら、大きなあくびをひとつ。
「……眠ィ」
「ん、そろそろ寝る?」
「あァ」
それじゃあ、と名残惜しさを感じながらもゾロから離れようとする。
しかし、ゾロの手がそれを引き止めた。
「ゾロ、布団行くよ?」
「いや、いい」
そう言ったゾロの声は低くて眠たげで、でも妙にはっきりしていた。
「……このままでいい」
顔はまだ私の胸元に埋まったまま。
その状態でぼそぼそと言うもんだから、なんだか、まるで……
「……子供みたい」
「……うるせェ」
ぼそっと帰ってきたその声は、拗ねたような、照れたような響きがあって、思わず笑ってしまった。
「でも、嬉しいな。ゾロがこんな風に甘えてくれるの」
「甘えてねェ」
「はいはい、そういうことにしとく」
そう返しながら、私はゾロの髪にもう一度そっと指を滑らせる。
ゾロはそれ以上言い返してこなかった。
私の胸に顔を押し付けるようにして、小さく息を吐く。
「離れたくねェ……」
その一言に、胸の奥がきゅっと締め付けられる。
ゾロにこんなことを言ってもらえるなんて。
私はとっても幸せ者だ。
「ゾロ、何があっても、私はずーっとゾロのそばにいるよ」
「ん……」
その言葉を聞いているのかいないのか、ゾロがうとうとしてるのが伝わってきた。
「おやすみ、ゾロ。いい夢を。……大好きだよ」
「……ああ、おれもお前のこと愛してる」
「……っっっ……!!!」
……もう寝たと思ったのに最後に爆弾を落とされた。
「ば、ばか、ねえ…っ!」
思わずゾロを揺さぶるけれど、目を開ける気配はない。
完全に寝入ったのか、それとも無視しているのか。
「……ほんと、ずるいんだから」
普段全く言わないくせに。
たまに落とされる愛の言葉はとても心に響く。
あくびの回数が多いし、どこかぼーっとしてる気がする。
お酒を口に運ぶペースも、心なしかいつもより遅い。
「ゾロ」
「……ん?」
名前を呼んでみると、一拍置いてからこっちを見る。
「ね、ゾロ、大丈夫?なんだかいつもより疲れてるみたい。何かあった?」
「そうか?まァ……いつもより筋トレ増やしたから、それで疲れてんのかもしんねェな」
「なるほどね……」
ゾロが筋トレ増やしたのは、ちゃんと理由あってのことだろう。
それに私が口を出すべきではないから、疲れてるなら増やさないほうがいいんじゃない?なんて口が裂けても言わないけど。
でも、ぼけーっとしているゾロを見ていると、何かをしてあげたくなって。
少し考えたあと、ゾロに向かって両腕を広げながら、彼の名前を呼んだ。
「ゾロ、ほら……おいで」
「あ?」
ゾロが怪訝そうに眉を寄せる。
それは、警戒するような反応ではなく、「聞き間違いじゃねェよな?」と確認するようなものだった。
私はにこっと笑うと、もう一度言う。
「ほらゾロ、おいで。ぎゅってしてあげる」
ゾロの目が、ふっと細くなる。
「ガキじゃねェんだから……ったく」
ぶつくさ言いながらも、私の方に向き直る。
「じゃあ、遠慮なく」
そう言うと、私の胸に顔を埋めるようにしながら腰に軽く手を回してくる。
「重くねェか?」
「ん、大丈夫だよ」
私が答えると、ゾロは安心したように目を閉じた。
ゾロが完全に私に身を任せてくれているのがとても嬉しくて。
こんなゾロを見られるのは私だけなんだろうな、なんて考えてしまう。
「ゾロ……」
名前を呟きながらゆっくりとゾロの頭を撫でる。
髪の流れに逆らわずに、後ろへ後ろへと指を滑らせる。
その感触はとても心地よくて、どんどん愛しさが募ると共に私の心がゆっくりと解けていく。
「……気持ちいい」
小さな声で、ぼそっと呟くゾロ。
「ほんと?嬉しい」
「あァ……すげェ落ち着く」
「ん、私も……」
ゾロの体温と匂いが、私の腕の中にある。
それをもっと感じたくて、もっと近くになりたくて。
私はゆっくりと、顔をゾロの頭に寄せた。
頭のてっぺんあたりに鼻先をつけると、すうっと息を吸い込む。
汗の匂いがふわっと香ってきた。
他の人のものなら不快に感じるかもしれないけど、ゾロのそれはただ愛しいものでしかなくて。
ああ、この人のことが大好きだなあ…って、心の中に温かい気持ちが広がっていく。
「あったけェな……」
「そうだね……」
ゾロと同じこと感じたんだなってことを、嬉しく思った。
私は頭を撫でる手を止め、ゾロの頭を上からぎゅっと抱きしめる。
「ゾロ、大好き」
そんな言葉が、口からぽろっとこぼれ出る。
「おれもだ」
「……ふふっ」
こうやって抱きしめていると、心臓の音なんてゾロに丸聞こえなんだろうな、と思う。
いや、むしろ、ゾロの音と一つになって、溶け合って、とくん、とくん、と……
と、ゾロががさごそと動く気配がした。
と思ったら、大きなあくびをひとつ。
「……眠ィ」
「ん、そろそろ寝る?」
「あァ」
それじゃあ、と名残惜しさを感じながらもゾロから離れようとする。
しかし、ゾロの手がそれを引き止めた。
「ゾロ、布団行くよ?」
「いや、いい」
そう言ったゾロの声は低くて眠たげで、でも妙にはっきりしていた。
「……このままでいい」
顔はまだ私の胸元に埋まったまま。
その状態でぼそぼそと言うもんだから、なんだか、まるで……
「……子供みたい」
「……うるせェ」
ぼそっと帰ってきたその声は、拗ねたような、照れたような響きがあって、思わず笑ってしまった。
「でも、嬉しいな。ゾロがこんな風に甘えてくれるの」
「甘えてねェ」
「はいはい、そういうことにしとく」
そう返しながら、私はゾロの髪にもう一度そっと指を滑らせる。
ゾロはそれ以上言い返してこなかった。
私の胸に顔を押し付けるようにして、小さく息を吐く。
「離れたくねェ……」
その一言に、胸の奥がきゅっと締め付けられる。
ゾロにこんなことを言ってもらえるなんて。
私はとっても幸せ者だ。
「ゾロ、何があっても、私はずーっとゾロのそばにいるよ」
「ん……」
その言葉を聞いているのかいないのか、ゾロがうとうとしてるのが伝わってきた。
「おやすみ、ゾロ。いい夢を。……大好きだよ」
「……ああ、おれもお前のこと愛してる」
「……っっっ……!!!」
……もう寝たと思ったのに最後に爆弾を落とされた。
「ば、ばか、ねえ…っ!」
思わずゾロを揺さぶるけれど、目を開ける気配はない。
完全に寝入ったのか、それとも無視しているのか。
「……ほんと、ずるいんだから」
普段全く言わないくせに。
たまに落とされる愛の言葉はとても心に響く。
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