刀屋は、商店街の外れにあった。


「失礼しまーす…」


そう言いながら、ガラガラ音のするドアを開ける。中は、暗かった。


「ここで、何を買うの？」


ナミが恐る恐る問いかける。


「もちろん、刀を買うんだよ？」

「…ふらっと、剣術使えるの？」

「まさか」


じゃあなんで…と言いかけたナミは、理由を察して、口を噤んだ。
麦わらの一味の剣士は、ブルックと、…それからゾロ。じゃあきっと、多分、そういうことなのだろう。
意外と大胆なんだなぁと、そう思った。


「どんな刀が良いのかって、分かるのかしら？」


ロビンに聞かれ、ふらっとは首を傾げた。


「うーん…勘？」

「勘なの？？」


呆れたような2人の声が揃う。


「何というか… 私魔女だし、ビビッと来るものないかな〜って思って…」


そう言うとふらっとは沢山並んでいる刀に手をかざして歩き始めた。


ほんとに分かるの？と半信半疑な2人を尻目に、ふらっとは「これだ」といい一本の刀の前で足を止める。


「これだ…なんかこれにビビッときた！」


刀を手に持ったふらっとを見て、2人も納得せざるを得なかった。
その周りに漂う空気だけ違って…何というか、絵になる。


「よし、一本はこれに決めた！」

「一本『は』？」


もう一本を探そうとするふらっとを、ナミは慌てて止める。


「ちょっと待ったぁ！それ一本で、いくらなの？」

「あ、いくらだろ…」


値札を見て、ふらっとは驚いた。2がひとつに0が5個。


「に、にじゅうまん⁈」

「でしょ？二本はもちろん、一本でも厳しいわ…」

「え、これも買えないの…そんなぁ」

「もっと安いものはまだしも…というか、刀二本もいるの？」

「うん、二刀流になりたいから…仕方ない、もう一本は私の力でどうにかしよう」


ということで、とナミの前にずい、とナミの前に進み出る。


「ナミちゃん、これ買って！！」


さすがに20万は…と躊躇うナミだったが。


「ね、お願い、『お姉ちゃん』！」


こんなに可愛い笑顔で言われたら、断るのも難しい。


「…わかったわ、買ってあげる。その代わり、借りはちゃんと返してね？」

「うんもちろん！ありがとう！ナミちゃん大好き！」


奥から出てきた店主に20万ベリーを払い、店を出る。
ふらっとは買った刀を大事そうに抱きしめながら歩いた。