7章 ワクワク?ドキドキ?大作戦☆
名前・一人称の設定
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騒ぎ、食い、飲み、歌い、踊り。
「ゾロとふらっとが恋人同士になったお祝い」という名目はどこへやら、いつもと何も変わらないものになっていた。
いや、一つだけ違うことがあった。
ふらっとがずっと、ゾロの隣にいたのだ。
今までは恥ずかしさと照れがあり、何かと理由をつけてゾロの側には決して腰を下さなかったふらっと。
しかし今回、もうそんなものは無くなったのか、それとも仲間達が気を遣ってくれたのか、ずっとゾロの横に座って、お酒を飲んでいた。
──────────
みんなが疲れて口数も少なくなってきた頃。
「私達は、そろそろ寝るわね」
そう言ってナミとロビンが女部屋へ向かうと、自然と宴はお開きとなった。
他のクルー達も、その場へ寝転ぶ者がいれば、部屋へと向かう者も。
ふらっとも、ジョッキを一つ持ってそっと立ち上がった。
部屋へとは向かわず、アクアリウムバーを抜け、お気に入りの場所、下側のバルコニーへと向かう。
ゆっくり海でも眺めたくなったのだ。
お酒をたくさん飲んではいないので、あまり酔ってはいなかった。
手すりにもたれてぼーっとしていると、後ろから足音が聞こえてきた。
「何やってんだ、こんなところで」
振り向くと…そこにいたのは、やはりゾロだった。
「ちょっと景色を眺めてたの」
そうか、と言いゾロはふらっとの左側に来て、同じように手摺りにもたれた。
「そういやァ、前にもこんな風に夜空を見上げたことあったな」
そう言われて、ふらっとも思い出す。
あの時と同じように、ゾロの方を盗み見て、思い切って顔ごとそちらへ向けて見ようとして…唐突に、キスをされたことを思い出し、顔を赤くした。
「ねぇ、ゾロ…ひとつ聞いていい?」
「あァ」
今なら、あの時のキスの理由を聞けるかもしれない。
そう思ったふらっとは、思い切って口を開いた。
「ゾロがあたしにキスしたの…覚えてる?なんで、あんなことしたの?」
「あァ…」
ゾロは少し困ったように頭をガシガシ掻いた。
「なんとなく…」
「な、なんとなく⁈」
「なぜか分かんねェけど、お前にキスしたくなったんだ…だからしたってだけだ」
「なにそれ…」
それきり二人とも口を閉ざした。
辺りにはただ波の音だけが響く。
その沈黙を破ろうとして、ゾロが口を開いた。
「…月、綺麗だな」
「え?」
ふらっとは少し驚いたような笑顔で、ゾロの方を見つめた。
「びっくりした…」
「悪ィ、急に…」
「いや、そうじゃなくて…ま、たまたまだよね」
ふらっとは意味ありげにふふふと笑いながら、説明をした。
「あのね、私のいた国の、昔の文豪が、『あなたを愛しています』ってのを『月が綺麗ですね』って訳したって話があるの。だからちょっとびっくりしただけ」
「へェ…」
ゾロは意味が分かったのか分からなかったのか、曖昧な返事を返した。
「…ま、お前の方が綺麗だけどな」
「えぇ??」
ふらっとはさっきよりも驚いて、大きく目を見開いた。
「今度は何に驚いてんだよ」
「いや、どちらかというとサンジくんが言いそうなセリフがゾロの口から出てくるとは…」
「悪いか」
「いや、全然。嬉しい」
ふらっとはそう言うと、ニカっと笑った。
ゾロはその頭に手を置き、優しく撫でる。
「他にも何かあるのか?」
「何が?」
「お前がいた国での面白ェ話」
「うーんとねぇ…あ、そうだ」
ちょっと違うかもしれないけど…と言い、ふらっとは月を指差した。
「月には、ウサギが居るって話がある」
「…居るわけねェだろ」
「うん、いないよ」
ふらっとはあっさり言い放った。
「月のクレーターがね、日本ではウサギに見えるの。国によって何に見立てているか違って…なんだっけ、まぁ色々ある」
そうか、とゾロは頭に乗せていた手を肩に下げて、そのままふらっとを自分の方に抱き寄せた。
「お前のは物知りなんだな」
「いや、全然。まだまだあたしの知らないことはいっぱいある」
「それでも、おれ達の知らない事をたくさん知ってんだろ?なァ、また聞かせてくれよ。お前がいた国の話」
「いいよ。何から話そうか…何が知りたい?」
「そんなに焦る必要はねェ。時間はたっぷりあるからな」
「どういうこと?」
首を傾げたふらっとに、ゾロは口角を上げて笑ってみせた。
「おれ達は、これから先ずっと一緒だろ?」
「……!!!」
ふらっとは嬉しくて思わずゾロに抱きついた。
「ずっと、一緒…!嬉しい…!」
抱きついたまま、顔だけを上げてゾロと目を合わせる。
「絶対だよ?」
「あァ。約束する」
そう言って、ゾロは更に強くふらっとを抱きしめる。
いつまでも抱き合う二人の姿を、夜空に浮かぶ月が見守っていた。
(第7章 終)
「ゾロとふらっとが恋人同士になったお祝い」という名目はどこへやら、いつもと何も変わらないものになっていた。
いや、一つだけ違うことがあった。
ふらっとがずっと、ゾロの隣にいたのだ。
今までは恥ずかしさと照れがあり、何かと理由をつけてゾロの側には決して腰を下さなかったふらっと。
しかし今回、もうそんなものは無くなったのか、それとも仲間達が気を遣ってくれたのか、ずっとゾロの横に座って、お酒を飲んでいた。
──────────
みんなが疲れて口数も少なくなってきた頃。
「私達は、そろそろ寝るわね」
そう言ってナミとロビンが女部屋へ向かうと、自然と宴はお開きとなった。
他のクルー達も、その場へ寝転ぶ者がいれば、部屋へと向かう者も。
ふらっとも、ジョッキを一つ持ってそっと立ち上がった。
部屋へとは向かわず、アクアリウムバーを抜け、お気に入りの場所、下側のバルコニーへと向かう。
ゆっくり海でも眺めたくなったのだ。
お酒をたくさん飲んではいないので、あまり酔ってはいなかった。
手すりにもたれてぼーっとしていると、後ろから足音が聞こえてきた。
「何やってんだ、こんなところで」
振り向くと…そこにいたのは、やはりゾロだった。
「ちょっと景色を眺めてたの」
そうか、と言いゾロはふらっとの左側に来て、同じように手摺りにもたれた。
「そういやァ、前にもこんな風に夜空を見上げたことあったな」
そう言われて、ふらっとも思い出す。
あの時と同じように、ゾロの方を盗み見て、思い切って顔ごとそちらへ向けて見ようとして…唐突に、キスをされたことを思い出し、顔を赤くした。
「ねぇ、ゾロ…ひとつ聞いていい?」
「あァ」
今なら、あの時のキスの理由を聞けるかもしれない。
そう思ったふらっとは、思い切って口を開いた。
「ゾロがあたしにキスしたの…覚えてる?なんで、あんなことしたの?」
「あァ…」
ゾロは少し困ったように頭をガシガシ掻いた。
「なんとなく…」
「な、なんとなく⁈」
「なぜか分かんねェけど、お前にキスしたくなったんだ…だからしたってだけだ」
「なにそれ…」
それきり二人とも口を閉ざした。
辺りにはただ波の音だけが響く。
その沈黙を破ろうとして、ゾロが口を開いた。
「…月、綺麗だな」
「え?」
ふらっとは少し驚いたような笑顔で、ゾロの方を見つめた。
「びっくりした…」
「悪ィ、急に…」
「いや、そうじゃなくて…ま、たまたまだよね」
ふらっとは意味ありげにふふふと笑いながら、説明をした。
「あのね、私のいた国の、昔の文豪が、『あなたを愛しています』ってのを『月が綺麗ですね』って訳したって話があるの。だからちょっとびっくりしただけ」
「へェ…」
ゾロは意味が分かったのか分からなかったのか、曖昧な返事を返した。
「…ま、お前の方が綺麗だけどな」
「えぇ??」
ふらっとはさっきよりも驚いて、大きく目を見開いた。
「今度は何に驚いてんだよ」
「いや、どちらかというとサンジくんが言いそうなセリフがゾロの口から出てくるとは…」
「悪いか」
「いや、全然。嬉しい」
ふらっとはそう言うと、ニカっと笑った。
ゾロはその頭に手を置き、優しく撫でる。
「他にも何かあるのか?」
「何が?」
「お前がいた国での面白ェ話」
「うーんとねぇ…あ、そうだ」
ちょっと違うかもしれないけど…と言い、ふらっとは月を指差した。
「月には、ウサギが居るって話がある」
「…居るわけねェだろ」
「うん、いないよ」
ふらっとはあっさり言い放った。
「月のクレーターがね、日本ではウサギに見えるの。国によって何に見立てているか違って…なんだっけ、まぁ色々ある」
そうか、とゾロは頭に乗せていた手を肩に下げて、そのままふらっとを自分の方に抱き寄せた。
「お前のは物知りなんだな」
「いや、全然。まだまだあたしの知らないことはいっぱいある」
「それでも、おれ達の知らない事をたくさん知ってんだろ?なァ、また聞かせてくれよ。お前がいた国の話」
「いいよ。何から話そうか…何が知りたい?」
「そんなに焦る必要はねェ。時間はたっぷりあるからな」
「どういうこと?」
首を傾げたふらっとに、ゾロは口角を上げて笑ってみせた。
「おれ達は、これから先ずっと一緒だろ?」
「……!!!」
ふらっとは嬉しくて思わずゾロに抱きついた。
「ずっと、一緒…!嬉しい…!」
抱きついたまま、顔だけを上げてゾロと目を合わせる。
「絶対だよ?」
「あァ。約束する」
そう言って、ゾロは更に強くふらっとを抱きしめる。
いつまでも抱き合う二人の姿を、夜空に浮かぶ月が見守っていた。
(第7章 終)