6章 呪いにかけられても
名前・一人称の設定
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無事隣に座れたはいいものの、この後どうすればいいか分からないふらっと。
横目でそーっと、ゾロの横顔を盗み見た。
この前の白い月の光とは違い、橙色のゆらめく炎に照らされる横顔。
左側だから瞳は見えないけれど。
刻まれた傷跡と閉じられた眼も、とってもかっこよかった。
「…何だ?」
じっと見つめるふらっとの視線に気づいたのか、僅かに顔をこちらに向けながら聞いてきた。
「…なんでもない」
ふらっとは短く答えると、燃え盛る炎の方をじっと見つめた。
…そのまましばし、時間が過ぎる。
視界の端で、ナミが手を振っているのが見えた。
おそらく、なんか話しかけろとか、お酒でも注いでやれとか、そんなことを言いたいのだろう。
そんなことができるはずのないふらっとは、黙ってお酒を飲んでいた。
…沈黙を破ったのは、ゾロだった。
「…髪、解いちまったのか」
「…え?」
思わず顔を上げて聞き返す。
「いや、髪型…昨日のと違ェから」
「ああ…うん」
ふらっとはまさかゾロがそこまで気がついているとは思っておらず、少し動揺しながら曖昧に返事をした。
どきどきしているのを隠すように一口お酒をすすり…そこで思い直す。
ゾロは、いつツインテールを見たのか。
昨日、ゾロに船番を任せて出かけてから、この宴の会場に来るまで、“正常な”ゾロには会っていない。
もらった宝玉達は宴の後、島の男達がサニーへと運ぶと言ってくれていたので、洞窟探索組はサニーへ寄っておらず、従って着替え前のふらっとをゾロはもちろん誰も目にしていないはずだった。
そんなことを考えるふらっとの頭の中が読めたかのように、ゾロが言った。
「サニーを襲撃した時と…あとお前が洞窟に乗り込んで来た時に見た」
操られていても見ている意識はあった…といったところだろうか。
「せっかく似合ってたのによ…解いちまったのか、勿体ねェ」
ふらっとは一瞬自分の耳を疑った。
小さな声で聞き返す。
「…え、いまなんて…?」
「似合ってた、つったんだ。可愛かったぞ」
「か、かわい…?」
はっきりと「似合ってた」と言われた。
おまけに、「可愛かった」とも。
ゾロに言ってほしいと思っていた。
…だけど、まさかゾロの口からそんな単語が出るなんて思っていなかったし、期待もしていなかった。
自分の顔が熱くなるのを感じたふらっとは、赤くなったであろう顔を隠すために腕に顔を埋めた。
「そ、そういえばさ…」
このまま黙っているのも変だと思い、ふらっとはなんとか話を続けようと試みた。
「昨日の夜か今日の早朝、サニー号に来た?チョッパーが『ゾロの匂いがした』って言ってたんだけど…」
「あァ、そういやァ…行った気がするな。何でだったか…」
ゾロは思い出そうとして額に手を当てた。
「何かに従っただけのような気がすんだが…」
「洞窟で、マレディに何かを言われてた…もしかして、それ?」
「あァ、それだ!」
ゾロは全部思い出したようで手をポンと叩いた。
「侵入者、つまりお前を斬ってそこらに放り出しておけと言われて…洞窟の近くに捨て置いてもよかったんだが、サニー号まで運んだんだ」
「なんでわざわざサニー号まで…?」
「斬って、大怪我しただろ?ふらっとの具合が悪くなるのが不安だったからな…サニーまで運んどきゃ安全だと無意識に思ったんだろうな」
“不安だった”
ただ単に仲間だからなのか…それとも。
…いや、まさか。
胸にこみ上げてきた少しの期待を誤魔化すように、ぽつりと呟いた。
「… 私は、ゾロがいなくなったことが不安だった…」
「そうか…」
そっと、ゾロがふらっとの頭に手を乗せた。
驚いて固まるふらっと。
「怪我させて…それに、不安にさせて…悪かったな」
そういうと、ふらっとの頭を優しく撫でる。
「もう不安にはさせねェから…」
ゆっくりと顔を上げて右を見ると、こっちを向いて優しく微笑んでいるゾロと目があった。
いつかもこんな近くで見た、綺麗な薄墨色の瞳。
まるで吸い寄せられるように、ふらっとはゾロに顔を近づける。
お酒のせいか、この状況のせいなのか。
頭がぼーっとして、何も考えられなかった。
もう、顔はすぐ目の前。
「…ゾロ、あのね…」
そのまま、ゾロにちゅっ…と口付けて。
…その瞬間、我に返ったふらっとは、元いた場所、ナミとロビンのいる所へ、脱兎の如く駆けていったのだった。
横目でそーっと、ゾロの横顔を盗み見た。
この前の白い月の光とは違い、橙色のゆらめく炎に照らされる横顔。
左側だから瞳は見えないけれど。
刻まれた傷跡と閉じられた眼も、とってもかっこよかった。
「…何だ?」
じっと見つめるふらっとの視線に気づいたのか、僅かに顔をこちらに向けながら聞いてきた。
「…なんでもない」
ふらっとは短く答えると、燃え盛る炎の方をじっと見つめた。
…そのまましばし、時間が過ぎる。
視界の端で、ナミが手を振っているのが見えた。
おそらく、なんか話しかけろとか、お酒でも注いでやれとか、そんなことを言いたいのだろう。
そんなことができるはずのないふらっとは、黙ってお酒を飲んでいた。
…沈黙を破ったのは、ゾロだった。
「…髪、解いちまったのか」
「…え?」
思わず顔を上げて聞き返す。
「いや、髪型…昨日のと違ェから」
「ああ…うん」
ふらっとはまさかゾロがそこまで気がついているとは思っておらず、少し動揺しながら曖昧に返事をした。
どきどきしているのを隠すように一口お酒をすすり…そこで思い直す。
ゾロは、いつツインテールを見たのか。
昨日、ゾロに船番を任せて出かけてから、この宴の会場に来るまで、“正常な”ゾロには会っていない。
もらった宝玉達は宴の後、島の男達がサニーへと運ぶと言ってくれていたので、洞窟探索組はサニーへ寄っておらず、従って着替え前のふらっとをゾロはもちろん誰も目にしていないはずだった。
そんなことを考えるふらっとの頭の中が読めたかのように、ゾロが言った。
「サニーを襲撃した時と…あとお前が洞窟に乗り込んで来た時に見た」
操られていても見ている意識はあった…といったところだろうか。
「せっかく似合ってたのによ…解いちまったのか、勿体ねェ」
ふらっとは一瞬自分の耳を疑った。
小さな声で聞き返す。
「…え、いまなんて…?」
「似合ってた、つったんだ。可愛かったぞ」
「か、かわい…?」
はっきりと「似合ってた」と言われた。
おまけに、「可愛かった」とも。
ゾロに言ってほしいと思っていた。
…だけど、まさかゾロの口からそんな単語が出るなんて思っていなかったし、期待もしていなかった。
自分の顔が熱くなるのを感じたふらっとは、赤くなったであろう顔を隠すために腕に顔を埋めた。
「そ、そういえばさ…」
このまま黙っているのも変だと思い、ふらっとはなんとか話を続けようと試みた。
「昨日の夜か今日の早朝、サニー号に来た?チョッパーが『ゾロの匂いがした』って言ってたんだけど…」
「あァ、そういやァ…行った気がするな。何でだったか…」
ゾロは思い出そうとして額に手を当てた。
「何かに従っただけのような気がすんだが…」
「洞窟で、マレディに何かを言われてた…もしかして、それ?」
「あァ、それだ!」
ゾロは全部思い出したようで手をポンと叩いた。
「侵入者、つまりお前を斬ってそこらに放り出しておけと言われて…洞窟の近くに捨て置いてもよかったんだが、サニー号まで運んだんだ」
「なんでわざわざサニー号まで…?」
「斬って、大怪我しただろ?ふらっとの具合が悪くなるのが不安だったからな…サニーまで運んどきゃ安全だと無意識に思ったんだろうな」
“不安だった”
ただ単に仲間だからなのか…それとも。
…いや、まさか。
胸にこみ上げてきた少しの期待を誤魔化すように、ぽつりと呟いた。
「… 私は、ゾロがいなくなったことが不安だった…」
「そうか…」
そっと、ゾロがふらっとの頭に手を乗せた。
驚いて固まるふらっと。
「怪我させて…それに、不安にさせて…悪かったな」
そういうと、ふらっとの頭を優しく撫でる。
「もう不安にはさせねェから…」
ゆっくりと顔を上げて右を見ると、こっちを向いて優しく微笑んでいるゾロと目があった。
いつかもこんな近くで見た、綺麗な薄墨色の瞳。
まるで吸い寄せられるように、ふらっとはゾロに顔を近づける。
お酒のせいか、この状況のせいなのか。
頭がぼーっとして、何も考えられなかった。
もう、顔はすぐ目の前。
「…ゾロ、あのね…」
そのまま、ゾロにちゅっ…と口付けて。
…その瞬間、我に返ったふらっとは、元いた場所、ナミとロビンのいる所へ、脱兎の如く駆けていったのだった。