1章
名前・一人称の設定
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それから数日経ったある日のこと。
甲板に出たパラソルの下、机に突っ伏したふらっとは、ぼそりとつぶやいた。
「デート行きたい…」
視線の先には、甲板で筋トレをするゾロの姿。
昼下がり、ナミとロビンと3人でおやつを食べている時のことだった。
「行ってこればいいじゃない」
サンジお手製のオレンジジュースを飲みながら、ナミが言う。
「でも…」
「でも?」
「みんなに『勝手に外に出るな』と言った手前、用事もないのに出かけるのはどうなのかと…」
「そんなこと、気にしなくていいのに」
同じくオレンジジュースのグラスをテーブルに置きながら、ロビンが微笑んだ。
「それに、用事だったらあるわよ。そうよね?ナミ」
そう言いながら今度はみかんゼリーの器を手に取り、スプーンで口に運ぶ。
問われたナミも、うんうんと頷いた。
「…どういうこと?」
「サンジくんに聞いてみたら分かるわ」
「えー、2人とも知ってるんなら教えてくれたっていいじゃん…」
ふらっとは口を尖らせるが、2人は意味ありげに微笑むだけ。
いくら食い下がっても教えてくれなさそうだと判断したふらっとは、仕方なくキッチンにいるサンジのもとへ向かった。
ドアを開けると、キッチンで何やら作業をしていたサンジが顔を上げた。
「お、ふらっとちゃん。何か用かい?」
「ちょっと聞きたいことがあって。何してるの?」
そう言いながら、カウンターを挟んでサンジの向かいに立ち、手元を覗き込む。
ルフィ達男子の分だろう、みかんゼリーを器に盛り付けているところだった。
さっきふらっと達が食べていた物に比べると、豪華さが見劣りするような気がするのは…気のせいということにしておこう。
「あのね、何か外に行く用事があるって。サンジくんに聞けば分かる、ってロビンちゃんが言ってたんだけど…なんのことなの?」
サンジは首をひねりかけたが、すぐに「ああ、あのことか」と頷いた。
「ついてきて」
そう言いながらカウンターを回り込みふらっとの後ろを通り過ぎると、食料庫のドアを開ける。
サンジに手招きされたふらっとはその中を覗き込み…なんとも間の抜けた声を出した。
「あ、あれ…?」
ふらっとの目に入ったのは、部屋いっぱいの食料…ではなく、部屋の片隅にこじんまりとまとめられたいくつかの袋だった。
「あんなに食料買ったのに、もうこれだけしか残ってないの?」
「あァ。冷蔵庫も残り少ない」
「嘘でしょ…」
ふらっとは慌てて冷蔵庫へ駆け寄り、扉を開ける。
さすがにすっからかんとはいかないものの、普段に比べたら食料はぐっと少なく、何回扉を開け閉めしても中身が増えることはなかった。
「これであとどれくらい持つの?」
「明日の昼にギリギリ足りるかどうか…ってところだな」
「そっか。じゃあ用事っていうのは」
「明日の夜までに、食料を買ってきてほしい」
ふらっとは心得たとばかりに頷く。
「了解。任せといて!」
笑顔で言うと、「でも…」と首を傾げた。
「なんでもっと早く言わなかったの?あ、責めてる訳じゃなくてただの疑問ね」
「少し前にナミさんに言ったら、上手くやりくりしてあと数日頑張ってほしい、どうしても足りなくなった時にまた教えてって言われたんだ」
「ナミちゃんが?へぇ…」
「ふらっとちゃんが出かけたいのに躊躇ってる様子だったらついでにお願いするつもりだって言ってたぜ」
「私がそろそろデートしたいって言い出すの見越してたんだ…でも、もし先に食料の方が尽きたらどうするつもりだったんだろう」
「その時は無理矢理出かけさせるつもりだったんじゃねェかな」
「なるほど」
『ゾロとふらっと、2人で買い物に行ってきなさい!』
そう言って2人を外へ押し出すナミが容易に想像できた。
背後でバタンと閉まる扉。
きょとんと顔を見合わせる2人。
頭を掻き掻き、仕方ねェなと呟くゾロ。
ふらっとは空いた方の腕にぎゅっとしがみついて…
「えへ…えへへ…」
笑みを浮かべながら妄想にふけりはじめたふらっとを前に、サンジはやれやれと首を振った。
甲板に出たパラソルの下、机に突っ伏したふらっとは、ぼそりとつぶやいた。
「デート行きたい…」
視線の先には、甲板で筋トレをするゾロの姿。
昼下がり、ナミとロビンと3人でおやつを食べている時のことだった。
「行ってこればいいじゃない」
サンジお手製のオレンジジュースを飲みながら、ナミが言う。
「でも…」
「でも?」
「みんなに『勝手に外に出るな』と言った手前、用事もないのに出かけるのはどうなのかと…」
「そんなこと、気にしなくていいのに」
同じくオレンジジュースのグラスをテーブルに置きながら、ロビンが微笑んだ。
「それに、用事だったらあるわよ。そうよね?ナミ」
そう言いながら今度はみかんゼリーの器を手に取り、スプーンで口に運ぶ。
問われたナミも、うんうんと頷いた。
「…どういうこと?」
「サンジくんに聞いてみたら分かるわ」
「えー、2人とも知ってるんなら教えてくれたっていいじゃん…」
ふらっとは口を尖らせるが、2人は意味ありげに微笑むだけ。
いくら食い下がっても教えてくれなさそうだと判断したふらっとは、仕方なくキッチンにいるサンジのもとへ向かった。
ドアを開けると、キッチンで何やら作業をしていたサンジが顔を上げた。
「お、ふらっとちゃん。何か用かい?」
「ちょっと聞きたいことがあって。何してるの?」
そう言いながら、カウンターを挟んでサンジの向かいに立ち、手元を覗き込む。
ルフィ達男子の分だろう、みかんゼリーを器に盛り付けているところだった。
さっきふらっと達が食べていた物に比べると、豪華さが見劣りするような気がするのは…気のせいということにしておこう。
「あのね、何か外に行く用事があるって。サンジくんに聞けば分かる、ってロビンちゃんが言ってたんだけど…なんのことなの?」
サンジは首をひねりかけたが、すぐに「ああ、あのことか」と頷いた。
「ついてきて」
そう言いながらカウンターを回り込みふらっとの後ろを通り過ぎると、食料庫のドアを開ける。
サンジに手招きされたふらっとはその中を覗き込み…なんとも間の抜けた声を出した。
「あ、あれ…?」
ふらっとの目に入ったのは、部屋いっぱいの食料…ではなく、部屋の片隅にこじんまりとまとめられたいくつかの袋だった。
「あんなに食料買ったのに、もうこれだけしか残ってないの?」
「あァ。冷蔵庫も残り少ない」
「嘘でしょ…」
ふらっとは慌てて冷蔵庫へ駆け寄り、扉を開ける。
さすがにすっからかんとはいかないものの、普段に比べたら食料はぐっと少なく、何回扉を開け閉めしても中身が増えることはなかった。
「これであとどれくらい持つの?」
「明日の昼にギリギリ足りるかどうか…ってところだな」
「そっか。じゃあ用事っていうのは」
「明日の夜までに、食料を買ってきてほしい」
ふらっとは心得たとばかりに頷く。
「了解。任せといて!」
笑顔で言うと、「でも…」と首を傾げた。
「なんでもっと早く言わなかったの?あ、責めてる訳じゃなくてただの疑問ね」
「少し前にナミさんに言ったら、上手くやりくりしてあと数日頑張ってほしい、どうしても足りなくなった時にまた教えてって言われたんだ」
「ナミちゃんが?へぇ…」
「ふらっとちゃんが出かけたいのに躊躇ってる様子だったらついでにお願いするつもりだって言ってたぜ」
「私がそろそろデートしたいって言い出すの見越してたんだ…でも、もし先に食料の方が尽きたらどうするつもりだったんだろう」
「その時は無理矢理出かけさせるつもりだったんじゃねェかな」
「なるほど」
『ゾロとふらっと、2人で買い物に行ってきなさい!』
そう言って2人を外へ押し出すナミが容易に想像できた。
背後でバタンと閉まる扉。
きょとんと顔を見合わせる2人。
頭を掻き掻き、仕方ねェなと呟くゾロ。
ふらっとは空いた方の腕にぎゅっとしがみついて…
「えへ…えへへ…」
笑みを浮かべながら妄想にふけりはじめたふらっとを前に、サンジはやれやれと首を振った。
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