「私の名前はふらっとです」

ふらっとは続ける。

「それでえっと…信じがたい話だと思うのですが…」


話していいものなのか躊躇っているようだ。

…これ話したら気味悪がられるかなぁ…でも…
ふらっとはそんなことを考えていた。


「少しぐらい変なことでも大丈夫よ？私達、変なのには慣れっこだから！」


チョッパーやブルックを横目で見ながら、ナミはそう促した。


「じゃあえっと…私は、違う世界から来たみたいなんです…！」


…さすがにこの答えは予想外だったらしく、固まる一味。

ふらっとは詳しく話した。
昨日はいつもどおり寝たはずなのに、気づいたら空から落ちていたこと。目を覚ましたら、明らかに違う世界にいたということ。
この世界の話は漫画になってるから、だいたい知っているということ。その漫画が大好きで、いつか行ってみたいと思っていたこと。…あらぬ誤解を招くといけないので、漫画のタイトルが「ONE PIECE」だということは伏せておいたけど。


「だから、もちろんみなさんの名前も分かります…順に、ルフィさん、ゾロさん、ナミさん、ウソップさん、サンジさん、ロビンさん、フランキーさん、ブルックさん」


ロビンが訪ねた。


「どうやってこの世界に来たのかは、分かるかしら？」


ふらっとは首を振る。


「いえ全く…私は普通の人間なので、不思議な力があるわけでもないですし…」


その言葉を聞き、チョッパーが何かをふらっとに渡した。緑色に光る、綺麗な石だ。


「不思議な力、ってので思い出したけど…この石は何だ？お前、落ちてきたときに手に持ってたぞ。不思議にキラキラ光ってるけど…」


その石を手にした瞬間、ふらっとの目が、一瞬光ったように見えた。
ふらっとはまるでさっきの発言など無かったかのように言った。


「私は、魔女です！」

「「「え？？」」」


誰よりも、その発言をしたふらっと本人が一番驚いていた。


「え？…私、今なんて言った？魔女？え…？え？？」


ナミがふらっとに問う。


「魔女って…どういうこと？さっきは普通の人間だって…」


ふらっとは慌てて答える。


「私にもよく分かんないです…この石を手にした瞬間、言葉がするっと出て…」


訳がわからず、混乱しているようだ。
独り言のように呟いた。

「これは一体…どういうこと？」