短編
名前・一人称の設定
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月夜のサニー号の見張り台。
見張り番であるゾロは、ゆったりと酒を飲んでいた。
秋の夜長を楽しむかのように。
今日が何の日かも知らずに。
聞こえるのは波の音ばかりの、静かな夜だった。
そんな静けさの中、どこからかカタカタという物音が聞こえてきた。
音はだんだん大きくなり、すぐにアフロのガイコツが見張り台へと顔を出す。
「ゾロさん、交代の時間ですよ」
「もうそんな時間か」
見張り台から去ろうとするゾロを、ブルックはどこか楽しそうな表情で見つめる。
「いや〜、ゾロさんは幸せ者ですね」
「…はァ?」
怪訝な顔で聞き返すゾロだが、ブルックはそれには応えない。
「若いっていいですね〜」
何のことだろうかと首を傾げつつも、空になった酒瓶を返すためにゾロはひとまずキッチンへと向かった。
──────────
ゾロがダイニングの戸を開けると、そこには顔を横に向けて机に突っ伏すふらっとの姿があった。
具合でも悪いのかと慌てて駆け寄ると、すぅすぅと寝息が聞こえた。
寝ているだけだと分かり、ひとまず胸をなで下ろす。
なぜこんなところで寝ているのだろうか。
そう疑問に思いあたりを見渡すと、机の上に置かれた一枚の紙が目に入った。
一番上に大きく「ゾロヘ」と書かれている。
「何だこれ…手紙か?」
手に取ったそれには、びっしりと文字が書かれていた。
『ゾロヘ。お誕生日おめでとう!』
「あァそうか、今日はおれの誕生日だったか」
『誰よりも最初におめでとうを伝えたいなと思ったけど、気恥ずかしさと眠たいのでうまく言えない気がするから、手紙を書きます』
「眠いもなにも、ぐっすり寝ちまってんじゃねェかよ」
起きたままゾロを待ち構えて、直接手紙を渡すつもりだったのだろうか。
厳しい口調とは裏腹な優しい表情で、ゾロはすやすやと眠っているふらっとの頭をゆっくりと撫でる。
『世界一の大剣豪という夢に向かって進み続けるゾロ。その傷一つない背中は、とてもカッコよくて、頼もしくて、安心できます。
ゾロは絶対に世界一になる。私は心から信じて疑いません。あなたの夢のために、私は全力を尽くします。
あなたが夢を叶える瞬間に、すぐ傍にいたいから。その瞬間をこの目で見たいから。
私ももっともっと強くなります。
足手まといにならないように。迷惑や心配をかけないように。
私の存在が、あなたの足枷になってほしくない。
あまり無茶はしないでね。怪我をたくさんされると、心配になる。
大怪我した翌日にすぐ筋トレしていたりすると、悪化しないかとヒヤヒヤします。
チョッパーの言うことはちゃんと聞いてね。
…あれ、なんか誕生日のお祝いっぽくなくなっちゃったかな?
まあいいや。とにかくお誕生日おめでとう!
これからもよろしくね。大好きだよ!!
ふらっとより』
ペンを手に取りながら、ああでもないこうでもないと悩むふらっとの姿が目に浮かぶようだった。
「誕生日なんてどうでもいいと思っていたが。こうやって祝われると嬉しいな。ありがとうな」
ゾロはふらっとの頭をさらに愛しそうに撫でる。
もう一度手紙を見返すと、下の方に書かれた文が目に入った。
『P.S. プレゼント、何も用意できてないの…ごめん。また今度渡すから、ちょっと待っててね。本当にごめんなさい』
「プレゼントなんていらねェよ。気持ちだけで充分だ。だが…」
薄く口を開けてすやすや眠るふらっとを見て、ニヤリと笑う。
「せっかくくれるってんなら、勝手にいただくとするか」
そう言うと、寝ているふらっとの顎を優しく掴み、唇にキスをした。
そしてふらっとの目が覚めないよう注意しながらそっと体を起こすと、お姫様抱っこの形でふわりと抱え上げる。
その状態でもう一度口づけをすると、そのままそっとダイニングの戸を開け、甲板へと出ていった。
見張り番であるゾロは、ゆったりと酒を飲んでいた。
秋の夜長を楽しむかのように。
今日が何の日かも知らずに。
聞こえるのは波の音ばかりの、静かな夜だった。
そんな静けさの中、どこからかカタカタという物音が聞こえてきた。
音はだんだん大きくなり、すぐにアフロのガイコツが見張り台へと顔を出す。
「ゾロさん、交代の時間ですよ」
「もうそんな時間か」
見張り台から去ろうとするゾロを、ブルックはどこか楽しそうな表情で見つめる。
「いや〜、ゾロさんは幸せ者ですね」
「…はァ?」
怪訝な顔で聞き返すゾロだが、ブルックはそれには応えない。
「若いっていいですね〜」
何のことだろうかと首を傾げつつも、空になった酒瓶を返すためにゾロはひとまずキッチンへと向かった。
──────────
ゾロがダイニングの戸を開けると、そこには顔を横に向けて机に突っ伏すふらっとの姿があった。
具合でも悪いのかと慌てて駆け寄ると、すぅすぅと寝息が聞こえた。
寝ているだけだと分かり、ひとまず胸をなで下ろす。
なぜこんなところで寝ているのだろうか。
そう疑問に思いあたりを見渡すと、机の上に置かれた一枚の紙が目に入った。
一番上に大きく「ゾロヘ」と書かれている。
「何だこれ…手紙か?」
手に取ったそれには、びっしりと文字が書かれていた。
『ゾロヘ。お誕生日おめでとう!』
「あァそうか、今日はおれの誕生日だったか」
『誰よりも最初におめでとうを伝えたいなと思ったけど、気恥ずかしさと眠たいのでうまく言えない気がするから、手紙を書きます』
「眠いもなにも、ぐっすり寝ちまってんじゃねェかよ」
起きたままゾロを待ち構えて、直接手紙を渡すつもりだったのだろうか。
厳しい口調とは裏腹な優しい表情で、ゾロはすやすやと眠っているふらっとの頭をゆっくりと撫でる。
『世界一の大剣豪という夢に向かって進み続けるゾロ。その傷一つない背中は、とてもカッコよくて、頼もしくて、安心できます。
ゾロは絶対に世界一になる。私は心から信じて疑いません。あなたの夢のために、私は全力を尽くします。
あなたが夢を叶える瞬間に、すぐ傍にいたいから。その瞬間をこの目で見たいから。
私ももっともっと強くなります。
足手まといにならないように。迷惑や心配をかけないように。
私の存在が、あなたの足枷になってほしくない。
あまり無茶はしないでね。怪我をたくさんされると、心配になる。
大怪我した翌日にすぐ筋トレしていたりすると、悪化しないかとヒヤヒヤします。
チョッパーの言うことはちゃんと聞いてね。
…あれ、なんか誕生日のお祝いっぽくなくなっちゃったかな?
まあいいや。とにかくお誕生日おめでとう!
これからもよろしくね。大好きだよ!!
ふらっとより』
ペンを手に取りながら、ああでもないこうでもないと悩むふらっとの姿が目に浮かぶようだった。
「誕生日なんてどうでもいいと思っていたが。こうやって祝われると嬉しいな。ありがとうな」
ゾロはふらっとの頭をさらに愛しそうに撫でる。
もう一度手紙を見返すと、下の方に書かれた文が目に入った。
『P.S. プレゼント、何も用意できてないの…ごめん。また今度渡すから、ちょっと待っててね。本当にごめんなさい』
「プレゼントなんていらねェよ。気持ちだけで充分だ。だが…」
薄く口を開けてすやすや眠るふらっとを見て、ニヤリと笑う。
「せっかくくれるってんなら、勝手にいただくとするか」
そう言うと、寝ているふらっとの顎を優しく掴み、唇にキスをした。
そしてふらっとの目が覚めないよう注意しながらそっと体を起こすと、お姫様抱っこの形でふわりと抱え上げる。
その状態でもう一度口づけをすると、そのままそっとダイニングの戸を開け、甲板へと出ていった。
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