4章 戻ってきて!
名前・一人称の設定
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歌って、騒いで、食べて、飲んで。
日が落ちて、星が輝く時間になっても麦わらの一味と島民達は騒いでいた。
そんな中、ふらっとは1人城のバルコニーにいた。
手すりにもたれて、夜空を見上げる。
「綺麗な星…」
しばらくボーッとしていたのだが、名前を呼ぶ声がしたので振り返る。
「ふらっと」
「ゾロ?びっくりしたぁ…」
ゾロはふらっとの横に来ると、同じように空を見上げる。
「どしたの?迷子?」
「違ェよ…そう言うお前は何してたんだ」
「ちょっとお酒飲みすぎちゃって…酔い覚まし」
「お前、酒飲めねェんじゃなかったか?」
前はね、とふらっとは笑った。
「頑張ってちょっとは飲めるようになったの。そうだ、お酒といえば」
そう言うと、バルコニーに右腕をもたせかけてゾロの方に顔を向ける。
「知ってる?このお城のどこかに、何年も眠らせてある極上のお酒があるんだって!」
知ってる、とゾロは口角を上げる。
「王が出してきてくれた。誰も飲めねェだろうとか言うもンで、飲んでやったら驚かれた」
「さすがゾロ…すごい…」
それでも酔ってないのはすごいな。
そう思いつつ、ふらっとはゾロの横顔をそっと見つめる。
月明かりに照らされたその横顔はとてもかっこよくて。
綺麗な輪郭。
スッと通った鼻筋。
形の良い眉。
薄墨色の瞳。
その瞳と目があって、ふらっとは慌てて前を向いた。
「綺麗だな…」
ゾロが呟く。
「うん、ほんとに綺麗な星空だよね…」
ふらっとは再び空を見上げる。
ゾロの方が綺麗だよ、という言葉は胸の奥にしまっておいた。
「私ね、ここで星空を眺めるの好きだったんだ」
でも、と少し悲しそうな顔になる。
「同じ空の下に、私の仲間がいるなんて知らなくて…今になって思うの、いくらあいつの能力とはいえなんで忘れていたんだろう、って。こんなに素敵な、大好きな仲間のこと…」
ふらっとの目がわずかに潤む。
「おれ達はずっとお前のこと考えてたぞ」
そう、ゾロは言った。
「ルフィは『絶対にふらっとを迎えに行くんだ!!』って息巻いてたな」
「そっか」
「おれはコックに散々責められた…『レディに傷をつけるとは』とかなんとか」
「そっか…ごめんね…」
「いや、謝るのはおれの方だ。傷、残っちまって…」
ふらっとは気にしないで、と笑みを浮かべる。
すっ、と左の横髪を耳にかけ、わざと傷が見えるようにした。
「海賊には怪我がつきものだし…それにね、わざと残したの。かっこいいと思って!」
そう言って悪戯っぽく笑う。
ゾロにつけられたものだからなんだか嬉しくて、という言葉は胸に秘めておいた。
「そうだな…」
そう言うと、ゾロは右手を伸ばし、親指で目尻の傷をなぞる。
急に触れられて、ふらっとは驚き固まった。
ゾロはそのまま、ふらっとの頬を片手でそっと包み込む。
自然と、ふらっとの顔はゾロの方を向くこととなった。
「ゾ、ロ…?」
酔っていることも手伝ってか、僅かに潤んだ目で不思議そうにゾロを見つめるふらっと。
しかし、その目はすぐに驚きでゆっくりと見開かれた。
「っ………?」
頬から離れる手。
遠ざかっていく足音。
ふらっとは腰を抜かし、その場にへたり込んだ。
「私…今…ゾロに…」
自分の唇にゾロの唇が触れたのだとようやく認識できた頃には、すでに彼の姿は見えなかった。
「ファーストキス…奪われ、た…?」
残った感触を確かめるように人差し指で唇をなぞった。
(第4章 終)
日が落ちて、星が輝く時間になっても麦わらの一味と島民達は騒いでいた。
そんな中、ふらっとは1人城のバルコニーにいた。
手すりにもたれて、夜空を見上げる。
「綺麗な星…」
しばらくボーッとしていたのだが、名前を呼ぶ声がしたので振り返る。
「ふらっと」
「ゾロ?びっくりしたぁ…」
ゾロはふらっとの横に来ると、同じように空を見上げる。
「どしたの?迷子?」
「違ェよ…そう言うお前は何してたんだ」
「ちょっとお酒飲みすぎちゃって…酔い覚まし」
「お前、酒飲めねェんじゃなかったか?」
前はね、とふらっとは笑った。
「頑張ってちょっとは飲めるようになったの。そうだ、お酒といえば」
そう言うと、バルコニーに右腕をもたせかけてゾロの方に顔を向ける。
「知ってる?このお城のどこかに、何年も眠らせてある極上のお酒があるんだって!」
知ってる、とゾロは口角を上げる。
「王が出してきてくれた。誰も飲めねェだろうとか言うもンで、飲んでやったら驚かれた」
「さすがゾロ…すごい…」
それでも酔ってないのはすごいな。
そう思いつつ、ふらっとはゾロの横顔をそっと見つめる。
月明かりに照らされたその横顔はとてもかっこよくて。
綺麗な輪郭。
スッと通った鼻筋。
形の良い眉。
薄墨色の瞳。
その瞳と目があって、ふらっとは慌てて前を向いた。
「綺麗だな…」
ゾロが呟く。
「うん、ほんとに綺麗な星空だよね…」
ふらっとは再び空を見上げる。
ゾロの方が綺麗だよ、という言葉は胸の奥にしまっておいた。
「私ね、ここで星空を眺めるの好きだったんだ」
でも、と少し悲しそうな顔になる。
「同じ空の下に、私の仲間がいるなんて知らなくて…今になって思うの、いくらあいつの能力とはいえなんで忘れていたんだろう、って。こんなに素敵な、大好きな仲間のこと…」
ふらっとの目がわずかに潤む。
「おれ達はずっとお前のこと考えてたぞ」
そう、ゾロは言った。
「ルフィは『絶対にふらっとを迎えに行くんだ!!』って息巻いてたな」
「そっか」
「おれはコックに散々責められた…『レディに傷をつけるとは』とかなんとか」
「そっか…ごめんね…」
「いや、謝るのはおれの方だ。傷、残っちまって…」
ふらっとは気にしないで、と笑みを浮かべる。
すっ、と左の横髪を耳にかけ、わざと傷が見えるようにした。
「海賊には怪我がつきものだし…それにね、わざと残したの。かっこいいと思って!」
そう言って悪戯っぽく笑う。
ゾロにつけられたものだからなんだか嬉しくて、という言葉は胸に秘めておいた。
「そうだな…」
そう言うと、ゾロは右手を伸ばし、親指で目尻の傷をなぞる。
急に触れられて、ふらっとは驚き固まった。
ゾロはそのまま、ふらっとの頬を片手でそっと包み込む。
自然と、ふらっとの顔はゾロの方を向くこととなった。
「ゾ、ロ…?」
酔っていることも手伝ってか、僅かに潤んだ目で不思議そうにゾロを見つめるふらっと。
しかし、その目はすぐに驚きでゆっくりと見開かれた。
「っ………?」
頬から離れる手。
遠ざかっていく足音。
ふらっとは腰を抜かし、その場にへたり込んだ。
「私…今…ゾロに…」
自分の唇にゾロの唇が触れたのだとようやく認識できた頃には、すでに彼の姿は見えなかった。
「ファーストキス…奪われ、た…?」
残った感触を確かめるように人差し指で唇をなぞった。
(第4章 終)