日が暮れてきて、サンジは夕飯を作り始めた。食材は全部トウェルが用意し、さらに手伝いまでしてくれている。


「トウェルちゃん、ひとつ聞きたいんだけど…」

「なんですか？」


サンジの問いかけに、トウェルは食材を切る手を休めずに応じた。


「ふらっとちゃんって子、知らないかい？」

「ふらっとさん、ですか…聞いたことございません…」

「そうか、変なこと聞いてごめんよ」

「いえ、こちらもお役に立てずにすいません…なにせ記憶が曖昧なもので…」

「曖昧？」


サンジはスープを混ぜながら聞いた。


「はい…小さい頃の記憶が朧げにしかないのです…気付いたら、あのお城で働いていました」


とトウェルが言った時。

プルプルプル…プルプルプル…

電伝虫の音がした。


「あ、私ですね、ちょっと失礼します」


そういうと、トウェルは隅に行き電伝虫に出た。


「はい、はい…なるほど、わかりました」


何やら頷いている。
電伝虫を切るとサンジの方に向き直って言った。


「サンジさん、すみません、私もう帰らないといけなくて…」

「そっか、トウェルちゃんも忙しいんだね…手伝ってくれて、助かったよ」


トウェルが手伝ってくれたおかげで、いつもの倍以上の速さで夕食の準備ができていた。


「最後まで手伝えなくてすみません」

では失礼します、と言ってトウェルは去っていった。